うだるような暑さに包み込まれる日本列島。巨人・岡本和真内野手(27)のバットからは、それを吹き飛ばすような爽快感すら感じさせる快音、衝撃音が鳴り響く。11日からは2ゲーム差で追う3位・DeNA戦(東京ドーム)との3連戦。10日までの阪神3連戦は3連敗を喫し、9日には自力優勝の可能性が消滅と苦境に立たされている。まずは再びAクラスに浮上するために、主砲としての存在感を示してくれるはずだ。
開幕からチームで唯一全試合出場中。柱として奮闘しながら、4番に君臨し続けている。「8月は大事だと思っているので、何とか勝ちに貢献したいなと思ってやっている」と自身も話すように、特に勝負どころを迎えている今月は好調ぶりを見せる。1日のヤクルト戦(東京ドーム)は4打数無安打だったが、2日の同戦で2本塁打を放つと、翌3日も2発。5日の広島戦(マツダ)でも一発を放つと、6日の同戦は自身初の1試合3本塁打。「自分の中での一つの目安」という6年連続30本塁打にも到達した。
8日の阪神戦(東京ドーム)では31号をマークしており、今月ここまで9発。既に自身の月間最多タイ(22年3、4月は10本だが4月に限れば8本)だ。3月には侍ジャパンの一員としてWBCで世界一に貢献し、前半戦終了後には球宴にも出場。休むことなく働きながらすさまじい結果を残すのは、並大抵なことではないだろう。
個人記録として好数字が並ぶが、6日の試合後も「まずはチームが勝つこと、優勝を目指してやることなので、また勝てるように頑張りたい」と話したように、目を向けるのはチームの結果。その思いはもちろん主砲として持ち続けてきたが、主将としてもより強く心に刻む。
約9か月前の昨年11月。「ジャイアンツ・ファンフェスタ2022 supported by DAZN」で、原監督から巨人軍第20代主将に任命された。坂本から引き継ぎ、過去には川上哲治や長嶋茂雄、王貞治、阿部慎之助らも担ってきた重責。ユニホームの左胸には「C」マークが刻まれ、23年がスタートした。「僕はいつも至って普通なのでいつも通りですが、(他の)人よりちょっと(作製に)手がかかっている」。その左胸を見て「岡本節」が飛び出していたが、備わった自覚は随所に表れる。
春季キャンプ中の強化ランニングでは先頭を走り、「キャプテンですから」と言葉を残した。シーズン中のウォーミングアップも副将の吉川とともに常に最前列で行う。門脇や秋広、中山といった1軍に定着する後輩への目配り、気配りも忘れない。「(若手が)やりやすい環境ではあると思いますよ」と話すが、その環境作りに一役買っているのは間違いない。
そして今月5日の広島戦の敗戦後。野手陣でミーティングを行い、主将として口を開いた。「雰囲気が悪いわけでもないですし、ここが一番苦しいと思うので、何とか踏ん張っていきましょう」。この時点でマツダでは1勝7敗。同球場での今季の負け越しが決まった一戦でもあった。それだけに、もう一度、士気を高めるべく動いた一幕でもあった。
チームは10日に今季100試合目を終え、残りは43試合。首位・阪神とは11ゲーム差。ミラクルを起こすためにファイティングポーズをとり続ける先頭には、背番号25の姿がある。
文・田中哲(スポーツ報知)
1990年6月4日生まれ。33歳。山形県山形市出身。20年に報知新聞社に入社。楽天担当、日本ハム担当を経て23年から巨人担当。
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