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パ・リーグ制覇のオリックスに死角なし!山本由伸はイチローになれるか?|プロ野球

パ・リーグ制覇のオリックスに死角なし!山本由伸はイチローになれるか?|プロ野球時事通信
【プロ野球 インタビュー】『2021 パーソル クライマックスシリーズ パ』(CS)が6日に開幕する。DAZNで解説を務める飯田哲也氏に、パ・リーグのCS優勝争いの展望を語ってもらった。
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日本シリーズ出場チームを決める『2021 パーソル クライマックスシリーズ パ』が6日開幕する。

25年ぶりにパ・リーグを制覇したオリックス・バファローズ、惜しくも2位に終わった千葉ロッテマリーンズ、苦しいシーズンながらも3位に滑り込んだ東北楽天ゴールデンイーグルスの3チームが、パ・リーグ代表をかけて激突する。

パ・リーグのCS優勝争いの展望を、DAZNで解説を務める飯田哲也氏に語ってもらった。

※インタビューは10月29日に実施。

山本由伸擁するオリックスが断然有利

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──クライマックスシリーズ(CS)が6日に開幕します。率直に日本シリーズ出場を手にするのはどのチームになるとお考えですか?

飯田哲也(以下、飯田 ) オリックスがパ・リーグ王者になったので、オリックスがこのまま勝ち上がるでしょう。オリックスが優勝するか2位でCSに出場するかで、結果は大きく変わったと思います。

優勝したことでアドバンテージの1勝があります。有利な状況で山本由伸が初戦を投げ、宮城大弥が2戦目に投げるので、突破はかなり堅いでしょうね。

──短期決戦ではチームの勢いも大事になってくると思います。ファーストステージを勝ち上がることで、下位チームは勢いを持って臨みます。それでもオリックスが有利?

飯田 有利です。おっしゃるように短期決戦は勢いが大事ですが、今の山本ならその勢いを止めてしまう。それくらい今年は圧倒的な投球でした。ちょっとやそっとじゃ打てない。ファーストステージを勝ち上がったチームにとっては、大きな壁ですね。

──オリックスは、ロッテや楽天に比べると1週間ほど実戦から離れています。そこが不安要素になるのでは?

飯田 打者については不安要素です。打線は水物で、終盤戦で調子が良かったとしても、間が開くことでどうなるかわからない。みんなが絶好調になる可能性もありますが、ここは不確定な要素が多いですね。

一方で投手について、休みは利点しかない。一週間でも肩を休めることで投球が変わってきます。長いシーズンを戦ってきた山本や宮城、さらには中継ぎ陣にとっては、疲労を抜くために良い一週間になるでしょう。

──ここまでの話でもあったように、やはり山本投手がキーマンになりそうですね。

飯田 そこはちょっと違っていて、山本は勝って当たり前です。だからこそ、宮城がキーマンになってくると思いますね。宮城がどこで投げるかわかりませんが、2戦目だとするとかなり大事になります。

初戦の山本が勝っていれば、宮城で王手をかけられる。仮に負けていた場合、宮城が勝てば再び勝ち星でリードできる。特に山本で負けてしまうと焦りが出てしまい、下位チームに下克上を許しかねません。

エースの山本の後を受けて、結果が求められる選手という意味で、宮城がキーマンでしょうね。

──打者のキーマンは誰だとお考えですか?

飯田 ベテランのT-岡田だと思います。シーズン中に好調だったラオウ(杉本裕太郎)はかなりマークされるでしょう。ラオウが打てなかった時に、その後を打つ岡田やモヤが鍵を握ってきますね。

──杉本選手の今年の活躍ぶりを見ても、CSではかなり徹底したマークをされそうですね。

飯田 データはかなり揃っているはずです。一番心配しているのは、経験の部分。ラオウは、大きなプレッシャーがかかるCSを戦ったことがないので、そこを耐えられるかどうか。

うまくいくかダメになるかの、0か100だと思っています。それくらいCSのプレッシャーは重たいものです。だからベテランのT-岡田が、頑張らないといけない状況も出てくると思います。

──経験でいうと、最近のオリックスはCSに出られていませんでした。この経験の差は大きい?

飯田 大きいです。経験が少ないのは事実ですが、あとは中嶋聡監督がどう導いていくかだと思います。監督も初めてのCSで、かなりのプレッシャーを感じているでしょう。

そんな難しい状況のなかが、日々のミーティングで選手に何を伝え、どう練習してくるか。この1週間の使い方で変わってくると思います。

──とはいえかなりオリックス有利と見ている?

飯田 山本という切り札がいますからね。山本が最初に投げて、6戦目も投げる。そこで2勝できればあとはどこで1勝をとるか。切り札があるのは強いですね。

ファーストステージは運の要素が強い

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──そのオリックスへの挑戦権をかけたファーストステージについては、どのように見ていますか?

飯田 ファーストステージは、最大3試合の超短期決戦です。チームの実力ではなく、運に左右される部分がかなりあります。勝ち上がるためには、その日の投手の出来が大事ですし、野手ではラッキーボーイが必要になってくる。どっちが勝ってもおかしくないですね。どっちが勝ち上がるか予想できないです。

──勝敗を分けるポイントはどこだとお考えですか?

飯田 一番は投手の出来です。短期決戦だからこそ、レギュラーシーズンではボヤける無駄なファーボールやエラーが、敗退に直結します。投手には粘りの投球が求められますね。

──ロッテと楽天の投手力の差は?

飯田 先発の頭数は互角ですが、中継ぎはロッテに分があると見ています。楽天も松井裕樹が復帰して投げたと聞いていますが、ぶっつけ本番になるでしょう。ロッテは、盤石の中継ぎ陣で白星を積み重ねてきました。総合的に見て、ロッテが有利かなと思います。

──短期決戦ですし、どんどん投手を交代する継投も考えられます。そうなるとロッテが有利?

飯田 ある程度は先発に投げさせると思います。無闇に先に仕掛けてやられると、次の試合から躊躇してしまう。そうならないためには、先発が試合を作る必要がります。序盤からボロボロなら変えてしまったほうがいいですが、早め早めの継投は考えにくいですね。

2021-03-12-npb-Marines-Sasaki

──先発では、ロッテの佐々木朗希投手がCSの1試合目に投げるといわれています。

飯田 それは首脳陣からの期待の高さですね。短期決戦の鉄則ですが、状態の良い選手から投げます。ロッテの監督やコーチたちが話し合って決めているはず。

「今は誰が一番良いんだ?」
「佐々木です」
「よし開幕戦で使おう」

つまりは、ロッテの首脳陣から見て、今一番良い投手が佐々木だということです。

──CSの開幕戦はかなりプレッシャーだと思います。

飯田 今の若い子たちは、あまりプレッシャーを感じないようです。佐々木も淡々と投げられる気がしますね。「1試合目ですか、わかりました」くらいでしょう。

終盤の佐々木の投球を見て、首脳陣も彼を思い切って起用するはず。それが1戦目か2戦目かはわかりませんが、ロッテとしては良い投手から順に投げさせる。現時点で佐々木の状態が良くて、出番が回ってきたということですね。

CSファイナルに勝ち進むためには、ファーストステージの初戦が大事になります。佐々木が1戦目に投げるのであれば、首脳陣が今のロッテの中で結果が出せる選手だと判断したということです。

──楽天の先発はいかがでしょうか?

飯田 則本昂大が初戦を投げるでしょう。その後は岸孝之、早川隆久になるか、田中将大に投げさせるか。こちらもロッテと一緒で、誰が一番調子がいいかで変わってくると思います。

もし首脳陣が、早川の状態が良いと思っていれば、早川が1戦目に投げるでしょう。ロッテにしても楽天にしても、負けられないので絶対に調子が良い順番で投げてくる。つまりは、初戦を任された投手が、チームの中で一番調子が良い投手です。

──両チームの打線についてはいかがでしょうか?

飯田 ロッテには好調なレアードとマーティンがいます。楽天投手は彼らの一発をかなり警戒しないといけないですね。楽天で一発があるのは浅村栄斗くらい。ロッテ投手陣としたら、投げやすさはあるはずです。

──お互いに好調の投手をぶつけ合う1戦目がかなり大事な試合になりそうですね。

飯田 4試合、5試合あれば、バランスをとった違った戦いになると思います。ただ、3試合しかないので、初戦はどちらも絶対に取りたい。そうなれば良い投手から投げさせます。だから1試合目に誰が投げるかに注目して観るのも楽しいですね。

山本由伸は1996年のイチローになれるか?

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──ここまで話を聞いてきましたが、改めてCS制覇はオリックス?

飯田 そりゃ切り札がいるから(笑)。有利ですよ。

──ここ数年はかなり投手力がついてきたチームでした。今年優勝できた要因はどこにあるのでしょうか?

飯田 中嶋監督の我慢でしょう。1番の福田周平、2番の宗佑磨のコンビもそう、紅林弘太郎もそう、ラオウも使い続けて形になって、本人たちの自信になりました。監督の我慢強さが、選手たちを成長させたと思います。

──以前お話を伺った際に飯田さんは「オリックスは我慢強さが足りない」と指摘していたのを思い出しました。

飯田 以前からオリックスは若い選手を使っていました。しかし結果が出ないとすぐに変えてしまう。今までは一人前に育てることができていませんでした。

今年は多少ダメでも使い続けて、その結果選手たちの自信につながり、チームが優勝できた。来年以降は、オリックスを優勝候補に挙げる解説者も増えてくるでしょう。それくらいの力があるチームに成長できたのは、中嶋監督の我慢強さがあったからです。「こいつを育てるんだ」という采配がハマったと思います。

──中島監督といえば、1996年に日本一になったメンバーの一人です。その前年、1995年には飯田さんのヤクルトと対戦しています。当時のオリックスはいかがでしたか?

飯田 あの時のオリックスは、イチロー、イチロー、イチローとイチローばかりでした。何に変えてもイチロー。しかしその脇を固める、田口壮選手などもしっかりとした働きをしていました。イチローだけが目立つわけではなく、周りもしっかりしている強いチームでしたね。

──当時のオリックスはイチローフィーバーでした。今年は?

飯田 そりゃ山本ですよ。山本、山本、山本! もう圧倒的ですから。逆に下位チームは1戦目を叩けば、オリックスを焦らせることができる。CSはどの試合も1戦目に全集中ですよ。

インタビュー・構成=川嶋正隆

1986年5月9日生まれ、福岡県福岡市出身。大学卒業後に携帯サイト『超ワールドサッカー』のライター兼編集者として勤務。2018年からフリーライターとしての活動を開始し、『フットサル全力応援メディアSAL』の立ち上げに参画。2018年には、Fリーグに参戦したロベルト・カルロスの単独インタビューを行った。現在は『ABEMA TIMES』などに寄稿している。

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