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【コラム】矢野阪神「俺たちの野球」でヤクルトに挑む。湯浅京己の「アツアツ」投球に注目|プロ野球

【コラム】矢野阪神「俺たちの野球」でヤクルトに挑む。湯浅京己の「アツアツ」投球に注目|プロ野球(C)時事通信
【プロ野球 コラム】阪神タイガースは、10月12日から行われるクライマックスシリーズのファイナルステージで東京ヤクルトスワローズと対戦する。報知新聞社・小松真也記者に注目選手を挙げてもらった。
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積極的なプレーを信条とする「俺たちの野球」を前面に押し出し、2勝1敗の劇的な形でクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ(S)を突破した。興奮冷めやらぬまま、12日からはCS最終S・ヤクルト戦(神宮)が始まる。矢野監督は静かに闘志を燃やした。

「もちろん、(ヤクルトが)強いのは分かっているし、バランスの良いチーム。向こうに一個(1勝分)ね、余裕がある。でもいくしかないんで。そういうところではファーストステージを戦った気持ちのまま、全員で向かっていけたらと思うし、それ以外やれることはないんでね」

キーマンはやはり、指揮官の秘蔵っ子といえる新守護神・湯浅だろう。一躍ブレイクした4年目の今季は150キロ超の直球とフォークを武器に不動のセットアッパーを担い、45ホールドポイントをマーク。最優秀中継ぎ投手を獲得した。だが、短期決戦ではクローザーに配置転換され、獅子奮迅の働きを見せている。

初戦8日は8回2死一、二塁のピンチで登板し、イニングまたぎで“プロ初セーブ”を挙げた。10日の第3戦も8回2死二塁から火消しへ。無失点でしのぎ、続投した1点リードの9回に1死満塁の窮地に陥ったが、マウンドに足を運んだ矢野監督から「思いっきり楽しんで。どんな結果でもいいから思い切っていってくれ!」と声をかけられ、代打・藤田を二ゴロ併殺斬り。3年ぶりのCS最終S進出に導いた。孝行息子も「まだまだ矢野さんと野球がしたい。抑えられて良かった」と熱い思いを吐露していた。

当然、今シリーズの燕軍団撃破に若武者の力は必要不可欠だ。対ヤクルト戦11試合に登板して無失点で、主砲・村上は3打数無安打2三振と抑え込んでいる。湯浅は「アツアツ、アツアツ、アツアツと炎が燃えたぎるぐらいに(笑い)。どんな状況、どんな場面で投げてもやることは変わらない。勝ちに貢献できるような投球をしたい」とキッパリ。名字の「湯」、名前の「京己(あつき)」、「熱い投球」の意味から作った決めゼリフ「アツアツ」を3倍使って、決意をにじませた。

若きストッパーにつなぐ先発陣も安定感は健在だ。大事な12日の初陣はリーグ防御率2位(2・18)の西勇が務める。「自然体でいくことが一番大事。冷静に、みんなが頑張ってきたものを、自分一人ではなく、捕手との共同作業でやっていければいいのかなと思う」。実戦は9月17日の巨人戦(東京D)以来となるが、経験は豊富。2戦目以降も、藤浪やエース青柳、伊藤将、才木と実力者がそろうだけに、攻撃陣が得点を重ねれば、勝機は見えてくる。

その打線もCS第1Sは、1番・中野が打率5割(12打数6安打)と役目を果たし、3番・近本も同4割5分5厘(11打数5安打)を残した。6番・佐藤輝にも一発が出ており、あとは11打席無安打だった大山のバットが目覚めるのを待つだけだ。井上ヘッドコーチは「4番は外さない。1本出れば変わる。日替わりヒーローなら、大山が2、3回あるんじゃないかと期待は増している」と変わらぬ信頼を寄せた。

矢野監督は今春キャンプ前に今季限りでの退任を表明した。プレーオフでは早めの代打策や執念継投と懸命なタクトを振る。敗退と同時に就任4年間の戦いが幕を閉じるが、まだまだ終わるわけにはいかない。

「甲子園に帰って日本シリーズっていうのを、ファンのみなさんに見せたいですし、僕自身も経験したい。全員で夢と理想を追って、最高のドラマを起こしてきます」

セ・ワーストの開幕9連敗というどん底から、3位に滑り込んだ2022年シーズン。勝率5割未満からの日本シリーズ進出なら、史上初だ。湯浅をはじめとする矢野チルドレンとともに、史上最大の下克上を狙う。

文・小松真也(スポーツ報知)

1985年7月6日生まれ。37歳。18年に報知新聞社に入社。プロ野球遊軍記者を経て、20年から阪神担当。

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