昨季は吉田正尚の打棒と盤石の投手陣を支えに、26年ぶりの日本一に輝いたオリックス。その絶対的主砲がアメリカへと旅立った今季は、昨年以上にピッチャー陣の出来がチーム成績に直結しそうで、FA加入の森友哉と二人三脚で強力なピッチングスタッフを維持できるかどうかが二連覇への鍵となる。
そこで、即効性のあるプラスαとして獲得したのが、メジャー17勝の実績を誇るジャレル・コットンだ。
元楽天ブラッシュと同じヴァージン諸島出身の数少ない野球選手
コットンはカリブ海に浮かぶヴァージン諸島出身の31歳。150以上もの島々から成るヴァージン諸島で最も人気のあるスポーツと言えば、バスケットボールだ。それもそのはずで、サンアントニオ・スパーズを5度のNBA王者に導き、バスケットボールの殿堂入りも果たしたスーパースター、ティム・ダンカンがヴァージン諸島出身なのだ。
その他にも島にはクリケットを楽しむ文化が根付いており、野球に触れる土壌も育まれている。それでもヴァージン諸島出身のメジャーリーガーは15人しかおらず、歴史に名を残すような名選手も現れていない。
ちなみに日本では著名なヴァージン諸島出身のプレーヤーが1人いて、上段の構えから特大ホームランを連発した元楽天のジャバリ・ブラッシュがその人だ。
コットンとブラッシュは出身の島も同じで、2人は友人同士。かつてブラッシュが現地メディアのインタビューを受けた際に、「俺とジャレルはヴァージン諸島を代表している。だから、野球選手を夢見る子供たちにチャンスがあることを教えていきたい」とわざわざ名前を出したほどだ。
コットンは16歳の時に島を離れ、バージニア州の高校でプレー。その後進学したマイアミ・デイド大学時の2011年にドラフトにかかるも入団せず、翌年編入したイースト・カロライナ大学在籍時に再びドラフト指名され、ロサンゼルス・ドジャースに入団した。
子供の頃にペドロ・マルチネスの投球フォームを真似していたというコットンは、その殿堂入り大投手と同じくチェンジアップを磨き、Baseball America誌のプロスペクトランキングに名を刻むまでに成長。マイナーのオールスターに出場した2016年はシーズン途中にオークランド・アスレチックスへとトレードされ、その新天地でメジャーデビューを果たした。
そのメジャー初登板となったロサンゼルス・エンジェルス戦では6.1回を投げてわずか2安打に抑え、1失点のみで見事に初勝利をゲット。「これ以上はない、夢が叶った」と嬉しさを爆発させた。2017年はほぼ年間を通じて先発ローテーションに入り、自己最多の9勝を挙げたが、翌年の開幕前にトミー・ジョン手術を受けた影響で、以後3年間はメジャーの舞台はおろか、マイナーでも登板は2019年の18試合のみだった。
2021年に久々に復帰を果たすと、リリーフに活路を見い出し、2シーズンで計53試合に投げ、防御率3.54・奪三振率8.43とまずまずの成績を残し、海を渡った。
エースの山本由伸をはじめ、宮城大弥、田嶋大樹、山岡泰輔、山﨑福也ら先発の頭数はそろっており、現時点ではリリーフでの起用が予想されるコットン。それでも3月4日の阪神戦では3イニングを無失点と複数イニングでもいけることをアピールしており、ローテーションに割って入る可能性も十分にある。
昨季のジェイコブ・ワゲスパックのように、適性を見極めて最適解を見つけられれば、大きなプラスになってくれそうだ。決め球の“バッグス・バニー・チェンジアップ”は本人曰く、「(バッグス・バニーのように)急に止まってまた動き出す。それぐらいブレーキがかかった」自慢の逸品。コットンの球を仕留めようと立ちはだかるパ・リーグの強打者を、エルマー・ファッドの悪だくみを巧みにかわす本家バッグス・バニーのごとく料理する姿が楽しみだ。
関連記事
● 山本由伸と宮城大弥に続くか。山下舜平大の飛躍に期待|注目選手・予想ローテーション・予想オーダー|2023プロ野球選手名鑑
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。
● 【番組表】直近の注目コンテンツは?
● 【お得】DAZNの料金・割引プランは?