【コラム】低迷が続く鹿島アントラーズ。ザーゴ監督が見据える新たな布陣はチームを勝利に導くか

「自分たちでこの状況を打開するしかない」（ザーゴ監督）

鹿島アントラーズがJリーグの話題をさらっている。

国内最多タイトルを誇る名門クラブがクラブワースト記録を塗り替える開幕4連敗とあっては、衆目の耳目が集まるのも当然だ。ましてやAFCチャンピオンズリーグ・プレーオフ、JリーグYBCルヴァンカップも合わせれば公式戦6連敗、さらにこの6試合であげた得点が相手のオウンゴールによる1点のみとあればファン、サポーターが心配する声だけでなく、好奇の目を向けられてしまうというもの。初勝利を挙げるまでこの状況は続くだろう。

結果が出ないことでザーゴ監督は選手の組み合わせにも苦心している。ここまでの6試合で試した先発の組み合わせは5パターンに上る。同じ11人が先発でピッチに立ったのは2月16日のルヴァンカップ第1節・名古屋グランパス戦と、明治安田生命J1リーグ開幕戦のサンフレッチェ広島戦のみ。リーグ戦の中断が開け、再開してからの3試合はすべて先発を入れ替えて臨んでいる。

そして、次の横浜F・マリノス戦でも新しい編成で臨みそうだ。その理由をザーゴ監督は次のように説明した。

「結果が出ていないところで選択肢を増やさなければいけないし、先発や途中出場の組み合わせで結果に結びつけられるものを探しています。結果が出ていれば問題ないのですが、勝利、ゴールというところがなかなかできないので組み合わせを探しています。選手たちにどこのポジションがいいのかを聞いて、やりやすいところでプレーできるような組み合わせを探しています。ただ、不運なことにチャンスを作れてもバーやポストに当たったり、あるいはGKの読みが当たっている日だったり、不運も重なっているのですが、自分たちでこの状況を打開するしかありません。みんなで力を合わせて模索して、結果に結びつくように努力しています」

注目はエヴェラウドの左サイド起用

変更点としては、これまでFWで起用されてきたFWエヴェラウドが左サイドハーフで試されていた。前節の浦和レッズ戦でも試合途中から左サイドにまわったエヴェラウドは、昨季プレーしていたブラジルでも「半分くらいは左サイドハーフでプレーしている」（ザーゴ監督）という。FWとして出場すると、大きな体でキープされることを警戒したCBが強く当たってくるため「日本のCBの方がガツガツくる」と少し苦労していたエヴェラウド。うまくボールをおさめることもできず、中央でのプレーに手間取っている印象だったが、サイドでは体格差を生かしてボールをおさめ、前を向けば迫力を持ってゴールに向かうことができるようになっていた。

なにより単純なクロスに飛び込むだけで決定機を生み出せる。FW上田綺世との組み合わせは往年のFW黒崎比差支（現：久志）とFW長谷川祥之の“ツインタワー”を思い起こさせる。守備面でもFWが急遽サイドにコンバートされた訳ではないため、求められるタスクを正確にこなせている。次の横浜FM戦では、鍵を握る選手となりそうだ。

このところ3シーズン続けてリーグ戦では1勝1敗と互角の戦いを繰り広げる両者だが、ことカシマスタジアムでの試合に限ると2013年以来鹿島が勝ち続けている。現役時代から、指導者になってからを通じて、「ここまでの連敗は経験したことがない」というザーゴ監督。昨季王者をホームに迎え、6パターン目の布陣で今季初勝利を狙う。

文・田中滋

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