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【セパ交流戦特集】森、モイネロ不在でリリーフ陣に課題発生のソフトバンク。これを機にかけてみたい面白い投手が一人いる|プロ野球

田尻耕太郎
【セパ交流戦特集】森、モイネロ不在でリリーフ陣に課題発生のソフトバンク。これを機にかけてみたい面白い投手が一人いる|プロ野球時事通信
【ソフトバンク コラム】過去8度、交流戦を制しているソフトバンクだが、今年は森唯斗とモイネロが不在とリリーフ陣に不安を抱える。勝利の方程式再編へ、ホークス取材20年目となる田尻耕太郎氏がこの状況の打破に推す選手とは?
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主力不在でもパ・リーグ首位

だけど勝つ。それでも強い。

今年のソフトバンクの戦いを見て思うのは、王者の底力だ。

エースも、守護神も、得点源となる2人のキューバ砲も一軍にいない。千賀滉大は今季初登板した4月6日の日本ハム戦で投手ライナーを避けた際に左足首を強く捻り、同箇所の靱帯を損傷した。森唯斗は4月30日に登録抹消。左肘の「関節化膿性滑液包炎」で1週間程度入院した。利き腕ではなかったが、最もひどい状態の時は患部が腫れて曲げ伸ばしをするのもつらい状態だったという。

そして攻撃陣。デスパイネは不振と下半身の状態不安から5月3日に登録抹消。グラシアルは5月8日の西武戦で二塁へ頭から帰塁した際に相手二塁手と接触して右手を剥離骨折した。

当然、ソフトバンクといえども苦しい戦いを余儀なくされた。4月23日のロッテ戦から5月12日の同じくロッテ戦までの6カード連続で勝ち越すことができず、チームには少なからず停滞感も漂っていた。とはいえ、よく見れば大きな連敗がさほどなかった。4月下旬に4連敗が一度あっただけだ。

その後、5月14日からの日本ハム3連戦を2勝1分として息を吹き返すと、そこから現在まで3カード連続で勝ち越しを決めている。結局は、このチーム状況ながらパ・リーグの首位に立ち、5月25日から始まるセ・パ交流戦を迎えることになった。

得意とする交流戦を前に不安要素が

2021-05-24-NPB-Hawks2

ソフトバンクが大の得意にしている交流戦だ。

優勝回数は過去15回の中で8度。2005年の交流戦導入以来セ・リーグ6球団すべてに勝ち越し、通算戦績は214勝126敗14分で勝率は.629を誇る。これに次ぐ12球団中2位の日本ハムの通算勝率が.542だから、ソフトバンクがいかに飛び抜けているかは一目瞭然だ。

今季ここまでのソフトバンクがこんなチーム状況でもどうにか踏ん張れたのは、リリーフ陣の安定した働きぶりによるところがかなり大きかった。

彼らは文字どおりフル回転してきた。パ・リーグの登板数ランキングの10位以内にソフトバンクの投手は5名も名を連ねている。変則左腕の嘉弥真新也が25試合で最多。そして今季台頭した泉圭輔が23試合、津森宥紀が22試合で続く。泉は防御率0.96、津森は同2.30だ。本当に大きな戦力となっている。

そして実績のある岩嵜翔も手術歴のある右肘不安が解消して22試合に投げた。そして、最強左腕のモイネロだ。ここまで20試合で防御率0.45の成績。披打率も.097と圧倒。森が不在の間は代わって守護神を務めた。

交流戦は6連戦が3週続くタイトな日程となる。リリーフ陣のやりくりは各チーム共通で浮沈にかかわる大きなポイントとなる。

ソフトバンクはその中で、大きな問題と直面することになった。

モイネロがしばらくの間不在となるのだ。このキューバ人左腕は東京五輪予選を戦う母国の代表選手に招集されたために、24日に同僚のデスパイネ、A・ロドリゲスと共に離日した(グラシアルは故障リハビリのため離日せず)。

この試練を工藤公康監督はどのように乗り切る算段なのか。森、モイネロ不在の間のブルペン起用構想について、このように語っている。

「岩嵜くんが9回になる。7回と8回については、津森くん、嘉弥真くん、泉くんで回そうかと思っている。もしくは板東(湧梧)くんが入ることもあるかもしれない。シミュレーションはしているけど、決めきれていない部分はある。流動的になるのではないかな」

イニングが終盤になるほど3つのアウトを取るのは難しくなっていく。負けている方は必死だ。たとえば6、7回までは強行策だった場面も、8、9回になれば色々な仕掛けや作戦も講じてどうにか1点を奪いにくることもある。

「だからこそ、ある程度力が突出しているピッチャーが後ろに回る」と工藤監督は言う。

津森も嘉弥真も泉も十分健闘している。ただ、一方で「1イニングを完全に任せるというところまでは正直行っていない」と頭を悩ませる。

笠谷俊介に見るリリーフエースの素質

2020-10-20-NPB-Hawks-KASAYA

ソフトバンクにはここまで名前が挙がっていない面白い投手が1人いる。

左腕の笠谷俊介だ。

7年目の今季は自身初の開幕ローテ入りを果たした。しかし、6度の先発で1勝2敗、防御率5.00と振るわずに、5月4日を最後に工藤監督も「短いイニングの方が力を発揮できるかも」とリリーフで起用することを明かして、一軍に帯同し続けている。

笠谷は奪三振能力が極めて高いピッチャーだ。150キロ台を記録するストレートはただ速いだけでなくキレがある。空振りを奪える球質だ。だからナックルカーブやチェンジアップも効果を発揮する。

リリーフ転向以降は2試合のみ登板でサンプルが少ないが、計3イニングで7奪三振をマーク。奪三振率にして21.00を記録している。

工藤監督は今のところ「中継ぎロングでの起用と考えている」とのこと。

「良い時と悪い時の差がある。球威だけでは厳しいと、僕らとしては冷静にとらえています。先発の時も立ち上がりより2、3回の方がよくなる。そうなればロングリリーフの方に適性があるのかなと考えています」

笠谷の潜在能力を誰よりも高く評価する工藤監督にここまで言われれば、十分納得だ。ただそれでも、いやだからこそ、中継ぎロングという起用に留めておくのはあまりに惜しい。

笠谷は将来のエース候補と見込まれている。セットアッパーに起用すれば、育成方針にブレが生じてしまう可能性もある。ただ一方で楽天の松井裕樹のような存在になれるくらいの魅力も彼は持ち合わせている。

将来のリリーフエースに育て上げるつもりで、笠谷の爆発力にかけてみるのも面白いのではなかろうか。

文・田尻耕太郎

1978年生まれ、熊本市出身。法政大学卒。ホークス球団誌の編集を経て、2004年夏にフリーに。一貫して「タカ番」スタイルの現場主義を大切に取材活動を続けており、2021年にちょうど20年目のシーズンを迎えた。「Number」など雑誌・ウェブ媒体への執筆のほか、ラジオ出演やデイリースポーツ特約記者も務める。

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