巨人・戸郷翔征投手(23)が、開幕2連勝をかけて11日の阪神戦(東京ドーム)に先発する。チームが5連敗と苦しむ中、連敗ストップへ向けて10日はジャイアンツ球場で最終調整を行った。
今季初登板となった4日のDeNA戦(横浜)では、6回100球を投げて5安打無失点、5奪三振。前回登板となったWBC決勝の米国戦から中12日の“ぶっつけ本番”だったが、危なげなく6回を投げ切った。23歳の誕生日当日に勝利をつかみ、「自分で祝えて良かった」と笑顔を見せた。
昨季は自己最多の12勝を挙げ、154奪三振で初タイトルとなる最多奪三振に輝いた。次代のエースとして順調にステップを踏む中、前回登板では高い対応力が光った。大会で使用したWBC球からNPB球へと戻り、「(球の)質感がまだしっくりきていない」と微調整をする中で、宝刀・フォークの落ちが悪いと判断すると投球の軸をスライダーへと変えた。5回1死一、二塁のピンチでは佐野、宮崎の主軸をともにスライダーで内野ゴロに封じ、「一つ頼れる球種が増えて、これから(投球の)幅が広がる」と自信を深めた。
世界と戦った経験が、右腕をたくましく成長させた。WBCでは第2先発の役割を担い、2試合に登板。決勝の米国戦では主将・トラウトや、大会最多5本塁打のターナーから空振り三振を奪うなど、2試合で計5回2安打1失点の防御率1・80。自信を深めると同時に「(メジャーへ)行きたいです。今までもずっと行きたくてずっと夢で。実際にアメリカに行って、よりそうなりました」と、夢も大きくなった。
1カ月間にわたる侍ジャパンでのプレーでは、超一流の思考法にも触れた。エンゼルス・大谷、パドレス・ダルビッシュと接する中で「自信を持て。怖がらずに相手に立ち向かうこと。勝負を楽しむことが一番」という言葉が強く印象に残った。「いろんなことを聞きましたけど、僕もそういうことなんだなと思った。やっぱり勝負を楽しんで、恐れずにやらないと、いい結果は生まれない」と、戸郷自身の考え方にも変化があった。4日の登板では、持ち前のポーカーフェースは健在ながら、悔しがるそぶりや笑顔も見せるなど喜怒哀楽を出し、勝負を楽しむ姿ものぞかせた。
自身2連勝、そしてチームの連敗ストップがかかる阪神戦へデータも後押しする。昨季、同戦は5試合に登板して2勝1敗、防御率1・36と抜群の相性を誇った。得意とする“虎狩り”へ向けて「先発としてチームを勝ちに結び付けられるよう投球したいと思います。頑張ります」と、チームを勢い付かせる投球を誓った。
菅野が右肘の張りで2軍調整となる中、「一人一人が役割を果たしていけばいい。菅野さんに頼ってばっかりだったので、僕もしっかり独り立ちして、いい成績を菅野さんに見せられるように頑張っていきたい」と、投手陣を背負う覚悟はいっそう強くなった。世界を知り、たくましさを増した次代のエースが、その右腕で再びチームに勢いを与える。
文・小島和之
1990年6月21日生まれ。32歳。千葉県松戸市出身。市船橋高から法大を経て、2013年報知新聞社に入社。文化社会部を経て16年に読売ジャイアンツ担当。その後、西武、日本ハム、ヤクルトを担当し、昨季からジャイアンツ担当。投手を中心に取材中。
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