今季の清水にとってチーム再建のキーマンとして名前が上がっていたのが、ミゲル・アンヘル・ロティーナ前監督と権田だった。
キャプテンに就任し、チームを改めて知った上で、権田はチームメイトに対して抱いた印象を口にした。
「エスパルスの選手は喜ぶ、嬉しい(の感情)は出すんですけど、悲しいと怒るは結構隠している選手が多いと思っている。みんな良い子なんです。自分が成長したい、このチームで勝ちたい、そのために必要なことがあれば歳関係なく話す(ことが大事)。ただ、少ないというか、無いですね。本音で話すことは少ない気がします」
今季の清水は序盤こそ目標に掲げていた1試合1失点以下を続けていた。しかし、そこからは徐々に失点が増えることになる。そこにプロとしての厳しさを含め、権田は違和感を感じていた。
大きな出来事が起こったのは、8月21日に開催された第21節の湘南ベルマーレ戦だ。残留争いのライバルでもある湘南に引き分けた後、試合後のロッカールームの雰囲気に危機感を感じ、権田は怒りをあらわにした。その時を振り返り、権田は理由を説明した。
「大丈夫?と最初は思っていました。終わった時にみんなやり切った感じがあるからまずいなと。プレッシャーに誰も行かずにシュートを打たれ、股を抜けたボールが飛んでくる。これでは先がないというか、これを続けていて失点が減る状況ではない。だから、これはダメだと思った。これを続けていたら絶対に残留できないし、毎日の練習で向上していかないなと思った」
このメンタリティーがチームに欠けていた最大のピースだった。権田のその一言でチームのメンタリティーが一気に変わったかはわからない。ただ、権田の言う「種を巻いた」ことで終盤戦の戦いにつながったことは間違いない。
結果、チームは最後に残留を勝ち取った。最後に権田は、今シーズンを終えて自分自身が得たものを言葉にした。
「今年は自分がまだまだだなと思ったのが一番の収穫です。いち選手がいくらしゃかりきになっても限界があるのかなというのと、でも、そこで僕は無理という言葉も嫌いだし、不可能というのは嫌だから、そこを自分の力でもう少し好転させれるような術を今後身につけたいなと思います。いろいろな意味でもっと力が欲しい。実力もそうだし、発言力や行動力、包容力もそうかもしれない。権力はいらないですけど、いろいろな力が欲しい。自分の無力さを知ったのが最大の収穫だと思います」
クラブと代表を行き来する中で、新たに得た考え。この1年の経験を胸に次なるシーズンへ。さらに成長した権田がどんなパフォーマンスを見せるか期待したい。
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