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【コラム】得意な交流戦でまさかの球団史上最低勝率…ソフトバンクが苦しんだ要因は?|プロ野球

田尻耕太郎
【コラム】得意な交流戦でまさかの球団史上最低勝率…ソフトバンクが苦しんだ要因は?|プロ野球時事通信
【コラム】交流戦を得意とする福岡ソフトバンクホークスだが、今年は過去最低勝率となる3割5分7厘と苦しい戦いが続いた。ホークス取材20年目となる田尻耕太郎氏が明かす敗因とその中で見えた明るい話題とは?
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埋まらなかったモイネロ&森の不在

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5勝9敗4分──。ソフトバンクは過去8度優勝した得意のはずの交流戦で9年ぶり3度目となる負け越しを喫したうえに、勝率3割5分7厘で過去ワーストを記録した。

この9敗の内訳を見ると、リリーフ投手に黒星がついたのが4試合もあった。モイネロと森唯斗が不在となったブルペン陣の不安がそのまま露呈した形となった。

交流戦前に工藤公康監督は「みんなで埋めるしかない。最後の1イニングは岩嵜(翔)くんに行ってもらう。七回と八回は特定の誰かではなく、3、4人でいってもらうことになると思います。順番を入れ替えたり、というのもあると思います」と勝ちパターンの継投策についての考えを明かしていた。“日替わりセットアッパー”の候補者は嘉弥真新也、泉圭輔、津森宥紀、そして板東湧梧という算段だった。

なかでも開幕から好調なのが泉だった。交流戦突入時点の防御率は0.96の安定感で、特にキーマンになると思われていた。しかし、一方で交流戦前の5月19日、20日の西武戦で連続失点するなど登板過多から調子が落ち気味だったのも事実だった。

その中で迎えた交流戦開幕カードだった中日との2戦目で、早くも悪い予感が的中してしまった。3-4で敗戦したこの試合は、八回に同点に追いつくもその裏に4番手・泉が阿部寿樹に浴びたソロ本塁打が決勝点となってしまった。泉は5月30日の巨人戦でも1点ビハインドの八回に、スモークに一発を献上した。

これによって首脳陣は新たな勝負手に打って出た。6月1日のDeNA戦では2点リードの八回に松本裕樹をマウンドに送ったのだ。一時は先発ローテを任され、交流戦に入ってからはロングリリーフで好投を続けたことで白羽の矢が立ったようだが、慣れないシチュエーションで力を発揮できなかったのか、まさかの3失点で逆転を許した。この日はこのまま3-4で敗戦した。

もう悪循環は止められず、6月3日の同じくDeNA戦では同点七回に2番手で登板した泉がまたも痛恨の勝ち越し打を浴びて再び黒星を喫した。また、交流戦最終カードだったヤクルトとの2戦目(6月12日)では同点の八回にマウンドに上がった2番手の板東が山田哲人に2ランを左翼席中段に運ばれて敗戦投手となっている。

ソフトバンクといえば、前身のダイエー時代から盤石の必勝リレーこそが常勝の屋台骨だ。ペドラザや篠原貴行がいた王監督時代。SBM(攝津正、ブライアン・ファルケンボーグ、馬原孝浩)が奮闘した秋山監督時代。そして現政権下でもサファテや森、岩嵜の存在がとてつもなく大きかった。

敗戦はブルペンだけのせいではない

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今年の交流戦ではソフトバンクらしい戦い方が出来なかった。しかし、ブルペン陣に敗因のすべてを押しつける気にはなれない。難しいチーム状況の中で彼らはベストを尽くそうとして懸命に投げた。もちろん悔しくないはずはない。泉も松本も板東もまだ20代中盤のピッチャーたちだ。これを経験と糧にひと回り大きく成長してほしいと願う。

とにかく、投手陣については交流戦全体を見れば大健闘だったといえる。チーム防御率3.04は12球団トップだった。

先発陣が安定した。特に交流戦ラスト1週間の6試合では、6月8日の広島戦の武田翔太が7回1失点、同10日の広島戦は例が8回1失点、同11日のヤクルト戦は石川柊太が8回1失点、同12日のヤクルト戦はマルティネスが7回2失点だった。

評価基準であるQS(6回3自責点以内)のもう一つ上のレベルのHQS(7回2自責点以内)を1週間で4人の投手が記録したのだ。にもかかわらず、この4人は誰も白星を手にすることが出来なかった。これはちょっとした異常事態である。

輝きを放った若手打者たち

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この交流戦、とにかく打撃陣が打てなかった。交流戦チーム打率2割3分3厘は12球団中11位だった。

現時点で交流戦首位打者はビシエド(中日)の4割4厘。交流戦は全18試合の短期集中開催のため、ハイアベレージを残す打者も誕生しやすい。その打率ランキングを上から見ていっても、ソフトバンクの選手の名前はなかなか見つからない。いや、全然いない……、ようやく栗原陵矢の名前があった。全体43位、打率2割6分9厘が規定打席到達選手の中でチーム最上位だった。

以下、55位に今宮健太(2割3分1厘)、57位に柳田悠岐(2割2分7厘)、58位に中村晃(2割2分4厘)、60位に松田宣浩(2割2分)、66位に甲斐拓也(2割3厘)。

三森大貴や柳町達といった交流戦期間中に一軍昇格を果たして、規定打席未到達ながら輝きを放った若手たちがいたことでチームは随分と救われた。9年目になった真砂勇介も6月5日の阪神戦ではプロ初の5番に座って反撃の狼煙となる適時二塁打を放ち、沈み気味だったベンチを大いに活気づかせた。

一方で交流戦打率3割8分5厘を残した長谷川勇也はともかく、ベテラン陣に少し元気がないように映る。守備でもミスが見られる松田や5月16日の試合を最後にヒットのない明石健志は特に気がかりだ。選手起用に対してファンの厳しい声も散見されるが、実績あるベテランの力は勝負どころとなる時期には必ず大事になってくる。

一軍から外せば解決するといった単純な問題ではない。とはいえ、手を打たなければ停滞感も否めない。工藤監督や小久保裕紀ヘッドコーチら首脳陣は、18日のリーグ戦再開までの4日間の猶予の中でどのように考えを整理するのか。

今週末のファイターズ3連戦は今後のチーム方針を窺い知ることのできる注目カードになりそうだ。

※成績、順位などは6月13日時点

文・田尻耕太郎

1978年生まれ、熊本市出身。法政大学卒。ホークス球団誌の編集を経て、2004年夏にフリーに。一貫して「タカ番」スタイルの現場主義を大切に取材活動を続けており、2021年にちょうど20年目のシーズンを迎えた。「Number」など雑誌・ウェブ媒体への執筆のほか、ラジオ出演やデイリースポーツ特約記者も務める。

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