今季3年ぶりに日本球界に復帰した有原航平に注目が集まる。6日のDeNA戦(ペイペイD)で移籍後初登板初先発。「シンプルに低めに強い球を投げようと。それだけです。状態は本当に良くなっていると思いますし、早く投げたいなと思っていたので。ここからが本当のスタート大事な1試合になるなと思いますし、頑張ります」。淡々と冷静に。それでも、言葉の節々には右腕の強い意志が感じられた。
今回は体調不良の大関の代役として出番が回ってきた。「『あるかもしれないよ』というのは聞いてたので。そんな緊急っていう感じでもないですし。この前の(2軍で)試合が雨で中止になっていたというタイミングでもあったので。ここ(ペイペイD)で投げられるようになったので、とにかく結果を出したいなという。それだけです」。日米通算9年目。米マイナーでも多くの経験を積んできただけに、気持ちの揺らぎは一切ない。ようやくこぎ着けた最初のチャンスに胸が躍った。
春先から思うように状態が上がらず、開幕ローテ入りを逃すと、ここまで2軍では8試合で2勝0敗、防御率3.83。5月25日のウエスタン・中日戦(ナゴヤ)では5回8安打7失点と打ち込まれ、予定していた1軍登板が一度は白紙となるなど、本調子ではないようにも見えるが、斉藤和巳投手コーチは「実績のある投手なので、ずっと2軍で投げさせてしまったことで、モチベーションもなかなか上がらないところがあったかもしれない。1軍のマウンドに立つことで気持ち的にも変わる可能性は十分考えられるし、それがいい方向にいくことを期待しています」と〝変身〟を予想した。
メジャーと日本ではボールも違えば、マウンドの硬さも違う。2年間の〝ブランク〟を埋めるには時間が必要だっただろう。有原の昇格条件について、1軍首脳陣は細かい制球力を求めていた。もともと多くの三振を奪うより、打たせて取るタイプ。低めへの制球力が戻らなければ、本来の投球にはならないという考えだった。有原もそのことは理解していた。「真っすぐのスピードだったり、質や制球というところをやってきたので」と言い、「それをしっかり(1軍で)出せたらなと思います」と意気込んだ。
日本ハム時代は6年間で通算60勝。19年には15勝を挙げるエースの働きで、自身初の最多勝にも輝いた。交流戦は通算13試合で6勝4敗。DeNA戦は16年に先発し、9回5安打無四球で完封とイメージもいい。宮﨑、牧らが並ぶ強力打線だが、「そこは全然気にしてなくて。相手は僕が変えられるわけではないですし、とにかく自分のできることをやっていけたらなと思います」。投げ合う相手は今永。日本を代表する左腕との戦いはロースコアが見込まれる。打者の手元で動くツーシームを軸にゴロの山を築きたいところだ。
今年1月の入団会見。無数のテレビカメラの前で有原は宣言した。「新人のような気持ちで、ガムシャラにやりたいと思います。目標は特に決めていないですけど、優勝に貢献できるように投げること。それだけです」。メジャーに移籍した千賀(現メッツ)に代わるエース候補として入団した背番号17。期待より遅れたかもしれないが、福岡のファンの前でまずは名刺代わりの快投を見せられるか。スタートが肝心なだけに、「ソフトバンク・有原航平」の命運を握る一戦となるかもしれない。
2戦目以降は東浜、森が順に先発予定。森は5月17日の2軍戦で右内転筋を痛めて以降、初の1軍登板に臨む。打線は4番・柳田が好調。DeNA戦といえば、15年に現監督の三浦大輔から放ったバックスクリーン直撃弾の衝撃は今もあせることはない。今季の交流戦はここまで3勝3敗の五分。歴代最多を更新する9度目の優勝に向け、重要な本拠地3連戦が幕を開ける。
文・中村晃大(スポーツ報知)
1991年10月19日生まれ。31歳。東京都出身。法大から2014年に報知新聞入社。15年巨人担当、16~17年ヤクルト担当、19~21年阪神担当、22年からソフトバンク担当。
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