阪神タイガースの坂本誠志郎にとって2021年は、存在価値を大きく示す一年となった。
坂本といえば、正確なキャッチングや鋭い洞察力が持ち味。さらにムードメーカーとしてチームメイトから信頼を得ている。プロ2年目の小野寺暖は「困ったら誠志郎さんに相談します。何か困ったら誠志郎に聞いとけばいいやみたいな感じがある」と絶大な信頼を寄せた。
実際にチームの調子が落ちてきた7月には、ムードを変えるために自ら『虎メダル』を作成。7月14日のDeNA戦で、反撃の狼煙となる本塁打を放った近本光司にその虎メダルを贈呈するなど、チームの結束力を高めるのに一役買った。
他にも試合前のベンチで「今日は表彰式を行います」と佐藤輝明を呼び出し「賞状。三振数優勝佐藤輝明殿。あなたはプロ野球の歴史上新人最多となる121三振の記録を更新したことをここに表彰します。どんどん記録を伸ばしてダントツ一位になってください」と打撃不振になっていた佐藤をいじる。
さらに「フルスイングはやめないでください。三振を気にするよりもチームの勝利に貢献するホームラン・一打を打ってください」と応援メッセージを送り、ここでもチームの雰囲気を一気に変えてしまったのだ。
自分が試合に出られなくても仲間を支える。坂本の行動の裏には、チームとして優勝したいという思いがあった。
「もちろん、自分が出て、自分が活躍して、チームが勝って、優勝して。それが一番最高だと思いますし、目指してやっています。でも試合に出ている9人だけが阪神タイガースとして野球をやっているわけではないし、優勝に貢献するために、野球以外で何かできたらいいなという思いは常にありました」
そんな坂本にチャンスが訪れる。10月12日の読売ジャイアンツ戦だ。
藤井彰人一軍バッテリーコーチは、出場機会に恵まれないながらも坂本を「相手を研究する洞察力、状況に応じたプレー、判断力、決断をグラウンドで表現できる選手」と高く評価。特にこの巨人戦では、坂本の洞察力が生かされることとなった。
2-1と1点リードで迎えた7回裏、2死一、二塁のピンチの場面で打席には坂本勇人が立つ。スタメンマスクを被った坂本は、前の3打席を全てアウトコースで勝負して凡退に抑えていた。この打席でも同じように2球続けてアウトコースに投じた。
しかし、坂本はマスク越しに打席の坂本勇を観察。3球目には、坂本勇が得意とするインコースにあえて投じてファウルを誘うと、そこからは一転してインコース攻め。最後は遊ゴロに仕留めてピンチを脱出したのだ。
坂本はこの日から最終戦までスタメンマスクを被り続け、11試合の平均失点は1.45と最高の結果を残した。
プレーでは鋭い洞察力、チーム内では明るいムードメーカーとして貢献してきた坂本。今年は残念ながらチームの悲願を達成することはできなかったが、早くも来年の活躍に期待したい。
関連ページ
● 阪神タイガースが佐藤輝明、伊藤将司、中野拓夢と契約更改 | プロ野球
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。
● 【番組表】直近の注目コンテンツは?
● 【お得】DAZNの料金・割引プランは?