【最強は誰だ？】イチローの引退試合で満塁弾を放った男、ドミンゴ・サンタナ｜東京ヤクルトスワローズ｜新助っ人外国人選手名鑑｜プロ野球

今回のテーマは「新外国人選手」。助っ人外国人と言うほうが耳馴染みが良いかもしれない。

海を越えて日本の地に活躍の場を求めた彼らの働きは、チームの成績を左右すると言っても過言ではない。当たるか外れるか博打のような外国人選手の存在は、ファンにとっても非常に興味深いものだ。

今季は新型コロナウイルスの影響により現時点では来日できていないが、一足早く今季期待の新助っ人外国人選手を紹介していく。第5弾はヤクルトのドミンゴ・サンタナだ。

ドミンゴ・サンタナ（東京ヤクルトスワローズ）

外野手／右投右打／ドミニカ出身／29歳

すでに多くの日本の野球ファンは、ドミンゴ・サンタナのパワーを無意識のうちの目の当たりにしている。

今から2年前の2019年、シアトル・マリナーズとオークランド・アスレチックスが、日本で開幕シリーズを行った。この時、球場に足を運んだファンや、テレビの前で試合を見る人のほとんどの目は、試合後に引退を表明することになるイチローに向けられた。この「イチローのイチローによるイチローのための日本興行」となったシリーズの開幕戦で、逆方向のライトスタンドに豪快な満塁ホームランを放ったのがサンタナだ。

現在28歳のサンタナは、メジャー7シーズンで77本塁打を放った右のスラッガー。ミルウォーキー・ブルワーズ時代の17年には30本塁打を放った実績を持つ。ヤクルトにとってMLBでシーズン30本塁打を経験するほどの長距離砲が加わるのは、89年に来日したラリー・パリッシュ（MLB通算256本塁打）以来のことだ。

09年に16歳でフィラデルフィア・フィリーズと契約したサンタナは、早くからパワーヒッターとして注目された存在だった。その証拠にマイナー時代に経験した2度のトレードは、いずれもオールスター選手を獲得するための見返りとして差し出されたものだ。

3球団目となったブルワーズでそのパワーが開花し、16年に自身初の2桁ホームラン（11本）を放つと、レギュラーとして初めてフルシーズンを完走した17年は30本の大台に乗せた。開幕戦満塁弾を放った19年も21本を放つなど、猛者が集うMLBの舞台で、長距離砲としての地位を確立した。

バッティングの最大の特徴は、右方向へ大きな当たりを打てること。21本塁打を放った19年は、先の満塁弾を含め13本がセンターから右方向に打ったものだった。本拠地の神宮球場は屈指のホームランパーク（昨年は60試合で151本）として知られており、昨年は60試合で151本のホームランが乱れ飛んだ球場で何本打つのか期待が高まる。

一方で、サンタナには分かりやすい穴も多い。パワーヒッターの宿命とも言える三振だが、ご多分に漏れずサンタナも三振が多い。17年は151試合で178個、19年は121試合で164個と、1試合の1個以上のペースで三振を積み重ねている。また、速球に強く変化球に脆いのもこのタイプの打者に「あるある」の欠点で、変化球中心の日本野球に適応できないと、ブンブン丸と化す危険性をはらんでいる。

打撃の粗さ以上に大きな懸念材料は守備。こちらはメジャーでも指折りの拙守で、ライトもレフトも上手くない。走力は平均レベルなので守備範囲が狭いというわけではないが、キャッチングや打球判断に大きな問題を抱える。ただ、ヤクルトファンにとって外国人外野手のまずい守備はウラディミール・バレンティン（現ソフトバンク）で慣れっこなので、走力で勝るサンタナのほうがマシに映るかもしれない。

期待と不安が交差するサンタナ。昨季在籍したアルシデス・エスコバー（現FA）が打撃ではほとんど貢献できなかっただけに、村上宗隆、山田哲人に次ぐパワーヒッターとして得点力アップにつながる働きが求められる。サンタナがバレンティンのように「守備には目をつむる」ことが許されるほどバットで貢献できれば、ヤクルトは2年連続最下位から抜け出せるかもしれない。