球団初のリーグ3連覇を狙うヤクルトが長いトンネルから抜け出せない。開幕から10試合38回2/3無失点と抜群の安定感を誇っていた中継ぎ陣に疲れが見え始め、1割台で12球団トップだったチーム防御率も現在は3.63。3冠王の村上、ミスタートリプルスリーの山田ら主軸も本調子とは言いがたい。18日の巨人戦(神宮)で3連敗を喫し、3年ぶりとなる今季最多の借金4とした。
19日からは、今季2勝5敗と負け越している2位・DeNAとの3連戦を迎える。今ひとつ流れに乗りきれないどんよりムードを、かっさらう“きっかけ”の3連戦にするべく、注目選手には苦しむ仲間に寄り添い、バットで支え続けてきたホセ・オスナ内野手(30)を推したい。
今季は開幕から全39試合に出場。打率2割9分、8本塁打、24打点はいずれもチームトップだ。強力打線が鳴りを潜める中でも、開幕から2戦連続アーチを描き、一時は10試合連続出塁をマークするなど、エンジン全開。来日3年目を迎えて、日本人投手の情報が増えたこともプラス材料だ。「自分のスイングがしっかりできている。状態はいい」と自信をのぞかせながらも、探究心は尽きない。
試合前練習では、グラウンドでの打撃練習を終えると室内練習場に直行。マシン打撃で“おかわり”して、黙々とバットを振り込む。状態の良し悪しに関わらず、自分のベストスイングを追い求める姿勢が勝負強い打撃を生み出している。
昨季はリーグ2連覇に貢献し、22年から新たに3年契約を結んだ。球団フロントからは「あれだけまじめに野球に取り組む助っ人選手は珍しい。ファンや仲間を大事にするし、長く活躍してくれると思った」とプレーだけでなく、人間性もお墨付きを得ている。
その優しさは、グラウンドでもキラリと光る。簡単な日本語なら少し理解できるようで、試合中に選手だけでマウンドに集まった際には、外国人投手と日本人捕手の通訳を務める。アップ中には、今季ここまで数字が振るわず、笑顔の少ない村上に後ろから抱きつき、声をかける。野球の話ではなく、趣味やプライベートの話で和ませるのがオスナ流。打撃論を交わすことも多いが、「調子が上がらない時はリフレッシュしたいはず。ムネ(村上)を笑わせて、盛り上げたいと思って」と愉快なトークで、若き4番に寄り添っている。「(村上は)今あまり調子がよくないけど、どの選手にもそういう時期はある。今は僕たちでムネが復調するまでカバーしようとしているだけ」。
昨季は、不振に苦しむ山田を村上がカバーし、長岡、内山ら若手が台頭して、高いチーム力でリーグ連覇へと上り詰めた。開幕カード以来の同一カード3連勝へ、オスナの活躍は必須だ。今季のDeNA戦は7試合で打率3割3分3厘をマーク。チーム別では唯一、ノーアーチだが、前夜にはバックスクリーン左へ8号2ランを放っているだけに、勝利を呼び込む一発を期待したい。
ナインが目指すゴールは、球団初のリーグ3連覇。「野球はカバーしあうのが基本。いつか、ムネが打ち始めて、ほかのメンバーをカバーしてくれる時が来ると信じてます」。誰よりも仲間を信じ、ひたむきに努力を続けるスラッガーの存在がスワローズを支えている。
文・森下 知玲(スポーツ報知)
1995年10月6日生まれ。27歳。福井県出身。2018年に報知新聞社入社。19~21年まで西武担当、22年からヤクルト担当。
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