2021年の阪神タイガースを語る上で、ルーキーたちの活躍は欠かせない。
ドラフト1位の佐藤輝明はNPB新人左打者最多となる24本塁打を放ち、同6位の中野拓夢はNPB史上3人目となる新人ながら盗塁王のタイトルを獲得した。野手の2人に負けず劣らずの成績を残したのが、同2位の伊藤将司だ。
23試合に登板し10勝7敗、防御率2.44で球団新人左腕では67年の江夏豊以来となる2桁勝利をマーク。新人王のタイトルこそ逃したものの、佐藤、中野と共に新人特別賞を受賞した。
伊藤といえば、独特のフォームから打たせてとるピッチングが持ち味だ。2021シーズンに奪ったアウトのうち、74.5%がゴロまたはフライアウトと、凡打の山を築いた。
あの豪快なフォームはどのようにして生まれたのか──。
伊藤自身は「自分が思っているよりも右手が上がっていますね」と笑う。振り返ると「横浜高校時代に渡辺監督に教えてもらって以来、変えずにやっている」とのことで、伊藤の原点とも言える渡辺元智さんに話を聞いた。
渡辺さんは、すでに横浜高校野球部を勇退。現在は高校野球中継などでゲスト解説を務めている。
渡辺さんは当時の伊藤を「ボールがめっぽう速いわけではないがコントロールを磨けば」と一目置いていた。さらに、当時は千葉ロッテマリーンズで活躍していた成瀬善久投手(現在はBCリーグ栃木ゴールデンブレーブスで投手兼任コーチ)との共通点を見つけ「成瀬のやってきたことを伊藤に当てはめたらきっとうまくいく」と閃く。
「成瀬もボールは速くなくて、コントロールを信条とする投手にさせようと思っていました。伊藤とは、まさに体型も投げ方もよく似ている。性格も似ている」
それから渡辺さんは、成瀬を指導した時と同様に伊藤に徹底的にコントロールを磨かせた。その指導方法は独特で、壁とフェンスを用いて、あえて窮屈な姿勢からの投球を身に付けさせた。これによって腕の横振りを抑える投げ方が備わった。
さらに窮屈な状態からの投球によりテイクバックが小さくなる。これにより手元が体から離れずに球の出どころが見えなくなる利点もあった。これについては成瀬が解説している。
「投げる時に、バッターにテイクバックを見られてしまう状況だと、相手はタイミングが取りやすい。見えないと『あれ?あいつどこからなげてくるんだろう?』ってなる。だから打者は差し込まれやすくなるし、詰まりやすくなる」
高校時代に身につけた豪快なフォームは、プロでも通用することが証明された。抜群の制球力と隠れる手元で、2年目は左腕エースとしてさらなる活躍に期待がかかる。
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