自分と向き合い、考え方を変えた3年目
千葉ロッテマリーンズの髙部瑛斗はプロ3年目の今季、レギュラーに定着し44盗塁で盗塁王、自身初となるゴールデングラブ賞を受賞、安打数もリーグ2位の148安打と、充実の1年となった。
新人時代の2020年には二軍で打率.344をマーク。昨季も盗塁王を獲得し、打率も.327と結果を残した。しかし、一軍では2020年が5試合の出場で打率.100(10打数1安打)、2021年はプロ初本塁打を放つも打率.145(55打数8安打)と、一軍に定着できずにいた。結果を残さないと生き残れないという思いからマイナス思考に陥り、本来の良さを発揮できずに一軍と二軍を往復する日々を過ごしていた。
今季に向けてシーズンオフは二軍で打てているのに一軍で打てていない原因を探り、その中で技術、フィジカル、メンタル、この3つの要素が全部揃っていなかったと自己分析。フィジカル面では体の強さを上げるために体重を増やし、ウエイトトレーニングに励んだ。技術面でも自分の形、自分の体を理解した。メンタル面では自分の長所と短所を理解した上で、どういう考え方で良くなるかということを考えた。
オープン戦で12球団トップの打率.393を残し、自主トレの成果が早速、“結果”という形で現れた。「開幕から最後まで一軍にいたいと思っていますし、その中でベンチにずっといるというのは絶対に嫌なので、一軍にいる以上はしっかり試合に出て1年間戦いきりたい」。
出遅れた荻野貴司の穴を埋める活躍
球団提供
髙部は3月25日の楽天との開幕戦に『1番・左翼』でスタメン出場すると、「スタートダッシュでヒットが出たというのはホッとはしました。流れというのを切らさないでシーズンに入れたのは大きかったと思います」と第3打席で今季初安打を放ち、第5打席に左前打でマルチ安打を達成。最高のスタートを切った。
不動のトップバッター・荻野貴司が出遅れる中、開幕から1番を務め、5月13日のオリックス戦では2安打2四球と全打席出塁し、イニングの先頭で出塁した初回の第1打席、3回の第2打席、8回の第4打席はいずれも盗塁を決めホームに生還。これぞ1番打者という働きを見せた。荻野が復帰してからは2番を任され、俊足を武器にする2人で何度もチャンスメイクした。走っても開幕から順調に盗塁数を伸ばしていき、前半戦が終了した時点でリーグトップの29盗塁。『マイナビオールスターゲーム2022』にも出場し、第2戦でオールスター初安打、初盗塁を決めた。
オールスター明けに新型コロナウイルス陽性判定を受け離脱した時期もあったが、新型コロナウイルスから復帰初戦となった8月10日のソフトバンク戦で1安打すると、同日から5試合連続安打。離脱前から合わせると10試合連続安打をマークした。夏場以降も良い形で試合に臨むために試行錯誤した結果、打撃面で大きな浮き沈みなく乗り切った。打球方向に目を向けると、前半戦は反対方向の安打が多かったが、後半戦は投手の攻め方が変わり引っ張った打球も増えた。盗塁も後ろの打者の負担を減らしたいという考えもあり、後半戦は早いカウントから積極的に仕掛けた。
飛躍の1年を過ごし、マリーンズのヒットメーカーへ
今季に限っていえば、荻野が出遅れ、得点源であるマーティン、レアードが不調という中で、髙部の活躍はチームにとっても非常に大きかった。間違いなくこの1年で、チームに欠かせない選手になった。また、シーズン後半、相手のマークが厳しくなり、攻め方が変わった中でも変わらず結果を残したのは来季に向けてプラスだ。
髙部は野球を始めた頃からヒットを打つことに強いこだわりを持っている。来季も1本でも多く安打を放ち、1つでも多く盗塁を決め、マリーンズファンがワクワクするような活躍を見せて欲しいところだ。
文・岩下雄太
1990年7月17日生。埼玉県出身。足立学園高−東洋大−広島アスリートマガジン(13〜14途)−ベースボールキング(14途〜18途)−フリーランス(18途〜)。千葉ロッテマリーンズを取材し、WEB媒体を中心に執筆。20年から3年連続で「まり〜んずかん」の選手エピソードページ、BBM千葉ロッテマリーンズベースボールカードの選手原稿を担当。好きなお菓子は子供の頃からブレずにコアラのマーチ。
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