前編では、DAZN NEWSの編集長である大川佑と、FC東京・大宮アルディージャを中心にJリーグを幅広く取材されている須賀大輔、ジュビロ磐田やアスルクラロ沼津に密着する森亮太、そして進行役として林遼平(川崎フロンターレを主に取材)による4人で、2022年のJ1リーグを展望。後編でも同じメンバーで『J1注目選手』を語っていく。
「10番は重要な選手」
林:今回は”今季のJリーグにおける注目選手”というテーマでいきましょう。みなさん、個人的に注目している選手を教えてください。
森:僕は京都の川﨑(颯太)選手ですね。
林:中盤の子だよね。めちゃくちゃいい!
森:特にボールを奪いに行くと決めた時の強度がすごく高いんです。あと状況に応じたプレー判断も素晴らしくて、昨季の京都を支えていたと思っていて。もちろん、昨年はまだJ2の舞台だったので、彼がどこまでJ1で通用するかは楽しみです。
あと取材しているチームならば山田大記選手です。あれだけ喋れる選手はなかなかJリーガーでも珍しいと思いますし、やはり頭がいい選手なのですごく戦術理解力がある。昨年はある程度、選手依存なサッカーをしていましたけど、山田くんがいろいろピッチ内でコミュニケーションを図ったりしていたことも大きかった。昨年はキャリアハイの二桁ゴールを記録しましたけど、「J1で初めて二桁とってこそキャリアハイ」と言っていましたし、J1でもう一度、輝く姿をみたいなと思っています。伊藤(彰)監督の戦術的なサッカーにおいても鍵を握る存在だと思うので期待しています。
大川:僕は昨年まで岡山に在籍していたセレッソ大阪の上門(うえじょう)知樹選手が気になるかな。
森:あの選手もJ2で好印象だったので、個人的にすごく注目しています。
大川:昨シーズン、41試合に出て13得点も奪っていてすごく得点を取っている試合が多かった。特にシーズン終盤は、第33節から第39節まで6試合6ゴールを記録している時期もあって素晴らしい活躍を見せていたなと。攻守に貢献できるかつ得点力のある中盤の選手を引き抜いたセレッソ大阪は、よく見ているなと思ったよ。今年の彼の活躍には期待しています。
林:次は僕がいきますか。僕はやはり鹿島の荒木(遼太郎)選手が楽しみです。昨年は素晴らしい活躍(10得点7アシスト)を見せましたけど、今年もそれを継続、いやそれ以上のパフォーマンスを披露できるかですね。間違いなく相手の警戒は高まっていると思いますし、その中でも活躍できるか。こないだ代表候補合宿にも呼ばれて、また新たな景色も見られたと思うんですよね。そういったものを取り入れて、これからどんな成長へとつなげていくのかは興味があります。今年も10点以上取ってくるなら、本当に代表に食い込んでいってもおかしくない存在だと思っています。
大川:「あまり大きなこと言いたくない」と言いつつ、10得点10アシストを宣言してたからね。期待できる。
林:今年は欧州で経験を積んだ鈴木優磨選手も帰ってきていますし、得点の取り方をさらに学べるような気もする。成長が楽しみです。
川崎Fに関しては大島僚太選手ですね。フルシーズン活躍できれば、本当に日本トップクラスの選手だと思っているんです。だからこそ、“彼がどれだけピッチに立てるか”がすごく大事。彼自身、昨年の怪我に対して悔しい思いを抱いているのは間違いないですし、今季の中盤を考えれば、大島が一年を通してピッチに立ち続けられるかはチームにとっても重要だと思います。
森:同じ静岡県出身として大島選手は注目しているのでフル稼働して欲しいなと思います。
林:さて、最後は須賀くんどうでしょう。
須賀:横浜F・マリノスの宮市亮選手ですね。個人的に言えば、年齢が一つ違いで誕生日が一緒なんですよ(笑)。もちろん、それだけではなくて、昨季はなかなか見られませんでしたけど、Jリーグの舞台で彼がどれだけ速いかを見てみたいです。昨季からマリノスは前線の選手が割と入れ替わった中で、宮市選手のようなプレイヤーが出てきてくれたら面白い気がするんですよね。
大川:確かに。いまだにフェイエノールト、ボルトンやウィガンの頃の宮市を追いかけてる自分がいるよ。
須賀:ドリブルと言えるのかというぐらい、ボールを前に出してぶち抜く姿をJリーグでも見たいなと。それこそマリノスは川崎Fの対抗馬になってくると思いますから、いろいろな選手が活躍する必要がある。そういう意味でも宮市選手の活躍はポイントになってくるのかなと思います。
林:ちなみにFC東京はいかがですか?
須賀:一人を挙げるとすれば東慶悟選手ですかね。もちろんディエゴ(・オリヴェイラ)選手や安部(柊斗)選手、小川(諒也)選手など、注目している選手は多いです。ただ、東選手は今季キャプテンの役割から離れ、いい意味で自分に専念できるシーズンになると思うんです。やはり10番ですし、クラブの在籍歴も長い選手なので、楽しみな若手も増えてきていますが、東選手がどれだけやってくれるかは密かに注目しています。
林:新たな監督の下で、中盤の大事なポジションに入る可能性も高いもんね。
須賀:昨年、セレッソ大阪の清武(弘嗣)選手とキャプテン対談をやらせてもらった時に、お互いに10番でキャプテンだからこその苦労を話していました。それを聞いて難しい立場だなと思いました。そういったプレッシャーから開放されて、今季は10点ぐらい取ってくれると期待しています。
林:結果的に取材しているチーム(川崎F・FC東京・磐田)の注目選手は全員10番でしたね(笑)。
須賀:やはり10番は、それだけ重要な選手ということですよ。
世界基準の選手とは?
林:最後に、今季のJリーグのテーマが【Jが世界を熱くする】となっております。みなさんが考える世界基準の選手とは誰かをお答えください。
大川・森・須賀:なかなか難しいね。
林:そしたら僕からいきますか。世界基準という話で言えば、1月、2月の代表戦で活躍した川崎Fの谷口彰悟は、それだけの力があるところを見せたと思っています。もちろん相手が欧州ではない、というのはあるかもしれないけど、日本代表のスタメンで起用されても欧州組の選手たちと何ら変わりなくプレーすることができていた。なおかつ、ビルドアップを含めて自身の特徴をしっかり出せたという点では、ある種、世界基準のプレーを見せたと思います。
森:磐田のライバルチームにはなりますけど、清水エスパルスの鈴木唯人選手ですかね。1月の代表合宿にも呼ばれていましたけど、A代表での活動を通じて刺激があったという話を耳にしました。彼は狭いスペースで違いをもたらせる選手だと思いますが、さらにゴールやアシストといった決定的な仕事ができるようになれば、世界に羽ばたける選手だと思うので、代表での刺激を清水でどのように還元していくか楽しみです。
大川:僕は名古屋グランパスの稲垣祥を推したいね。昨シーズンはスケールの大きい活躍を見せていた。中盤での運動量を含めた働き方は素晴らしかったし、その上、昨シーズンは8得点を奪っているように得点力もある。それにほとんどが「ゴラッソ」だった。イングランドのボックス・トゥ・ボックスで活躍するミッドフィルダーのようなスケールの大きさを見せていて、彼のようなプレイヤーはあまりJリーグにはいないのかなと思っている。本当に総合力が高い選手だなと思うね。ポジション柄、代表でも競争の激しいポジションだと思うけど食い込んできて欲しい。
須賀:ここまでの話を聞いて、スケールやポテンシャル、キャラクターを含めたら、僕はヴィッセル神戸の菊池流帆選手です。個人的に好きです(笑)。体格やプレーがいい意味で日本人離れしている部分があるじゃないですか。粗削りと言えばそれまでですけど、海外に行って欲しい選手の一人ですね。
林:これだけ聞いてみても、本当にJリーグにはたくさんの魅力ある選手がいるってことですね。今回は皆さんありがとうございました。
大川・須賀・森:ありがとうございました。
プロフィール
大川 佑
現『DAZN News』日本語版編集長。10代を英国で過ごした影響からサッカーの仕事を志す。帰国後、某サッカーサイトの立ち上げや様々な企画に携わったのち、『Goal.com』日本語版編集長(2016~2020年)に。奇縁もあり、アトレティコ・マドリードとペルー代表を応援している。1981年生まれ、兵庫県出身。
林遼平
埼玉県出身の1987年生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、フリーランスに転身。サッカー専門新聞「エルゴラッソ」の番記者を経て、現在は様々な媒体で現場の今を伝えている。
須賀大輔
1991年生まれ、埼玉県出身。学生時代にサッカー専門新聞『ELGOLAZO』でアルバイトとして経験を積み、2016年からフリーライターとして活動。ELGOLAZOでは柏レイソルと横浜FCの担当記者を経て、現在はFC東京と大宮アルディージャの担当記者を務めている。
森亮太
1990年、静岡県出身。静岡県を拠点にフリーライターとして活動中。2018年からは、サッカー専門新聞「エルゴラッソ」にてジュビロ磐田、アスルクラロ沼津の番記者を担当している。
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