現役時代はヤクルトスワローズ(現:東京ヤクルトスワローズ)などで捕手兼外野手として活躍し、引退後は読売ジャイアンツのファームバッテリー兼打撃コーチを担当。現在はDAZNのプロ野球放送で解説を務める秦真司氏が、盤石な巨人投手陣の強さを分析した。※インタビューは10/17に実施
(インタビュー・構成=川嶋正隆)
──投手陣についてお伺いします。エースの菅野智之投手が圧巻の投球を見せていますね。
キャンプで取材したのですが、投球フォームを大きく変えましたね。昨シーズンが終わって、このままではダメだというイメージがあったようです。勤続疲労があり、体のメンテナンスも含めて振り返って、自分なりに投球フォームを見つめ直したなかでの決断でした。先に腕を動かして始動するフォームに変えたのですが、彼の考えと体の動きがマッチングできたんじゃないかなと思います。
様々な状況に対応し、変化できる選手が成長できると思います。これまでやってきた、それしかないという選手だと、それ以上成長が望ましい。当然ですが、相手も研究してきますし、こちらは疲れも出てきます。そのなかで工夫して、変化できる選手が毎年活躍できる選手の大きな要素だと思っています。
菅野は考える能力と感じる能力が高い。さらに実行して行動に移せる部分もすごいと思います。あとはジャイアンツのエースというプレッシャーは、並大抵ではないです。おそらく彼の根底には、技術を磨けば伸びるという自信があるのでしょう。プロとしての技術をいつまでも磨き続けるという部分があるから、探求し続けているのだと思います。
──投球フォームがハマり、開幕から13連勝の日本記録を達成しました。残念ながら10月13日に行われた広島東洋カープ戦で今季初黒星を喫しましたが、それでも素晴らしい成績を残しています。
負けがつくことなくシーズンを終えて、今年のオフはどうするのかという楽しみがありましたが…。ただ負けることによって学ぶことがあります。体のメンテナンス、心のメンテナンス、そして技術を磨くことでどんな変化にも対応できるようになります。
菅野は何かを感じる能力が高い選手です。だからこそ今でも成長を続けている。一軍で活躍して、勝ち続けて、それを何年も続けることはとても大変なことですよ。今年のチームの成績は、当然ですが、菅野以外の選手の活躍もありますが、彼の活躍なくしても無理だったしょう。
──一方で菅野選手以外の先発陣はやや元気がない印象ですが。
先発陣に関しては物足りないものがあります。サンチェスが山口の15勝の穴をどれだけ埋められるかと期待されていたなかで、7勝はちょっと物足りないですね。今村信貴、メルセデス、桜井俊貴たちが先発として活躍できていないのは、チームとしてはすごく痛いというところです。
今後も含めて考えると、先発は若手選手が育ってきてもらわないと厳しいところでしょう。戸郷翔征が出てきたのはいいことですね。直江大輔なんかは、センスはあるがまだ身体ができてない。あと数年かかると思いますが、持っているものはいいものがあるので、身体になれば楽しみな選手です。
2軍にいる投手の若手が、どれだけ菅野の後ろを追いかけていけるのか。その筆頭は戸郷です。次に楽しみだった高田萌生が楽天に(高梨雄平とのトレードで)移籍したので、戸郷に継ぐ選手が出てきて欲しいですね。
高卒の場合は例え4年かかったとしても大卒からプロ野球に入ってくる選手と同じです。なので3年、4年かけてしっかりと育てて、一軍で活躍できるように成長させることが必要ですね。ただ、現状で2番手や3番手の投手のことを考えると、補強せざるを得ない状況でもあると思いますね。
──2番手の筆頭として期待されている戸郷選手が今年は素晴らしい活躍を見せています。新人王候補ともいわれていますが、彼の活躍をどのように見ていますか?
1年目からボールの強さはありました。それを見てかなり楽しみに思っていましたね。サイドから投げますし腕が長いので、右打者は背中からボールが出てくるような感覚で打ちづらいはず。
左打者に対しては見えやすいぶん、横の変化に対応しやすいでしょう。ただ、彼のスライダーは縦変化なので、左打者でも打ちづらい。チェンジアップやフォークなど他の縦変化のボールを覚えられれば、左打者からでも三振を取れるようになるはずなので、一軍で楽しみだなという印象でした。
今年で2年目ですが、思ったより早く活躍できていますね。元々ある力に加え、冷静なマウンドさばきと度胸があります。高卒2年目で、弱冠二十歳の選手が一軍のバッターに向かっていく姿勢というのは、できるようでできない。他には修正能力が大きく、そのおかげで成長できていると思います。
しかしアーム式の投げ方なので、故障は心配です。3年かけて、身体ができれば十分使えるかなと思っていました。そういう意味で、思ったより早く出てきたなという印象です。
──ここまで8勝を挙げており、2桁勝利も視野に入っていますね。
通常の試合数であれば、12勝ぐらいできるイメージはあります。ただ、1年を通して働くのは初めてです。さらに優勝争いとなると、疲労やストレスなども含めて身体に大きな負担がかかってきます。ただ、この貴重な経験が彼の中で財産になるでしょう。
秦真司氏 インタビュー
仁志敏久氏 インタビュー
プロ野球 関連ページ
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。
● 【番組表】直近の注目コンテンツは?
● 【お得】DAZNの料金・割引プランは?