今回のテーマは「新外国人選手」。助っ人外国人と言うほうが耳馴染みが良いかもしれない。
海を越えて日本の地に活躍の場を求めた彼らの働きは、チームの成績を左右すると言っても過言ではない。当たるか外れるか博打のような外国人選手の存在は、ファンにとっても非常に興味深いものだ。
今季は新型コロナウイルスの影響により現時点では来日できていないが、一足早く今季期待の新助っ人外国人選手を紹介していく。第4弾は広島のドビダス・ネバラスカスだ。
ドビダス・ネバラスカス(広島東洋カープ)
投手/右投右打/リトアニア出身/28歳
広島が新たに獲得したドビダス・ネバラスカスは、メジャーではちょっと知られた存在だ。それはプレーに関することではなく、彼が持つ唯一無二の個性によるもの。ネバラスカスの持つ「個性」とはいったい何か。
欧州サッカーに詳しい人なら、エドガラス・ヤンカウスカスという名前をご存知かもしれない。2002~2005年までポルトガルの名門ポルトに在籍し、2003-04シーズンにはチームのUEFAチャンピオンズリーグ制覇に貢献した。この時、ヤンカウスカスはある称号を手にした。「ビッグイヤー(優勝トロフィー)を掲げた初のリトアニア人選手」。
そんな彼と名前の響きが似ているネバラスカスの故郷も、旧ソ連圏でバルト三国の構成国として知られるリトアニア。そう、ネバラスカスもまた、「MLB史上初のリトアニア人選手」という肩書きを持っているのだ。
MLBの選手で最も多いヨーロッパ国籍はオランダ。現ソフトバンクのウラディミール・バレンティンも、元楽天のアンドリュー・ジョーンズも国籍はオランダで、両者ともWBCではオレンジのユニフォームを纏ってプレーした。しかし、彼らのような選手のほとんどはオランダ本土の生まれではなく、カリブ海に浮かぶキュラソー島やアルバ島といった「オランダ領」の島々。生活環境などは周辺の野球大国であるドミニカ共和国やベネズエラとほぼ同じで、ヨーロッパ出身という印象は全く受けない。
通算287勝を挙げて殿堂入りも果たしているバート・ブライレブンや、今季からヤクルトでプレーするリック・バンデンハークなどオランダ本土出身の選手もいるにはいるが、他の欧州諸国と同様に絶対数は少ない。その点、ネバラスカスは正真正銘ヨーロッパ本土の生まれで、しかもそれが欧州で野球が盛んなオランダでもイタリアでもなく、野球後進国のリトアニアということで、アメリカでは大きな話題を呼んだ。
リトアニアの首都ヴィリュニスで生まれたネバラスカスは、母国で野球の普及に努めていた父の勧めもあり、国内で人気の高いバスケットボールやフットボールではなく、ベースボールの道を歩み始めた。しかし、リトアニアにはまともに野球ができる環境が整っておらず、本人が「草じゃない、石だよ」と語る古いサッカー場くらいしか練習の場がない状況だった。それでも野球で飯を食っていくことを夢見るネバラスカスは、イタリアで開かれていたMLBヨーロピアンアカデミーに参加し、地力を付けていった。
そんなネバラスカスに目を付けたのは、ピッツバーグ・パイレーツだった。当時パイレーツはインド、南アフリカ、ヨーロッパなどで新たな才能の発掘に躍起になっており、実際にインド人投手2人とプロ契約を結んだ様は、後に「ミリオンダラー・アーム」のタイトルで映画化されたほどだ。
そのスカウト遠征でリトアニアにたどり着いたパイレーツは、ストレートに大きなポテンシャルを感じたネバラスカスと契約。初のリトアニア人プロ野球選手誕生の瞬間だ。その後アメリカに渡ったネバラスカスは、英語もままならない状況でマイナー生活をスタート。最下級のルーキーリーグを2年半で卒業し、16年にはマイナーリーグのオールスターゲームに出場するまでに成長した。
そして17年4月24日。砂利だらけのサッカー場でアメリカンドリームを描いていた男が、ついに野球の最高峰にたどり着いたのだ。試合後ネバラスカスは「リトアニアで野球ができることを証明できた。これを機に誰かが僕の後に続いてくれたら」と語った。
ネバラスカスは常時150km台を計測するストレートが魅力だが、ベストピッチはカーブ。回転数の多いカーブは被打率.196に加え、全三振の半分以上をこの球で奪うなど、決め球として効果は絶大だ。2年連続のBクラスから上位浮上を狙う広島にとって、最優先事項が投手陣の再建。特に在籍6年間で57勝を挙げたクリス・ジョンソンの穴埋めは急務となっていた。
ネバラスカスはメジャーでの76登板すべてがリリーフだったが、広島は先発の一角として期待。短いイニングを全力投球だったピッチングスタイルから長いイニング用にモデルチェンジが必要だが、マイナー時代に先発を経験しているのでそこまで問題はないまずだ。
リトアニア人選手がNPBでプレーするのも、もちろん初めてのこと。世界野球ソフトボール連盟が算出する世界ランキングで34位の国からやってきたネバラスカスが、同1位の日本球界でどんなピッチングを披露するか楽しみだ。
2021新助っ人外国人選手名鑑
- ジャスティン・スモーク(巨人)
- エリック・テームズ(巨人)
- メル・ロハス・ジュニア(阪神)
- ドビダス・ネバラスカス(広島)
- ドミンゴ・サンタナ(ヤクルト)
- コリン・レイ(ソフトバンク)
- ルスネイ・カスティーヨ(楽天)
- アダム・コンリー(楽天)
- アデイニー・エチェバリア(ロッテ)
- ロビー・アーリン(日本ハム)
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