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【コラム】アクシデント続きの8月を乗り越えたのは「ちびっ子軍団」の活躍。期待の若鷹トリオ・野村大樹、谷川原健太、増田珠の魅力とは? | プロ野球

【コラム】アクシデント続きの8月を乗り越えたのは「ちびっ子軍団」の活躍。期待の若鷹トリオ・野村大樹、谷川原健太、増田珠の魅力とは? | プロ野球(C)時事通信
【プロ野球 コラム】勝負の9月を迎えた福岡ソフトバンクホークス。例年以上に主力選手の欠場が相次ぐ中、チームを支えるキーマンをホークス取材歴20年を超える田尻耕太郎氏に挙げてもらった。
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アクシデントに襲われた大事な8月

今年のパ・リーグは超団子状態のまま、ついに9月の終盤戦に突入した。2年ぶりリーグVを目指すホークスは8月24日に球宴明けの後半戦で初めて首位に浮上。同30日には2位に陥落してしまい、さらに8月最終カードとなったロッテ戦は4カードぶりの負け越しを喫してしまった。だが、8月の月間成績は14勝11敗1分。チームは6、7月と負けが先行しており、じつに3か月ぶりの月間勝ち越しを決めたのだった。

たった貯金3つと言うなかれ。これは大健闘だ。

今季は開幕当初から「これでもか」というほどアクシデントに襲われっぱなしのホークスだが、8月もまた悲惨だった。主な離脱者を以下のとおり。 

3日・大関友久(前日に精巣がん摘除手術)
4日・◎千賀滉大(新型コロナ陽性)、◎グラシアル(座骨痛)
10日・笠谷俊介(新型コロナ陽性)
12日・大竹耕太郎、渡邉陸(いずれも新型コロナ陽性)
18日・川瀬晃(新型コロナ陽性)
19日・中村晃、◎三森大貴、椎野新(いずれも新型コロナ陽性)
22日・柳田悠岐、牧原大成、周東佑京、柳町達、田中正義(いずれも新型コロナ陽性)
26日・◎松本裕樹(胃腸炎)、和田毅(コンディション不良)
30日・武田翔太(右肘靱帯炎症などが判明)
※◎はすでに一軍復帰

チームの飛車・角どころの騒ぎではない。特に攻撃陣のオーダーは8月中旬以降、大きく様変わりせざるを得なかった。

だがしかし、冒頭にも記したように、なにより鷹ファンの皆さんは既にご存じのとおり、ホークスは若い力の集合体で見事な快進撃を見せたのである。

若鷹たちの活躍でピンチを乗り越える

まずはカード3連勝で勢いに乗った19~21日の本拠地PayPayドームでの日本ハム戦。初戦は2年ぶりでプロ2度目の先発マウンドに上がった板東湧梧が5回2/3を1安打無失点に抑える快投で自身先発初勝利を飾った。そして2戦目もニューヒーローが現れた。ドラフト1位で入団して3年目の佐藤直樹が値千金のプロ1号2ランを放って勝利の立役者になった。打撃で苦しんだ若鷹だが、走塁や守備を見てわかるように身体能力は球界でもトップレベルだ。タイプとしてはヤクルトの塩見泰隆のように育っていってほしい選手である。余談だが、佐藤直の顔を見るたびに、筆者は同じ右打ち外野手だった中西健太(ウエスタンで首位打者を獲った2013年に引退)を思い出す(コレが分かる人は鷹ファン黒帯級!笑)。

圧巻は舞台を仙台に移しての23日の楽天戦だ。今季最多タイのチーム20安打を放って15-6と圧勝したのだが、その中でヒーローとなったのが2三塁打と2二塁打で4打数4安打4打点と大暴れした谷川原健太だった。さらに、この日は増田珠も4打数3安打をマークし、野村大樹は初回に貴重な2点タイムリーを放った。翌24日は延長戦にもつれ込む激戦の中、十一回表に決勝の犠牲フライと打ったのが谷川原で、2戦連続のヒーローインタビューを受けた。

この頃から「筑後ホークス」はたまた「ちびっ子軍団」なる言葉を目や耳にするようになった。さすがにプロ野球の一軍選手に「ちびっ子」は‥‥‥とドキッとしたが、名付け親は藤本博史監督。ならば遠慮はいらなさそうだ(笑)。

26日は札幌ドームでの日本ハム戦だったが、二回に谷川原のヒットなどでチャンスを作り増田が先制2点打。さらにこの日で4試合連続5番スタメンに起用されていた野村大もタイムリーを放った。藤本監督も「主力が帰ってきた時に、(スタメンを)悩むような形になってくれたら最高ですよね」と大喜びだった。

二軍から上がってきた選手、若手の活躍は上記にとどまらない。ドラフト2位ルーキーの正木智也もやはり「筑後ホークス」の一員だ。20日に一軍昇格を果たし、24日の楽天戦で1号ソロを放ちプロ初本塁打&初打点を同時達成。さらに28日の日本ハム戦では2号弾を含む4打数4安打と大活躍を見せた。29日のロッテ戦(京セラドーム)では奥村政稔が30歳でのプロ初先発で5回1失点と力投した。

ただ、やはり「ちびっ子」というフレーズが耳に残りやすい。藤本監督は野村大、谷川原、増田の3人を主に指していた(増田は登録では身長179cmあるのだが……)。

今、注目のトリオ。改めて彼らの特長や球歴、人柄などを紹介しよう。

注目を集める「ちびっ子軍団」とは?

20220902_npb_Hawks_Hasegawa(C)時事通信

野村大は今季入団4年目で、9月10日に22歳を迎える。幼い頃から文武両道で育つ中、同志社中学時代には日本代表に選ばれ、高校は早稲田実業に進んだ。つまり王貞治会長の後輩。1学年上には清宮幸太郎(日本ハム)がいる中でも下級生から4番打者を任され、打撃力を見込まれてプロ入りした。 

身長171cmと小兵。高校時代はスラッガーだったが、プロでは「勝負強さ」を生きる道としている。「とにかくチャンスに強く、打点を稼ぐバッターになりたい」と勝負強さをウリにしている。

「チャンスで打順が回ってくるとワクワクします。緊張はしない。むしろ楽しい。打てば大歓声が沸くんだろうな、みんな喜んでくれるなとかイメージをしながら打席に向かうようにしています」

まだあどけない顔をしているが、なかなかの強心臓の持ち主だ。

谷川原はドラフト3位で入団して6年目。豊橋中央高校時代は通算41本塁打を放ち、強打の捕手として注目を浴びた。身長174cmだが、下半身がどっしりとして力強さがあり、西武の森友哉を彷彿とさせた。

ただ、プロでは打撃で苦労した。気づけば三軍でセカンドやショートも守るユーティリティプレーヤーに。その中で外野を守った試合では「鬼肩」を披露し、まだ日本ハム監督に就任する前だった新庄剛志ビッグボスを驚かせてSNSが盛り上がったこともあった。

打撃力アップの師匠は柳田悠岐だ。自主トレに弟子入りし「強い打球を打つ」ことをテーマにしてバットを振り込んだ。「今までのスイングでは弱い部分があった。柳田さんからは『体が開いている。だから、スイングした後に体が流れて足が動く』と言われたので、振り切った後もその場から足がズレないように心掛けて練習しました。両足で地面をかむ感覚。あとはゴロを打たずに、出来るだけ遠くに飛ばすことだけを考えました」と打撃を見つめなおしたことが、殻を破るきっかけとなった。

増田は今季5年目。長崎出身で小・中学校の先輩には、歌手の福山雅治がいる。その後、強豪の横浜高校に進学。1年春からベンチ入りし、2年生から主軸を務めた。そして3年生夏の神奈川県大会では大会新の4試合連発、同タイの5本塁打で一躍脚光を浴びた。

プロ入り後は古傷の右手首の手術があり、遠回りを余儀なくされた。「リハビリのあいだ、嫌な夢を見たこともありました。不安や心配はあった。だけど、気持ちが落ちたり、滅入ったりすることはなかった」。底抜けの明るさ、ムードメーカーの資質はチーム若手の中でもナンバーワンだ。

「松田選手のような熱い男になりたい。持ち味は声と元気。しっかりチームを盛り上げられる選手になりたい」

入団時からその思いがブレることはない。5年目を迎えた今季、7月17日のロッテ戦でプロ初スタメンを果たすと、その試合の四回の打席で右方向へ一発を放ってプロ初安打&プロ初本塁打&プロ初打点を一斉に達成してみせた。ダイヤモンドを駆け抜けベンチに戻ると、尊敬する松田宣浩先輩に「やれ、やれ!」と背中を押されて、目一杯の「マスオ~!」ポーズを決めてみせた。

今季ペナントレースは残り約1か月。若鷹たちはこれまでに味わったことのない緊迫感とも戦っていくことになる。その経験は何よりも貴重な財産だ。

ところで、彼ら若い選手たちの活躍は、昨季までファームを率いていた藤本博史監督の手腕もかなり大きかったのではなかろうか。野村大、谷川原、増田の打順の並びなど起用法について問われたとき、「どういう投手が合うか合わないのか、大体わかる」と答えていた。

27日の日本ハム戦の前には「3人ともポンセに対しては難しいね」とコメント。「その中でどういう打撃をするか楽しみ」と話していたが、まさかのノーヒットノーラン負けを喫した。結果の良し悪しはともかく、藤本監督の眼力に思わずうなってしまった。

文・ 田尻耕太郎

1978年生まれ、熊本市出身。法政大学卒。ホークス球団誌の編集を経て、2004年夏にフリーに。一貫して「タカ番」スタイルの現場主義を大切に取材活動を続けており、2021年にちょうど20年目のシーズンを迎えた。「Number」など雑誌・ウェブ媒体への執筆のほか、ラジオ出演やデイリースポーツ特約記者も務める。

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