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AFC U20 アジアカップ

【インタビュー】世界への切符を懸けて…U20日本代表を率いる冨樫剛一監督の秘めたる思い「W杯を取るという目標を掲げている以上は…」 | AFC U20アジアカップ

川端暁彦
【インタビュー】世界への切符を懸けて…U20日本代表を率いる冨樫剛一監督の秘めたる思い「W杯を取るという目標を掲げている以上は…」 | AFC U20アジアカップDAZN
【サッカーU20日本代表ニュース】AFC U20アジアカップウズベキスタン2023に臨むU20日本代表の冨樫剛一監督を直撃取材。メンバー選考の考え方、これまでのチーム作り、サッカースタイル、大会に向けた指揮官の思いなどに迫った。
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今月1日から18日にかけてウズベキスタンで開催されている、AFC U20アジアカップウズベキスタン2023。グループDに組み込まれたU20日本代表は、3日にU20中国代表、6日にU20キルギス代表、9日にU20サウジアラビア代表と対戦する。上位4チームには2023 FIFA U-20ワールドカップの出場権が与えられるため、U20日本代表は世界への挑戦権を懸けて戦いに挑む。

「かつてのアジアよりも、進んでいるフットボールを身につけた国が増えた」

Togashi-Koichi×Kawabata-Akihiko_1

川端「世界への切符を懸けたAFC U20アジアカップの戦いがいよいよ始まります。あらためて23名の選手を選出して大会に臨む直前の心境を聞かせてください」

冨樫「日本語では同じ『監督』ですが、スペインではクラブチームの監督と代表チームの監督では別の役名が付いています。つまり『練習する人』と『選ぶ人』ですね。代表監督にとって『選ぶ』というのはそれだけ重要な仕事なわけですが、本当に物凄く難しかったです。ここに入ってもおかしくない選手はたくさんいましたし、その裾野の広さは本当に日本サッカーの強みだと改めて実感もしました」

川端「選考のポイントは?」

冨樫「最終的にはこの大会でアジア1位を取る、そしてその過程にあるFIFA U-20ワールドカップの出場権を取ることだけにフォーカスしました。対戦相手も踏まえてどういう戦いを自分たちがしていくのかという部分からの逆算で選んでいます」

川端「『対アジア』は独特の難しさがありますよね」

冨樫「ウズベキスタンという日本とは異なる環境でゲームを重ねるわけですから。宿泊しているホテルには他のチームも泊まっていて、食事会場も同じです。その環境で試合をしていく難しさは本当に独特だと思います。1次予選で経験したものもあるので、それも活かしていきたいですね」

川端「昨年、ラオスで行われた1次予選もトレーニングを含めてワイルドな環境で苦しみましたね」

冨樫「日本でフットボールをやる環境とはまるで違いますから。日本に住んでプレーをする常識からはなかなか考えられないようなことが起こりましたよね。だから逆に選手にとっては良い経験になったと思いますし、私たちスタッフもそれを1回経験できているのは大きいと思っています」

川端「ロールモデルコーチの内田篤人さんも『アジアは本当に簡単じゃないんだ』と強調されていました」

冨樫「もちろん、選手たちも自信は持っていると思います。ただ、やはり各大陸の予選を観ていても、実力通りに出場権が決まっているわけではありません。実際に先日行われた南米予選では私たちが5月に行ったフランス遠征で対戦し、一つの自分たちにとっての成長へのキーをくれたチームであるアルゼンチンが突破できませんでした。予選には独特の難しさがあるのは間違いありません」

川端「アジア勢の変化も感じます」

冨樫「今、アジアのチームは多くの国がヨーロッパの指導者を入れていますよね。代表チーム丸ごと向こうで活動しているようなところもあります。かつてのアジアよりも、進んでいるフットボールを身につけた国が増えたのは感じています」

準々決勝の対戦相手は「もちろん、お隣の国だと思います(笑)」

Togashi-Koichi×Kawabata-Akihiko_2

川端「中国との初戦はカギになりそうです。日本は過去大会で初戦の内容が良くないことが多い印象があります」

冨樫「しっかり入っていけるように準備しますが、初戦はなかなかうまくはいかないものですよね」

川端「グループステージでは勝ち点0に終わらないために、最悪でも1を拾っておくような選択が必要になるかもしれません」

冨樫「90分間をどうデザインしていくのか。それは大事になってくると思いますし、その辺は選手たちと共有してゲームをコントロールできればとは考えています」

川端「過去の大会では退場者を出して一気に苦しくなるようなこともありましたし、『左右されないチーム』になろうというチームコンセプトも試されますね」

冨樫「このチームは立ち上げから『強度の高いチーム』『左右されないチーム』という2大コンセプトを掲げてやってきました。特に『左右されない』という部分では、自分たちがコントロールできないものに対して感情的になったり、敏感になりすぎないことが重要です。環境面やピッチについてもそうですし、レフェリングについても同じですね。そのあたりについてはたくましくやってほしいと思っています」

川端「もう一点、冨樫監督は戦術的にも柔軟性を持って幅広いチームになろうとしてきました。システムを使い分けることも含めての対応力は付いてきましたよね」

冨樫「ただ、当初思っていたよりも自分が決め過ぎるよりも選手たちに要求をしてどう反応していくかを見ていく方向性にはなっていますね。もちろんシステム、最初の立ち位置は大事になってきますが、ボール、人、スペース、ゴールをどうコントロールしていくか。どうボールを奪ってゴールを奪うところに行けるのかというところです。いろいろなことをやらせたてみても意外に面白い選手たちだなと感じます」

川端「選考にもそのあたりの戦術的な幅を持つ意図を感じました」

冨樫「やはりこれはクラブチームではなく代表チームですから。練習する時間はほぼほぼないですし、いかにミーティングで話したことをピッチの上に表現できるのか。あるいは実戦でトライ&エラーをしながら改善して成長していけるのか。そこは選考基準の中の比重は大きかったと思います」

川端「昨年5月、初めての海外遠征となったフランスのモーリスレベロトーナメントは苦い経験の中で学びの多い大会でしたね」

冨樫「あの大会に限らず、このチームは立ち上げた時から甘い経験はしていないんです。U18代表だった2年前は日本高校サッカー選抜に負けたり、関東大学選抜に大敗したこともあります。そのモーリスレベロでは年上のアフリカ勢にはやられましたし、同い年の南米勢にもしっかりとゲームをコントロールされて勝たせてもらえませんでした。自分たちに教示をくれるようなゲームがいくつもあって、もっと日常から変えていかなければいけないと選手たちに気付きを与えてもらったと思います」

川端「実際、海外遠征から帰ってきた後の選手たちの反応は早かったですね。すぐにチームのトレーナーに頼んでフィジカル強化のメニューを作ってもらった選手がいたり」

冨樫「やっぱり自分が実際に感じた。そして自分で得たものは大きいですよね。なかなか海外に行けなかった世代が世界基準に接して変わった面は間違いなくあります。自分自身もアルゼンチン戦後に(元アルゼンチン代表でバルセロナでも活躍した)ハビエル・マスチェラーノ監督と話をさせてもらって、すごくいろいろなアイデアをいただくことができましたしね。彼とは(南米予選敗退で本大会で)会えなくなってしまいましたが、あのアルゼンチンに大勝したブラジルと戦うためにも絶対に世界への切符を勝ち取りたいと思います」

川端「マスチェラーノ監督には日本の課題、弱みをどこに感じていたのかを聞くためにひたすら食い下がったそうですね」

冨樫「やっぱり最初に出てくるのは社交辞令ですからね。『良いチームだったな。クイックネスがいいな』とかね。でも『そこを聞きたいんじゃないんだ。対戦していて日本には何が足りないと感じたんだ? どこを変えれば、自分たちはそこに行けるんだ?』と4回くらい聞き続けたら、苦笑いしながら答えてくれました。『強いて言えば……』という感じでしたけど、『やっぱりあるんじゃないか』とね(笑)。でも、そこで言われたことは自分の中で選手たちに何を与えるかを考えるための材料になっています」

川端「『個人戦術』ということだったんですよね」

冨樫「そうです。もちろん、フットボールはチームとして戦うものですが、その中でピッチの上の11人、あるいは23人の中でどう個人があるのかが本当に大事だと思います」

川端「アルゼンチン戦は相手の立ち位置に合わせて形を変えていったら、さらに変更されて上回られるという流れでした」

冨樫「自分たちが相手の変化を見ながら、ベンチの指示で変化を起こしていったら、彼らはピッチの中でその変化を感じて変化させるんです。その時に日本の選手たちはベンチを見てくる」

川端「『どうしますか?』と」

冨樫「そういう部分は決断の速さも含めて私たちの課題だなとすごく感じました」

川端「アジアの戦いも相手が日本対策で違うことをやってきてといったことはあり得るじゃないですか。実際、1次予選はそれで苦しみましたよね」

冨樫「本当にそうですね。私にとっても大きかった。やはり日本の良さを消してくる、あるいはいわゆるフットボールを放棄してくるような戦い方をしてくることがある中で、うまくいかないゲームを1次予選でしてしまいました。ただ、それは逆にこの最終予選に生きてくると思います。1次予選の最終戦(イエメン戦)は相手のマンツーマンディフェンスに苦しんで、85分のコーナーキックから点を取って勝った形でしたからね」

川端「グループステージから何が起こるか分からないですし、展望は描きづらいですね」

冨樫「できれば1戦目、2戦目に良い結果を残して3戦目へといきたいですが、そう甘いものでもないと思っています」

川端「そして4強チームに世界切符が与えられるこの大会は、各国が準々決勝に照準を合わせてくる本当にタフな決戦になります」

冨樫「そこはいろいろな想定をしながら最終的にトーナメントを勝つところだけにフォーカスしたい。多少何かが起きたとしても90分間、あるいはその後まで含めて最後に勝っていればいいと思います。逆にそういう緊張感の中で国を背負って戦うのはなかなかないことですから、本当に良い経験になると思っています」

川端「準々決勝の対戦相手はどこになりそうですかね」

冨樫「もちろん、お隣の国だと思います(笑)。僕らが1位で出ようが2位で出ようが、彼らと対戦する予感がしています」

川端「そういう運命だと」

冨樫「日本のフットボールにおいて対韓国というのは特別なものがありますからね。私も本当に一人のサポーターとして国立競技場で木村和司さんのフリーキックや山口素弘さんのループシュートを観ました。たくさんの素晴らしいゲーム、また難しいゲームを知っていますからね。強いて言うなら、『戦い』の一言だと思っています」

「W杯を取るという目標を掲げている以上、このタイトルを狙わないわけにはいきません」

川端「最後に改めて、大会をご覧になる皆さんに『俺たちのこういうところを見てくれよ』みたいなアピールポイントも聞かせてください」

冨樫「もちろん勝つことは大前提とした話の上で、まだまだ粗さがある、足りないこともたくさんある年代です。でも、3年後はどうか。『彼らが成長したらこういう選手になるだろうな』とか、『こいつはA代表に入ってくるだろうな』とか、観ている方が期待感を持てるようなゲームをしたいと思います。何か本当に完成しているような選手、チームではなくて、何かをトライしている、あるいは何かを必死にしているところを見せたいと思います」

川端「チャレンジする姿を見せたい、と」

冨樫「やはり日本の素晴らしさはやっぱり育成にあると思っていますし、小中学生年代から本当にたくさんの方が携わって成長してきた選手たちです。そして自分たちには素晴らしいJリーグがあります。そこで彼らが今レギュラー争いを必死にやっている中で成長してきている。それを今度は国を背負って戦うという重みの中で表現することになるわけです」

川端「強度の高いサッカーは一つの挑戦です」

冨樫「ボールを奪うところ、奪い方に関しては、選手たちといろいろな共有をしています。戦術的な奪い方にトライをしていて、ものすごくスピーディーなチームなので、ゴールまでのスピード感、そしてその道筋の多彩さは一つの特長だと思います。あと、私のチームはやっぱりフォワードが得点を取るチームでありたいと思っています」

川端「ストライカー陣も多彩な顔ぶれですよね。先ほど熊田直紀選手に話を聞いたのですが、『出してくれれば決めますよ』くらいの勢いでした」

冨樫「それだけのものを練習から見せてもらわないとですよね(笑)。他にも北野颯太や坂本一彩もいますし、横山歩夢も(MF登録ながら)ここの候補ですしね。さらにインサイドハーフの佐野航大や松木玖生も点を取れる選手ですから」

川端「今大会はDAZNで配信されるということで、普段Jリーグを常に観ているような熱心なファンが気軽に観られると思います。そういった皆さんに若い選手の躍動するところを見せたいですね」

冨樫「応援しているチームの若い選手に期待感を持って観られる方が多いと思いますし、またゲームに出ていない選手では初めてご覧になるかもしれません。『ウチのクラブには、こんな若くて良い選手がいたんだ』という新しい発見もあるようにしたいですね。あと大学生も何人かいますから、『ウチに来てくれないかな?』とかもですね(笑)」

川端「やはり、このU-20ワールドカップに出る意義、重さは大きいですよね」

冨樫「まず選手がその欲求を持っていますからね。絶対にそこに出させてあげたいです。ワールドカップの名が付く(男子サッカーの)大会は17と20とA代表のワールドカップしかないですから。そしてA代表で優勝している8カ国のうち6カ国はU-20での優勝経験があるわけです。私たち日本がワールドカップを取るという目標を掲げている以上、このタイトルを狙わないわけにはいきません。大きな可能性を持った若き日本代表チームを、ぜひ多くの皆さんに応援していただけたらと思っています」

文・インタビュー 川端暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開し、現在に至る。

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