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【コラム】長谷川勇也2世。好調ホークスを支える藤本チルドレン・柳町達が急成長中|プロ野球

【コラム】長谷川勇也2世。好調ホークスを支える藤本チルドレン・柳町達が急成長中|プロ野球時事通信
【プロ野球 コラム】ゴールデンウィーク連戦を6連勝で締めくくった福岡ソフトバンクホークス。その原動力とも言える活躍を見せている柳町達について、ホークス取材歴20年を超える田尻耕太郎氏が語った。
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「バットを振らなかったら何にもならない」

ゴールデンウィークの福岡に「日常」が戻った。

博多どんたく港まつりが3年ぶりに開催。完全に元通りの世の中ではないが、かねてより「どんたくシリーズ」と呼ばれてきた5月連休中の福岡での3連戦も、多くのファンで連日賑わった。

5月5日、やはりこの日は大勢の子どもたちがPayPayドームに駆けつけた。「こどもの日」のホークスは強い。今年もバファローズを相手に9-3で快勝して、これで引き分けを挟んで7連勝とした。

キラキラな眼差しを一身に浴びたヒーロー。この日、上林誠知と共にお立ち台に上がったのは、3年目外野手の柳町達(たつる)だった。

同点の6回に決勝打を放った。1アウト二、三塁でバファローズ先発・ワゲスパックの151キロのツーシームを迷いなく振り抜くと、打球は左中間へ鋭く飛んでいった。走者2人が生還する勝ち越し二塁打となり、ホークスに勝利を引き寄せた。

打ったのは初球だ。そこに1つ意味があった。

1日のイーグルス戦(楽天生命パーク)の初回だ。2アウト満塁と攻め立てたが、柳町は見逃し三振に倒れた。試合は6回降雨コールドの1-2での敗戦。藤本博史監督は試合後の取材で「早い回でのチャンスをものにしないと、こういう結果になる。バットを振らなかったら何にもならない」と敢えて厳しく言った。

だが、4日の試合でも初回2アウト満塁でバットが出ずに三振した。そんな背景もあり、5日の試合前には首脳陣ミーティングの中で「どんどん行って、結果的に凡打になるのは仕方ない。だけどボールを見ようという傾向があった」と確認がされ、森浩之ヘッドコーチから打者全体へ「今日は思いきって行こう」という指示が出されていた。

もちろん、その言葉は柳町の心にしっかり届いていた。

「自分自身では(消極的という)意識をしていなかったけど、どう見られていたわけですし、結果的に見逃し三振をしていた。そうなのかなと思い、打席に臨んでいました」

首脳陣からの非難は、期待の裏返しだ。

長谷川勇也2世

慶應義塾大学から入団して今季3年目となる。伝統ある大学で入学してすぐにレギュラーをつかみ、輝かしい実績を積み上げてきた。各校のエースも打ち砕いた。1年生春のリーグ戦では明大のエースだった柳裕也(現ドラゴンズ)から2安打。2年生春季リーグ戦でも早大の早川隆久(現イーグルス)から逆転満塁本塁打。3年生の春にはリーグ優勝し全国大学野球選手権に出場。苫小牧駒澤大学(現北洋大学)戦で伊藤大海(現ファイターズ)から3安打した。

慶大では4年間で計8シーズンのリーグ戦通算102試合にフル出場する珍しい記録を打ち立てた。同大学では元ジャイアンツの高橋由伸氏以来だった。また、歴代13位となる通算113安打もマークした。その実績を引っ提げて、2019年ドラフト5位でホークスに指名された。

正直、ドラフト順位から見てわかるように、プロスカウトからの評価は高くはなかった。ずば抜けた長打力も、脚力も、守備力もない。打撃センスがトップレベルなのは間違いないが、アマチュア球界の実績だけでは真の実力を測るのが難しかったのだろう。

確かに1年目はプロのスピードへの対応に苦しみ、一軍出場は12試合で放ったのは1安打のみに終わった。2年目も序盤は苦しんだ。6月に一軍昇格するもアピール不足で2週間足らずでファームへ戻った。しかし、ここから一気に殻を破る。ずっと打撃で試行錯誤していたが、体の開きを抑えること、打撃練習からしっかり振って打球速度を上げること、その幾つかのポイントがファームの中で整理できるになった。昨年8月はウエスタン・リーグで月間打率.396を残してファーム月間MVPに輝いた。そして、シーズンを通してはウエスタン最多の88安打もマークした。

その姿を、昨年ファームを率いていた藤本博史監督はずっと近くで見ていた。

また、柳町を高く評価する首脳陣がもう一人いる。それが昨季限りで現役を引退して一軍打撃コーチに就任した長谷川勇也コーチだ。

昨年秋に自身が引退試合を終えたすぐ後に出演した在福テレビ局のスポーツ情報番組内で「ホークスの中で長谷川2世は誰?」と問われると、ちょっと考え込んでから「柳町」と明言した。

「彼もどちらかというと、いぶし銀タイプ。じっくり球を選んで打っていくスタイルで、ホークスにはいない。しっかりその技術を自分のものにして、9人並ぶ中で個性のある1人になってほしいから」

柳町も「まさか、僕だとは」と驚いていたが、その言葉を聞いた直後だった10月25日のシーズン最終戦だったマリーンズ戦でプロ1号本塁打を含む、プロ初の猛打賞と大活躍してラストゲームだった工藤公康前監督に白星をプレゼントした。その日のヒーローインタビューでは「来季は一軍でレギュラーを獲ります。引退した長谷川選手のようなバッターに成長していきたい」と普段は控えめな男が、声高らかに飛躍を誓った。

打率.369の隠れ首位打者

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迎えた今シーズン。開幕はファームからのスタートだったが、同じ外野手の栗原陵矢が左膝負傷離脱したことで一軍に昇格した。

「何とか一日一日アピールする気持ちが良い形に出ていると思います」

今は、タイミングの取り方をすごく意識しているという。

「それが出来ているのが好調の要因かなと思います」

4月下旬からヒットを量産し始めた。冒頭に記したこどもの日の試合で連続試合安打を10まで伸ばした。

翌6日はZOZOマリンスタジアムに舞台を移してのマリーンズ戦。対するは令和の怪物、佐々木朗希だ。「打てれば一番良いですが、1つでも出塁、1球でも多く投げさせる。チームの勝利に近づける打席にしたい」と謙虚に語っていたが、第2打席で160キロ直球を弾き返して左翼フェンス直撃の二塁打にした。

7日は6打数3安打で今季2度目の猛打賞をマーク。8日は無安打に終わり連続試合安打は「12」で途切れたが、現時点で.369のハイアベレージだ。規定打席には13足りていないが、パ・リーグ首位打者に立つ松本剛(ファイターズ)の.352を大きく上回る打率を残している。

世代交代を掲げてスタートした藤本監督のもとで、これ以上ないチャンスを生かした柳町。ファームから這い上がった「藤本チルドレン」の活躍はホークスをさらに活気づかせていく。

文・ 田尻耕太郎

1978年生まれ、熊本市出身。法政大学卒。ホークス球団誌の編集を経て、2004年夏にフリーに。一貫して「タカ番」スタイルの現場主義を大切に取材活動を続けており、2021年にちょうど20年目のシーズンを迎えた。「Number」など雑誌・ウェブ媒体への執筆のほか、ラジオ出演やデイリースポーツ特約記者も務める。

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