思い出すのは3年前。2019年は川崎フロンターレにとって重要な一年となるはずだった。
2017年に監督に就任した鬼木達監督の下、チームはリーグ連覇を達成。19年は史上2チーム目となる3連覇を目指すとともに、AFCチャンピオンズリーグを含めた全てのタイトル奪取を掲げていた。
しかし、過密なスケジュールもあって毎試合スタメンが変わってしまう状況が生まれ、最後まで自分たちのスタイルを確立することができず。JリーグYBCルヴァンカップのタイトルこそ獲得したが、ACLでは早期敗退し、リーグでも3連覇を成し遂げることができなかったことで、“最高”の一年を過ごすことは叶わなかった。
それから月日が経ち、2022年、川崎Fは再び3連覇の偉業に挑む。
2019年の悔しさを糧とし、この2年は圧倒的な成績を残し続けてきた。最初の2連覇は風間八宏監督時代に培った技術力と鬼木監督が植え付けた“我慢強さ”を武器としたチームだったが、今回の連覇は圧倒的な攻撃力とその攻撃を生み出すための粘り強い守備が見事にマッチして“上手い”チームから“強い”チームに。攻守に隙のない集団を築き上げたことで、自分たちの強さを表現することにつながった。
このままの力を維持しつつ、さらにパワーアップすることで3連覇を達成する。それが容易にできるならば、それほど楽なことはないだろう。
だが、3連覇は決して簡単なミッションではない。まずは選手層を見ていこう。ここ数年、チームの中心を担っていた三笘薫や田中碧、旗手怜央といった選手たちが続々と欧州へ移籍。一方で、今オフの補強はチャナティップと瀬古樹のみで、他は大卒や高卒新人たちが加入した程度と、彼らの穴を埋めるような補強をしたとは言えない。もともと川崎Fのスタイルにフィットしていくには時間がかかるとされていた中で、圧倒的なパフォーマンスを見せていた選手たちが、この1、2年でごそっとチームを離れてしまったことはネガティブな要素として残っている。
現に、今季の幕開けとなった先日のFUJI FILM SUPER CUPでも浦和レッズに0-2の完敗を喫した。相手の対策の前に成す術なく敗れたどころか、新加入選手たちが目立った活躍を見せることができなかったのは大きな不安点と言える。また、チームの信条である“得点を奪う”という点においても、決定的なチャンスを最後まで作り出せなかったことは改善しなければいけないポイントだ。
振り返れば、2019年もなかなか得点が奪えない年だった。敗戦数こそ少なかったが、勝ち切れない試合も多く、終わってみれば「12」の引き分け。この数の多さが最終的に優勝を引き寄せられなかった要因にもなっている。
当然、今回は同じ轍を踏むつもりはない。だからこそ、FUJI FILM SUPER CUP終了後に鬼木監督が語った「どのチームもああいう強度、ああいうメンタリティで挑んでくることが伝わってきた。自分たちはそれ以上の準備と心構えが必要になる」という言葉が重要になってくる。
その言葉通り、現状のままでは打倒・フロンターレを掲げて挑んでくるチームに対して勝利を積み重ねていくのは難しい。FUJI FILM SUPER CUPのように球際での戦いに敗れ、ハードワークでも相手に遅れをとっていては、自分たちのやりたいサッカーを展開することは到底不可能だ。攻撃にしてもどんどん仕掛け、どんどんチャレンジングなプレーをしなければ、川崎Fに土をつけようと強いメンタリティーを持って臨んでくる相手を崩していくことはできない。
ただ、それをリーグ戦が始まる前に気づけたことはチームとして大きい。もちろんタイトルを逃したことは“失敗”と評価するべきだが、最後に多くのタイトルを取ることができれば、大きなターニングポイントと言える出来事になるかもしれない。
「立ち上がりは相手の勢いもあったが、早い時間で失点するとゲームが難しくなるとあらためて感じた。そこからのゲーム展開も、思い通りにはいかなかったという印象。うまく浦和にやられた感覚のほうが強い。改善点はかなり多くあるし、そういうものが見つかったのがよかったと感じている。自分たちの準備してきたものが甘かったと感じている。それはみんなで持ち帰って、もう一度やっていきたい」
主将の谷口彰悟はここまでの準備が「甘かった」と答えた。あの敗戦によって川崎Fはさらに強くなるためのステップを踏み出した。開幕戦で迎えるFC東京との多摩川クラシコ、そして難敵との5連戦を経て、自分たちの立ち位置がどうなっているかは見ものだ。
何度も言うが、史上2チーム目の3連覇は決して容易に達成できるものではない。それでも近年、川崎Fが見せてきた進化を考えれば期待値は高い。新たな壁を乗り越え、シーズンが終わったときに堂々とシャーレを掲げることができているのか。多くの期待を胸に、フロンターレは2022シーズンをスタートさせる。
文・林遼平
埼玉県出身の1987年生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、フリーランスに転身。サッカー専門新聞「エルゴラッソ」の番記者を経て、現在は様々な媒体で現場の今を伝えている。
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川崎フロンターレの試合日程
節 | 日時 | 対戦カード | スタジアム | 配信・放送予定 |
---|---|---|---|---|
1 | 2月18日(金)19:00 | FC東京 H | 等々力 | DAZN |
2 | 2月26日(土)15:00 | 鹿島アントラーズ A | カシマ | DAZN NHK水戸 |
3 | 3月6日(日)15:00 | ガンバ大阪 A | パナスタ | DAZN |
4 | 3月12日(土)17:00 | 名古屋グランパス H | 等々力 | DAZN |
5 | 3月19日(土)14:00 | サンフレッチェ広島 A | Eスタ | DAZN |
6 | 4月2日(土)15:00 | セレッソ大阪 H | 等々力 | DAZN |
7 | 4月6日(水)19:00 | ジュビロ磐田 A | ヤマハD | DAZN |
8 | 4月9日(土)19:00 | 柏レイソル H | 等々力 | DAZN |
9 | 2月23(水・祝)14:00 | 横浜F・マリノス A | 日産ス | DAZN |
10 | 3月2日(水)19:00 | 浦和レッズ H | 等々力 | DAZN |
11 | 5月18日(水)19:00 | ヴィッセル神戸 A | ノエスタ | DAZN |
12 | 5月7日(土)14:00 | 清水エスパルス A | アイスタ | DAZN 静岡放送 |
13 | 5月14日(土)16:00 | アビスパ福岡 H | 等々力 | DAZN |
14 | 5月21日(土)17:00 | サガン鳥栖 A | 駅スタ | DAZN |
15 | 5月25日(水)19:00 | 湘南ベルマーレ H | 等々力 | DAZN |
16 | 5月29日(日)13:05 or 14:00 | 京都サンガF.C. A | サンガS | DAZN |
17 | 6月18日(土)19:00 | 北海道コンサドーレ札幌 H | 等々力 | DAZN |
18 | 6月25日(土)19:00 | ジュビロ磐田 H | 等々力 | DAZN NHK BS1 |
19 | 7月2日(土)19:00 | セレッソ大阪 A | ヨドコウ | DAZN |
20 | 7月6日(水)19:00 | サガン鳥栖 H | 等々力 | DAZN |
21 | 7月9日(土)19:00 | ガンバ大阪 H | 等々力 | DAZN |
22 | 7月16日(土)19:00 | 名古屋グランパス A | 豊田ス | DAZN NHK BS1 |
23 | 7月30日(土)19:00 | 浦和レッズ A | 埼玉 | DAZN |
24 | 8月7日(日)19:00 | 横浜F・マリノス H | 等々力 | DAZN |
25 | 8月13日(土)19:00 | 京都サンガF.C. H | 等々力 | DAZN |
26 | 9月14日(水)未定 (※1) | アビスパ福岡 A | ベススタ | DAZN |
27 | 10月12日(水)未定 (※2) | 鹿島アントラーズ H | 等々力 | DAZN |
28 | 9月3日(土)or 9月4日(日) | 湘南ベルマーレ A | レモンS | DAZN |
29 | 9月10日(土)or 9月11日(日) | サンフレッチェ広島 H | 等々力 | DAZN |
30 | 9月17日(土)or 9月18日(日) | 柏レイソル A | 三協F柏 | DAZN |
31 | 10月1日(土)or 10月2日(日) | 北海道コンサドーレ札幌 A | 札幌厚別 | DAZN |
32 | 10月8日(土) | 清水エスパルス H | 等々力 | DAZN |
33 | 10月29日(土) | ヴィッセル神戸 H | 等々力 | DAZN |
34 | 11月5日(土) | FC東京 A | 味スタ | DAZN |
(※1)川崎FがAFCチャンピオンズリーグ2022においてグループステージで敗退した場合、開催日が8月20日(土)19:00KO@ベススタに変更となる可能性あり。
(※2)川崎FがAFCチャンピオンズリーグ2022においてグループステージで敗退した場合、開催日が8月27日(土)19:00KO@等々力に変更となる可能性あり。