4部のクラブとして史上初の4強入り
DFBポカールはかねてより波乱の起きやすいコンペティションとして知られている。圧倒的優位と目されるチームが1回戦で姿を消すのは珍しくなく、2019-20シーズンも1部のマインツとアウグスブルクが初戦でどちらも下位カテゴリーのチームに敗れた。
2回戦ではケルンが敗退している。そのブンデスリーガ初代王者を相手に番狂わせを演じたのが、レギオナルリーガ(4部)のザールブリュッケンだ。『Sport1』が「ケルンのセンセーショナルな敗退」と報じたように“ミラクル”を起こしたチームはその後、2部カールスルーエ、1部デュッセルドルフをPK戦の末に下し、4強入りの快挙を達成した。
今大会が67回目となるDFBポカールの長い歴史を紐解いても、4部のチームが準決勝に進出した例は1つもない。文字通りの偉業を成し遂げたザールブリュッケンは、リーグ戦でも大きな成功をつかんでいる。新型コロナウイルスの影響で中止となったレギオナルリーガ南西地区の首位として、2013-14シーズン以来の3部返り咲きを決めたのだ。
多くのファンにとって馴染みがないはずのこのクラブのホームタウンは、フランス国境に接するドイツ南西部にある。1部からは1992-93シーズン、2部からは05-06シーズンを最後に遠ざかっており、14-15シーズン以降は4部を戦ってきた。最高成績は1942年、53年のドイツサッカー選手権準優勝と半世紀以上も前の話になる。
当然ながらビッグネームは1人もいないが、レアル・マドリードの熱心なファンならクリストファー・ショルヒの名前を覚えているかもしれない。ペペ、クリストフ・メッツェルダーに次ぐ2007年夏「3人目の新戦力」として、白い巨人の一員となった大型ストッパーで、09年夏に退団するまでカスティージャでプレーしていた。その後はドイツの下部クラブを転々とし、19-20シーズンからザールブリュッケンに所属している。
主力の1人に清武の元チームメイトも
ショルヒとともに欠かせない守備の柱はダニエル・バツ。若き日にフライブルクのセカンドキーパーを務め、11-12シーズンにブンデスリーガ・デビューを果たした実績を持つ91年生まれのGKだ。堅実なセービングが売りで、DFBポカール準々決勝のデュッセルドルフ戦では3本のPKをストップし、ベスト4進出の立役者となった。4部リーグのプレーヤーとは思えない実力者であり、GK大国ドイツの層の厚さを感じさせる選手だ。
地元出身の主将マヌエル・ツァイツやコソボ代表歴を持つMFファノル・ペルデダイ、ニュルンベルクで清武弘嗣のチームメイトだったMFマルクス・メンドラー、得点源のCFセバスティアン・ヤコブ(リーグ戦中断直前に痛めた膝の状態が気がかり)など、ショルヒとバツの他にも押さえておきたい主力は存在するが、いずれもポカール準決勝で対戦するレヴァークーゼンの面々とは当然比較できるタレントではない。
レヴァークーゼン戦ではカイ・ハヴェルツのテクニックに、ムサ・ディアビやカリム・ベララビのスピードにまったくついていけない可能性もある(その後、ハヴェルツは怪我で欠場濃厚に)。それでも全員で粘り強く守りながら、ケルンやデュッセルドルフ撃破の鍵となったセットプレーやカウンターから活路を開きたいところだ。すでに“奇跡”を起こしているチームに失うものはない。
無観客試合ながら、ホーム開催という地の利も活かせるかもしれない。本拠地のルードヴィヒスパルクが改装中のため、レヴァークーゼン戦はヘアマン・ノイベルガー・シュタディオンが舞台となる。スタンドが片側にしかなく、収容人数は6800人。最先端のスタジアムでの戦いに慣れきったレヴァークーゼンにとっては、決してやりやすい環境ではないだろう。
ドイツサッカー史を塗り替える快進撃を繰り広げ、英国『デイリー・メール』が「奇跡は続く」と報じるなど、国外からの注目も集めるザールブリュッケン。レヴァークーゼンに挑むDFBポカール準決勝は、日本時間6月10日にDAZNで独占配信予定だ。
ザールブリュッケン対レヴァークーゼン
日時:2020年6月10日(水)3:45 キックオフ
会場:ヘアマン・ノイベルガー・シュタディオン
放送局・配信時間:DAZN 10日(水)3:45~
※すべて日本時間。
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