今春のキャンプ初日、そして最終日に矢野燿大監督はオレンジ色のフレームのサングラスをつけていた。明らかに意識していたのは宿敵の存在だ。
「最初と最後はこれでいこうかと思って。毎回言うように巨人にだけ勝っても優勝はできひん。でも巨人を意識して戦うというのは俺たちがレベルアップするためにも必要なことだから」
監督就任以来、19、20年と巨人にリーグ制覇をさらわれてきた。今季は首位・ヤクルトに3ゲーム差をつけられ、ペナント奪回に黄信号がともっているが、阪神にとっては12日からの巨人3連戦(東京D)は絶対に負けられない戦いとなる。
ここまで今季の巨人戦は11勝9敗2分と勝ち越している。残り3試合で1勝すれば、07年以来、実に14年ぶりに伝統の一戦の勝ち越しが決まるのだ。
12日から青柳、西勇の順で登板し、14日の第3戦には高橋が中5日で先発する見込みだ。9月25日の巨人戦(東京D)でも13奪三振と完璧な投球でシャットアウト勝ちを収めたが、本人は満足していない。キャンプ中に右脇腹を痛め、その後は肩肘のコンディション不良もあり、1軍復帰が9月までずれ込んだ。
「復帰が遅れたので、1試合でも多くチームを勝たせられるように。迷惑をかけているので、自分がチームを助けられるようにしたいです」。8日のヤクルト戦(神宮)では5回4失点と打ち込まれたが、残り試合に全力をかける覚悟はできている。
近年は明らかに分の悪い巨人戦だが、矢野監督が正捕手として君臨していた2000年代前半はむしろ阪神が優位を保っていた。
18年ぶりのリーグ制覇に輝いた03、そして翌04年はともに17勝10敗1分と直接対決で圧倒。再びペナントを奪回した05年も14勝8敗と大きく勝ち越した。指揮官にとっても節目の1000試合出場、1000安打はいずれも巨人戦。05年の優勝決定も、甲子園での伝統の一戦だった。
シーズンは残り11試合となり、ペナントの行方は見えつつあるが、今季は2年ぶりにクライマックス・シリーズが控えており、再び両球団が相まみえる可能性もある。アドバンテージの勝敗を除けば、CS通算では阪神からみて6勝7敗と均衡。短期決戦を見据えても、重要な3連戦になることは間違いない。
選手会長の近本は今春のキャンプのあいさつで「ここ数年、チームの年齢層も若くなり、過渡期になっていましたが、今年から黄金期に入ります」と宣言した。言葉の通り、常勝チームを築く上では、G倒は避けては通れない。オレンジに染まった敵地の観衆の中で、虎戦士がシーズンのラストスパートをかける。(報知新聞社・表洋介)
文・表洋介
1979年10月17日生まれ。41歳。2003年に報知新聞社に入社。04年から阪神、中日と主にセ・リーグを担当。
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