30日の阪神戦(東京D)で先発が見込まれている、巨人のマット・シューメーカー投手(35)は、伝統の一戦での初勝利を狙う。16日の阪神戦(甲子園)では最速149キロの直球にスライダー、スプリット、ツーシームなど多彩な球種を操って、6回2失点(自責1)と及第点の投球を披露したが、打線の援護に恵まれず初黒星を喫した。「四球3つに、フルカウントも多くなってしまい、球数が増えてしまったことが反省だね」と話していた助っ人が本拠地でのリベンジを目指す。
メジャー通算46勝のシューメーカーは、188センチの長身で、「ノーラン・ライアンはもちろん、ロジャー・クレメンスを参考にしている」という左足を顔の高さまで上げるダイナミックなフォームから、平均148キロの直球を投げ込む本格派右腕。スプリットを決め球に、高速シンカー、スライダー、ナックルカーブも持ち球とし、14年オフには日米野球にMLB選抜として出場した経歴を持つ。
巨人入りが決まると、メジャー時代にトレードマークだった立派なあごひげを15年ぶりにそり、「以前、日米野球で来日していたことがあって、妻とまた日本に来られたらいいねと言っていた。そういった機会が訪れて興奮してますし、喜ばしいことだと感じます」と新天地でプレーすることを心待ちにしていた。18年にはエンゼルスで大谷翔平とプレーした経験もあり「日本で楽しんできてね」と背中を押されたという。
多くの外国人選手が悩まされる文化の違いも、この男には問題にならなそうだ。「日本に行った時に、多くの人たちが野球を愛しているのだと感じた。とても親切ですし、すごく感動しました。日本の選手も才能があって、素晴らしい選手ばかりという印象」。アンドリースら新助っ人たちと2月中旬から米アリゾナ州トゥーソン市内の「キーノ・スポーツコンプレックス」で行っていたミニキャンプでは、NPB球を試しながら練習を行うなど、日本球界へのリスペクトがあるだけに、真摯に学ぼうとする姿勢も人一倍だ。
来日後、2軍本拠地・ジャイアンツ球場で調整していた際は、全体練習の前に個人練習を行う徹底ぶり。猛練習を行うなど、日本人選手よりも日本人らしい一面を見せたりもしている。食生活の面でも、日本食への適応にも苦しむことなく「寿司が大好きです」とまったく問題ない。
来日初登板となった9日のヤクルト戦(東京D)から2戦で防御率1.42と好投しながら未勝利だったが、前回23日の中日戦(バンテリンD)では7回2死まで一人の走者も許さない完全投球で圧倒。9回122球を投げて2安打8奪三振、無四球で来日初勝利を初完封でマークした。三度目の正直で見事白星を挙げ、「素晴らしいジャイアンツファンの前で接戦、投手戦ができて、なおかつ伝統のあるチームのユニホームを着て勝てたというのはとても光栄なことです」と喜びをかみしめた。
「みんなから『シュー』と呼ばれているから、『シュー』と呼んで」と、明るさと気さくさも持ち合わせている頼れる助っ人が、巨人のV奪回、そして日本一への使者となる。
文・灰原万由
1997年6月20日生まれ。24歳。千葉市生まれ、大阪府吹田市育ち。東京工業大学附属科学技術高から中央大学法学部を経て、2020年報知新聞社に入社。昨年から読売ジャイアンツ担当。主に投手を取材中。
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