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【コラム】ママママカロニ&デビュー4.1秒大差勝ちランディスシティ…話題の同厩2頭、今後の可能性を探る

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【コラム】ママママカロニ&デビュー4.1秒大差勝ちランディスシティ…話題の同厩2頭、今後の可能性を探るDAZN
2021年9月第4週の大井開催、2頭の若駒が南関東だけでなく全国の多くの競馬ファンに知られることになった。ママママカロニとランディスシティ――。前者が9月20日にゴールドジュニアで2着馬に1.8秒差をつけて重賞初勝利を飾ると、その2日後には後者が2着馬に4.1秒もの大差をつける衝撃の新馬デビュー勝ち。SNSでもトレンド入りするほどの話題を集めたスター候補生は、いずれも大井の森下淳平師が管理している。41歳の若手調教師、森下師に2頭の今後の可能性を聞いた。【写真提供:TCK東京シティ競馬】
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ゴールドジュニアで“初の本領発揮”

ママママカロニはランディスシティよりも3カ月早く、6月にデビュー。大井1200メートルでの新馬戦、そして8月に出走した同舞台のフレッシュスター特別で共に1番人気を背負って連勝した。それでも、着差はそれぞれ2馬身、1馬身半だっただけに、重賞初挑戦となった3走目のゴールドジュニア(SⅢ、大井・1200メートル)で2着馬に9馬身差をつけた圧勝劇には多くの人が驚いたことだろう。

森下師いわくゴールドジュニアの走りこそ、この馬の“本来の姿”。デビュー2戦は順調さを欠きながらも勝ちきり、初めて万全の態勢で臨むことができたのがゴールドジュニアだった。10番枠から好スタートを切ったママママカロニは、道中3番手から4コーナーで逃げ馬をとらえると、軽く仕掛けただけで2着馬を9馬身突き放してみせた。

「能力試験を受けた後に捻挫をしたことでデビューの時期を少し遅らせたんです。新馬戦も調教本数が1本足りないかなと心配していた中で使ったのですが、想像以上に上手に走ってくれて、外に出してからのキレは期待どおりでした」

「デビュー戦後の調整過程でも一頓挫があって、2走目は2カ月後になりました。その意味では、ゴールドジュニアの時は、初めて順調に乗り込めた中で出走できました。調整過程とレースの流れが噛み合って、初めてフルパフォーマンスを発揮できましたね」

レースぶりと珍名から一躍注目を浴びることになったが、「名前を含めて愛される馬ならば、より良いレースができれば尚更ファンになっていただける機会も増えます。私たち厩舎側は、競走馬として強いパフォーマンスを見せられるように努力したいです」と森下師。4走目の鎌倉記念(SII、川崎・1500メートル)で初めて2着に敗れた中、17日に開催されるハイセイコー記念(SI、大井・1600メートル)では重賞2勝目を狙う。

「ゴールドジュニアの勝ち方が派手だったこともあって、鎌倉記念では他馬からマークされました。締め込まれる場面がありましたし、向正面でマクってこられる厳しい展開に。初の左回りで最終コーナーでも膨らんでしまいました。初物づくしの中で不完全燃焼の2着でしたが、良い経験を積んだことは確かです」

「この中間は乗り込めていますし、左回りを使ったことで身体と走りのバランスが良くなっています。弾むような走りができるようになって、フットワークもより力強くなっています。初のマイルも全然心配していません。キャリアの中で、今回が最も仕上がっている状態です」

衝撃のデビュー戦

ランディスシティ

ママママカロニがゴールドジュニアで重賞初制覇を飾った2日後、大井競馬がさらなる怪物候補の誕生に沸いた。同じ森下厩舎の米国産馬、ランディスシティが1400メートルの新馬戦で衝撃のデビュー勝ちを収めたのだ。

単勝1.0倍という圧倒的な支持を集めたランディスシティは、4コーナーでスピードの違いから先頭に立つと、持ったままでグングンと後続を突き放し、2着馬に4.1秒もの大差をつけてゴール板を駆け抜けた。それでも、森下師は冷静にデビュー戦を振り返る。

「新馬戦は相手関係もありますし、時計や着差は気にしませんでした。走りは想像以上でも想像以下でもありませんでしたね。もう少し食い下がる馬が相手にいれば、あれほどの着差はついていなかったでしょう。着差が派手だった分、少し話題が先行し過ぎましたね」

大井マイルでの2走目は、道中3番手追走から直線で抜け出した後、2着馬に追いすがられると、ゴール手前でもうひと伸びして2連勝。着差はデビュー戦のインパクトとは対照的な半馬身だったが、師にとってはより実になったと感じることができるレースだった。

「新馬戦が楽過ぎたので、競馬を教える必要がありました。距離延長と4回コーナーを回ることで、『ポジションを取った後に落ち着かせ、またギアを上げて加速する』ということを教えるレースになりました。頭数も増えましたし、馬が少し戸惑ったこともあって力を出し切った形ではなかったですが、競馬を教えるという点においては良かったですね。新馬戦からは少し地味に映ったかと思いますが、着差以上に余裕もありました」

その後は10月の平和賞に向けて調整されたが、「後肢の蹄を少し痛めた」ことで出走取消に。現在は「ハイセイコー記念も視野に入れていましたが、一頓挫ありましたし仕上がりを考えて無理せず、次のレースを選んでいきます」という状況だ。

「いずれは直接対決も」

南関東の競馬場でも活躍した名馬ホッコータルマエを父に持つ430kg前後のママママカロニと、米国産馬で500kg前後の大型馬であるランディスシティ。対照的な大井の同厩スター候補だが、管理する森下師もそのポテンシャルには太鼓判を押す。

「マカロニもランディスも2歳にしては落ち着いています。マカロニは2歳らしい初々しさがあって人に対して従順で賢い。ランディスはより精神的に大人びていて、自分のペースをしっかりと持っています」

「現時点での完成度はマカロニの方が高いので、レースもしっかりとできています。もちろん、若馬らしい未完成の部分はあって成長力も感じますが、小柄ということで調教でもある程度の負荷に耐えられます。距離はもう少し延びても大丈夫ですよ」

「ランディスの方は、身体が未完成で体幹もまだまだです。出力はありますが負荷をかけすぎるとダメージが出る可能性があるので慎重な調整に。4歳や5歳になってからの馬だという感触です。古馬になってからはマイル以下が適性距離になりそうですね。ポテンシャルに関してはマカロニに引けをとりませんよ」

ハイセイコー記念での初対戦とはならなかったものの、遠くない将来に2頭が同じレースで覇を争うことも十分にあり得るだろう。陣営が一丸となって地に足をつけた馬づくりをする中で、「いつかマカロニとランディスが対戦する日がくるかもしれないですね」と口にする森下師は、それだけでなく2頭がさらなる大舞台に飛躍するスターホースに成長することを夢見る。

「2頭ともまだ若いですし、一戦一戦、慎重にレースを選んで競馬を教えながら、古馬になった時にしっかりと強い競馬ができるように育てていきます。能力が高い馬たちなので、先々は南関東だけでなく中央の馬とも好勝負ができるように育てたいですね」

「スターホースが出てこそ競馬は盛り上がります。2頭がスターホースになって対戦することになれば競馬を盛り上げることができますし、そうなれば本望です」

取材・構成=音堂泰博

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