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【インタビュー】まさかの9連敗──ソフトバンクは優勝争いから脱落したのか?元コーチが語る復活の可能性「選手個人任せではなくチームでどう点を取るか」|プロ野球

【インタビュー】まさかの9連敗──ソフトバンクは優勝争いから脱落したのか?元コーチが語る復活の可能性「選手個人任せではなくチームでどう点を取るか」|プロ野球(C)産経新聞社
【プロ野球 インタビュー】シーズン開幕前に大型補強を実施した福岡ソフトバンクホークス。前半戦はまさかの9連敗フィニッシュ。かつてコーチを務めた飯田哲也氏に、現在のソフトバンクの状況について伺った。
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3年ぶりのパ・リーグ制覇を目指す福岡ソフトバンクホークス。今シーズン開幕前には、近藤健介、有原航平、ロベルト・オスナ、ウイリアンス・アストゥディーヨ、ジョー・ガンケル、コートニー・ホーキンスなど大型補強を行った。

しかし前半戦終盤に9連敗喫して、43勝37敗2分、勝率..538の3位。首位オリックス・バファローズに5.5ゲーム差と苦しい戦いとなった。後半戦が始まる前に、かつてソフトバンクで一軍外野守備・走塁コーチなど5年間にわたってコーチを務めた飯田哲也氏に話を伺った。

※インタビューは7月13日に実施

投手は力不足、打線は迫力不足

──大型補強をした福岡ソフトバンクホークスですが、前半戦の戦いぶりはいかがでしょうか?

今年は本気が伺える補強をしてシーズンに臨みましたが、ここまでは先発や打線の安定感がないことが影響して苦しい戦いが続いています。特に気になるのは先発。以前から言っていますが、エースと呼べる投手がいない。さらに、期待されていた若い藤井皓哉と大関友久が怪我をして、苦しいですね。

──今年は特に千賀滉大投手が抜けた穴が大きいと思われています。そのなかで、飯田さんは石川柊太投手、東浜巨投手のベテラン2人が引っ張らなければいけないとおっしゃっていました。

どちらも力不足ですね。彼らは経験もあるので、なんとか試合を作ってほしい。本人たちが1番悔しいでしょうが、見ていて不甲斐ない投球が続いているなと。チームとしては先発の頭数こそいますが、他のチームと比べると絶対的なエースがいないことで苦しんでいる。連敗を止めてくれるようなエースがいないことで、ずるずると負け続けている印象ですね。ただ、今は打線にも問題があると思っています。

──打線の問題点とは具体的に?

とにかく点が取れない。その要因は3つで、チャンスであと一本が出ないこと、ホームランが少ないこと、外国人バッターが結果を出せてないことです。中村晃、近藤健介、柳田悠岐などは率こそ残っていますが、ポイントゲッターがいない。柳田も得点圏打率は2割ほどですし、そうなると点は取れませんね。

──投打に苦しいシーズンを過ごしていますね。

裏を返すとこの状態でもなんとか優勝争いに踏みとどまれている。底力はあるチームだなと。投打が噛み合えば、抜け出せる要素はあると思っています。

有原航平に期待「投手は有原を軸に」

──前半戦を終えて、ここからはリーグ優勝に向けて大事な8月、9月を迎えます。浮上のきっかけを掴むために必要なことはなんでしょう?

やはり先発がしっかりとゲームを作ることだと思います。後半に向けて大関が戻ってきて、有原航平もいい投球を続けています。今はいませんが後ろにはモイネロ(※手術により今季絶望の報道)がいて、守護神はオスナがいる。7回も日替わりで投げるとすると、先発は最低でも6回まで投げてほしいですね。

──有原選手の名前を挙げられましたが、他にもスチュワート投手がいい投球を見せています。この2人は後半戦のキーマンになりそうですね。

スチュワートはいい投球をしていますね。だからこそ早く勝たせたい。勝つことで自信がついて、それが成長になります。有原は二軍調整中は心配の声もありましたが、一軍での投球は流石です。有原を軸に、大関やスチュワートあたりにも勝ちがつくようになると勢いづくでしょうね。

──打線のキーマンはどうでしょう?

先ほども言ったように、今の打線はとにかく点が取れない。それを個人で解決するのではなく、チームとして解決するやり方が必要だと思います。

どうしてもホークス打線は淡白に見える。なんとしても塁に出る、なんとしてもランナーを進める、しっかり犠牲フライを打つ。そういう意識が必要だと思います。凡打でも一点入るような状況を作っているのに、三振してしまう。そういう大雑把な野球をしているのも点が取れない要因でしょう。

後半戦はもう勝たなければいけない。何がなんでも点を取らなければいけない。そうなると、選手個人に任せるのではなく、チームで点を取る。そこを首脳陣含めてやる必要があると思いますね。

──なかなか点が取れない打線ですが、飯田さんが考える理想のオーダーは?

1番は足も使える牧原大成ですね。2番は近藤、3番ギータ。4番は最近打てていないですが、今年は栗原陵矢に託すべきでしょう。5番にポイントゲッターになれる中村を置きたいですね。6番には柳町達かデスパイネです。柳町が入る時はライトで、ギータはDH。デスパイネが入る時はDHで、ギータはライトです。下位は7番に今宮健太、8番に甲斐拓也、9番はセカンドが日替わりで務める。その中でも三森大貴に頑張ってもらいたいですね。

「ギータがこのチームの軸であることに変わりはない」

──この1番から4番は開幕オーダーと同じですね。開幕5連勝した時のいい打順のように思います。

チームとしてバントをしないのであれば、これくらい攻撃的な打順がいいと思います。足もある牧原を1番に置いて、近藤が粘りながらランナーを進める。ギータや栗原で返せなくても、ポイントゲッターの中村がいる。ただ、牧原などは細かな野球もできるタイプ。本来であれば下位の選手もチームバッティングができるはずなので、やはり課題はチームとしての戦い方ができていないところ。選手依存で今の結果なのであれば、チームとして指針を示すことが大事だと思います。

──投打について伺いましたが、後半戦はどちらがより大事になるのでしょうか?

投手のレベルがこれから飛躍的に上がることは考えられないので、ポイントは打線の奮起でしょう。そのためにはもっと点が取れる攻撃が必要です。ただ、さっきも言いましたがこの戦いでもまだ優勝争いができている。ここから優勝するためにも、どうやって点を取るのか。そこが克服できるかどうかが、後半戦のポイントになるでしょうね。あとはやっぱりギータですね。

──柳田選手は打率、ホームラン、打点の主要打撃3部門で好成績を残しており、3冠王も狙える位置にいます。

得点圏打率の低さは気になりますが、それでもギータがこのチームの軸であることに変わりはない。先日の西武戦では、近藤を敬遠して柳田勝負となりましたが、あそこでしっかりと結果を残した。あの試合は残念ながら負けましたが、やっぱりギータが打たないとダメなんです。チームとしてホームランを含めた長打が少ないので、余計にギータにかかる期待が大きくなりますが、なんとか結果を残してほしいですね。

インタビュー= 川嶋正隆

1986年5月9日生まれ、福岡県福岡市出身。大学卒業後に携帯サイト『超ワールドサッカー』でライター兼編集者として勤務。2018年からフリーライターとしての活動を開始し、2020年からは念願かなってDAZN NEWSでプロ野球を担当している。

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