ロストフの悲劇──。
2018年7月2日、ロシアのロストフ・アリーナで行われたFIFA ワールドカップ ロシア 2018 ラウンド16のベルギー戦は、日本サッカー界にとって忘れられない悔しさが残る戦いとなった。
あれからおよそ4年半。日本サッカー界史上初となるベスト8進出のチャンスを再び掴んだ。長谷部誠からキャプテンマークを引き受けて、日本代表を引っ張ってきた吉田麻也は「このベスト16を破るために、この4年間毎日いろんなものを犠牲にしてやってきた」と語る。
「今回初めて二大会連続でベスト16に行った。ここで満足せずに、(長友)佑都もいつも言っていますけど、新しい歴史の1ページを刻みたい。僕だけじゃなく、みんな同じ思いなので。このチャンスは4年後しか来ないので、逃すわけにはいかない」
これまでも日本代表の先頭を走ってきた吉田はキャプテンとしてチームを主語にした発言が多い。それでは、一人の選手“吉田麻也”としてはこのベスト8への挑戦をどう受け止めているのだろうか。
「個人的には若いときに早くにチャンスをあって、代表でたくさん試合に出させてもらっている。その中でずっと中澤(佑二)さん、(田中マルクス)闘莉王さんという“亡霊”を追いかけてきた。2人を超えたいなというのはずっと頭の片隅にある。僕はまだ中澤さん、闘莉王さんを抜けていないと思っているんで。ベスト16の壁を破ったときに初めてそこにたどり着けるんじゃないかなと思っています」
ベスト16の壁を超えてその先に待つのは日本最高のDFの称号だ。「まあ、一瞬だと思いますよ。冨安(健洋)と板倉(滉)がすぐに来ると思います」と謙遜するが「それでも一瞬なれれば嬉しいです」と、一人の選手としての本音が溢れた。
夢の実現まであと一歩。吉田麻也のストーリーはどのような結末を迎えるのだろうか。