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【コラム】今季初、伝統のGT戦 佐藤輝の復調で新たなドラマ刻むか|プロ野球

宮崎尚行
【コラム】今季初、伝統のGT戦 佐藤輝の復調で新たなドラマ刻むか|プロ野球(C)産経新聞社
【プロ野球 コラム】阪神タイガースは11日からの3連戦で読売ジャイアンツ(巨人)との伝統の一戦を迎える。報知新聞社・宮崎尚行記者に注目選手を挙げてもらった。
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2023年、「阪神対巨人」の伝統の一戦が幕を開ける。東京ドームが舞台となる11日からの今季初対決、巨人―阪神3連戦。開幕から5勝2敗1分けでヤクルトに次ぐ2位につける岡田阪神に対し、巨人は目下5連敗中の3勝6敗で5位。勢いの違いは数字にも現れているが、新大阪駅から新幹線で東京へ向かう10日、阪神・岡田彰布監督の表情に隙はなかった。

「連敗のチームとやる方が嫌や。勝ってるチームよりな。勝ってるチームの方がやりやすい。負けてる方は、何してくるか分からんしな」。岡田監督にとっては前回指揮を執った2008年10月8日以来、5298日ぶりの伝統の一戦。第1次政権だった2004~2008年で負け越しは1度だけと相性もいいが、現役時代からしのぎを削ったライバルへの警戒心は強い。

とりわけ、原監督が就任した2006年からの3年間は通算35勝34敗1分け。シーズンにおける直接対決の成績でも、1勝1敗1分けとほぼ五分。指揮官は「原のことまで知らんよ。本音言うわけないやないか。こっちも本音は絶対に言えへんし」と、けむに巻いた。

岡田阪神も決して、順風満帆な船出ではない。開幕4戦目までチーム打率3割超をマークしていた打線が現在、34イニング連続で本塁打も適時打もなしと低調。その象徴と言えるのが、指揮官が就任当初から4番・大山とともに打順固定を明言してきた5番の佐藤輝だ。

ここまで8試合で本塁打がなく打率1割6分、得点圏の12打席では7打数無安打(4四球、1犠飛)。9日のヤクルト戦(甲子園)後には、岡田監督自ら「皆やけど(佐藤輝が)余計に目立つわな。チャンスが回ってくるから。そら、打てんかったら外すよ」と厳しい言葉をかけた。

当然、ハッパの意味合いが強く、欠かせない打線の軸だ。「打つべき人が打ったら勝てる。そのためにクリーンアップに置く。打ったらチームは盛り上げる」という指揮官の言葉通り、チームが上昇気流に乗る最善が、大山と並び軸に据える背番号8の復調だ。

手応えもある。「そら変わるやろ、東京ドーム行ったら。T(―岡田)と一緒やん。(打者心理は)そら、大きいよ、そんなん」。岡田監督が引き合いに出したのが、オリックス監督時代の2010年に開幕初スタメンに抜てきしたT―岡田だ。開幕5試合で打率1割1分8厘。しかし、東京ドームでの3カード目、日本ハム戦の初戦でシーズン初アーチをかけるなど3安打し、そこから3戦連発。勢いに乗り、最終的に33本塁打で初の本塁打王に輝いた。

指揮官は「イメージが、狭いっていうか。すぐ(打球がスタンドに)行きそうな感じやからな」と本塁打が出やすいとされる舞台での打者心理を説いた。実際、佐藤輝はプロ1年目の2021年にセ・リーグの本拠トップの打率3割6厘をマークし、甲子園を除けば2年連続で最多打点もマーク。心機一転を図るには、うってつけの舞台と言える。

その佐藤輝は9日のヤクルト戦後、「切り替えて頑張ります」と絞り出した。ここまで8四球を選び出塁率は3割5分3厘。単純計算ならシーズン143四球ペースでルーキーイヤーからの「25」、「51」から大きく増やしており、ボールは見えている。もちろん、本人はそこに納得することなく「(四球の増加は)いいことかなとは思うけど、それだけじゃダメなので。まずは、しっかり捉えられるかどうかというのがポイント」と試行錯誤を繰り返し、模索している。

自身も現役時代にクリーンアップを担ったからこそ、岡田監督は打の軸に据える選手が与えるチームへの影響力の大きさを強調する。「打つべき人が打たんと」。18年ぶりの〝アレ(優勝)〟には当然、大山と並び信頼を寄せてきた24歳の本領発揮が必要不可欠だ。敵地・東京ドームが、その起爆剤となるか。いくつものドラマを生んできた伝統のGT戦のスタートに注目だ。
 
文・宮崎 尚行(スポーツ報知)

1977年10月16日生まれ。45歳。山口県出身。2002年に報知新聞社入社。23年から阪神担当。

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