3月20日に開幕を予定していた2020シーズンのプロ野球だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてオープン戦を途中で中断し、活動を自粛する事態となった。
5月25日になると、日本政府の緊急事態宣言の解除を受けて開幕日が6月19日に決定。ペナントレースは通常の143試合から120試合に減少し、オールスターゲーム、セ・パ交流戦が中止になるなど、大幅な日程の変更を余儀なくされた。
そんななか、各球団は5月末から練習が再開され、6月2日から6月14日にかけては練習試合で開幕に向けた最後の調整を行った。
異例のシーズンを迎えるにあたり、各球団の注目ポイントを紹介。今回はパ・リーグの6球団の投打の見所をピックアップした。
埼玉西武ライオンズ
他球団の脅威だった山賊打線は、切り込み隊長の秋山翔吾が日本人選手未開の地シンシナティに旅立ち、ぽっかりと大穴が開いた。走攻守に選球眼と非の打ちどころがなかったトップバッターの代わりを誰が務めるのか。
第一候補は盗塁王2度の俊足を誇る金子侑司。足と外野守備は前任者と比べて遜色ないが、通算出塁率.311は一番打者にしては物足りない。同じく候補者のコリー・スパンジェンバーグもMLB時代の通算出塁率は.315と高くなく、秋山の.376に遠く及ばない。
上位打線が機能しなければ森友哉、山川穂高、中村剛也が居並ぶ超強力打線も宝の持ち腐れとなってしまう。
投手陣はさらに不安要素が多い。昨季の先発投手の防御率4.64はリーグワーストだったが、戦力の上積みは新外国人のショーン・ノリンくらい。ともに23歳以下の髙橋光成、松本航、今井達也のレベルアップは必要不可欠だ。
そして今季の大きな見どころとして挙げられるのが、14年ぶりにチームに復帰した松坂大輔。平成の怪物の帰還を連覇で飾りたいところだが、現状はBクラス転落の危険性もはらんでいる。
福岡ソフトバンクホークス
現有戦力はパ・リーグで群を抜いており、リーグ優勝と日本一の最有力候補と言っていいだろう。
打線の中軸を務めるアルフレド・デスパイネとジュリスベル・グラシアルのキューバコンビが、新型コロナの影響で出国できず開幕に間に合わないが、ヤクルトから大砲ウラディミール・バレンティンを獲得しており問題はない。
また、昨季は怪我で38試合しか出られなかった柳田悠岐が完全復活を遂げれば、“最高の補強”となるだろう。
各ポジションにベストナインクラスをそろえ、内川聖一が控えに追いやられそうな布陣は隙がなく、川島慶三や周東佑京など途中出場や代走から貢献できる脇役も充実している。
投手陣は当初、エース・千賀滉大の故障離脱が不安要素だったが、現在は二軍で実戦登板できるまでに回復。練習試合では最速157kmを記録するなど、剛腕復活の日は近い。
自身初の開幕投手を務める東浜巨、ベテランの和田毅、MLB通算54勝のマット・ムーアから成る先発ローテは強力で、後ろも守護神の森唯斗を筆頭に人材豊富とあって、日本シリーズ4連覇へ向け視界は良好だ。
東北楽天ゴールデンイーグルス
昨季は則本昂大と岸孝之のWエースが故障で長期離脱したものの、リリーフがリーグトップの防御率3.07と踏ん張り、3位でプレーオフに滑り込んだ。
岸は復帰までもうしばらくかかりそうだが、則本は自身6度目の開幕投手が決まっており、ロッテから加入の涌井秀章も控えるなど層は厚い。
楽しみなのが新人の2014年以来となる先発に挑戦する松井裕樹。ブルペンの中心として5年間で139セーブを稼いだ左腕には、かつて甲子園で見せたような奪三振ショーを期待したい。
その松井に代わるクローザーは森原康平が筆頭候補だが、新外国人のJ.T.シャギワがオープン戦から好調で、MLB帰りの牧田和久もおり、嬉しい悩みとなっている。
打のキーマンは今季から主将を務める茂木栄五郎と、ロッテからFA移籍の鈴木大地。前者はキャンプ中に体調不良で出遅れていたが、練習試合では快音を連発しており、不動の一番として初回から果敢に仕掛ける。
補強の目玉となった後者はどの打順にも適応できる器用さに加え、内野全ポジションを守れるとあって、三木肇新監督にとっては頼もしい存在だ。
千葉ロッテマリーンズ
選手会長も務めた鈴木大地の退団は痛手だが、大争奪戦を制してソフトバンクから福田秀平を獲得できたのは大きい。
荻野貴司との一、二番コンビでかき回し、井上晴哉とブランドン・レアードの長距離砲が走者を返すパターンがハマれば、相手投手に大きなプレッシャーを与えられる。
野手陣で懸念材料なのが、正捕手・田村龍弘が故障を抱えていること。今やリーグ屈指のキャッチャーに成長した26歳が長期離脱となれば、ダメージは甚大。代役候補の一番手に挙げられるドラフト2位ルーキーの佐藤都志也は、練習試合で柵越えを連発した打撃を武器に、一年目から出番が増えそうだ。
先発陣は石川歩と新加入の美馬学の経験豊富な両ベテランが軸となるが、彼ら以上に注目したいのが22歳の種市篤暉。
フォークボールで三振が奪える本格派で、昨季は116.2回を投げて135三振を奪った。シーズン中に実力者2人を追い越し、堂々とエースを張っている可能性は十分にある。
そして、最大の関心事と言えば佐々木朗希の動向。最速163㎞を誇る“令和の怪物”は、一軍デビューの時を待ちわびている。
北海道日本ハムファイターズ
昨年は先発投手に故障者が続出し、MLB流のオープナー制を採用するなど、投手陣は試行錯誤が続いた。年間を通して活躍したのは最多勝に輝いた有原航平くらいで、今季もこのエースを中心にローテーションが組まれる。
2番手以降は実力が拮抗しているが、怪我で戦線を離れたニック・マルティネスと上沢直之がともに2桁勝利を挙げた一昨年の投球を取り戻せれば、他球団に引けを取らない3本柱となる。
また、金子弌大が先発・中継ぎでフル回転できる点も心強い。
野手陣で注目したいのが“元ジャイアンツ戦士”たち。移籍4年目の大田泰示は自身初の30本塁打に期待がかかり、昨シーズン途中にトレードで加入した宇佐見真吾は有原との相性が良く、一気に正捕手獲りの可能性も十分にある。
オフに自由契約になったカルロス・ビヤヌエバも、巨人時代の年俸2億2500万円からするとバーゲン価格の8000万円で獲得し、長打力の底上げを図った。
彼ら以外にも不完全燃焼に終わった昨季のリベンジに燃える王柏融、覚醒が待たれる清宮幸太郎、吉田輝星など上位進出へ楽しみな要素が多い。
オリックス・バファローズ
12球団最高峰の先発2枚看板を擁し、話題の超大物助っ人を獲得したオリックスは、今季のサプライズチームになるかもしれない。
何と言っても最大の強みは、昨季13勝4敗で最高勝率(.765)に輝いた山岡泰輔と、12球団で唯一の1点台となる1.95で最優秀防御率を獲得した山本由伸の存在。それぞれ24歳、21歳という年齢も魅力で、数年間はこの2人がローテーションの中心に君臨するだろう。
他にも3年目のブレイクが待たれる23歳の田嶋大樹や、昨季13先発で防御率2.72を記録した21歳の榊原翼もおり、若手投手たちの成長曲線に合わせてチーム成績が向上すれば理想的だ。
もう一つ躍進を期待させる要素が、新外国人のアダム・ジョーンズ。MLBで球宴出場5回、ゴールドグラブ4回、通算282本塁打と輝かしい実績を誇る球団史上最高峰の大物で、定評のあるリーダーシップも含め、チームに及ぼす影響は計り知れない。
過去2シーズン、攻撃面では吉田正尚におんぶに抱っこ状態だったので、ジョーンズの長打力と、今季は1番起用も噂されるT-岡田の復活が重なれば、面白い打線になりそうだ。
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