2019年冬、バイエルン・ミュンヘンはチェルシーで公式戦わずか8試合しか出場していなかったカラム・ハドソン=オドイに対し、4度目のオファーを提示。4000万ポンドに加え、背番号10のユニフォームを提供する破格のアプローチを見せたが、チェルシーはこれを固辞した。このことからも、いかにハドソン=オドイが各方面から高い評価を受けているかがわかるだろう。
2007年にチェルシーの下部組織に入団したハドソン=オドイ。13歳の頃には、当時チェルシーに所属していたサミュエル・エトーがマンチェスター・ユナイテッド戦でハットトリックを達成した際、ボールボーイを務めていたハドソン=オドイの元に駆け寄って一緒に喜びをわかちあった思い出も。
「ゴールが決まった瞬間、僕は嬉しくてエトーを見ていたんだ。幼かった自分にとってプロ選手が来てくれるなんてクレイジーなことだった」
エトーとの交流の際に満面の笑顔を見せたハドソン=オドイは、そんな愛するチェルシーで順調に成長。アンダー世代のイングランド代表で常に主力を張るなど、将来を嘱望される選手となった。
2017年には、フィル・フォーデンやジェイドン・サンチョらを擁する黄金世代のU-17イングランド代表の主力として、U-17ワールドカップ(W杯)に参戦。決勝トーナメント全試合で左ウイングとして先発し、決勝のスペイン代表戦では2アシストを記録する活躍で母国のタイトル獲得に大きく貢献した。
一方、代表でのプレーからそのポテンシャルが各ビッグクラブに認められていたハドソン=オドイだが、チェルシーでは層が厚いチームの中で2017-18シーズンのリーグ戦出場が27分にとどまるなど、出場機会を得ることに苦しんでいた。
その状況を見逃さなかったバイエルンは、ハドソン=オドイ引き入れのために計4度にわたってオファー。しかし、大金を前にしても、チェルシーの答えは「ノー」だった。
出場機会を増やし始めた2018-19シーズン、年明けの3月にはイングランドのフル代表に招集。EURO予選のチェコ代表戦において18歳135日でピッチに立ったハドソン=オドイは、公式戦デビューの選手として64年ぶりに同国の最年少出場記録を更新した。しかし、代表とクラブでの飛躍が期待されていた矢先、4月にはリーグ戦でアキレス腱断裂の大怪我に見舞われてしまう。
それでも、ハドソン=オドイの才能を信じるチェルシーは2019年の夏、新たな5年契約を締結した。「合意は本当に嬉しい。8歳からプレーしているチェルシーは僕の最適なクラブ」と語ったハドソン=オドイは長いリハビリの末に2019-20シーズンに復帰。復帰戦からリーグ戦3試合連続アシストをマークするなど、改めて才能を示している。
2019-20シーズンには新型コロナウイルス感染や女性問題などピッチ外で世間を賑わせたハドソン=オドイだが、チェルシーで順調に出場機会を増やし続け、その存在感を増している。フランク・ランパード監督も「カラムの才能はよく知っている。計り知れない素質を備えている」と絶賛する若者の成長ぶりから今後も目が離せない。
プレースタイル
ウイングポジションを主戦場とする快速アタッカー。チェルシーでは右サイド、左サイドのいずれでもプレーしており、サイドから中央への切り込みを得意とする典型的なウインガーだ。足元の技術の高さを活かしたドリブルはスピード十分で、鋭い切り返しで対面のディフェンダーを翻弄。また、ダイアゴナルな動きがうまく、受け手としての質も高い。抜ききった後でのボックス内での冷静さやフィニッシュの精度を高めることができれば、よりゴール数やアシスト数を伸ばしていくことができるだろう。
動画:プレー&ゴール集
プロフィール・経歴
カラム・ハドソン=オドイ/Callum Hudson-Odoi
2000年11月7日生まれ 177cm・74kg 利き足:右足
シーズン | 所属クラブ | 出場・得点 |
---|---|---|
2017-18 | チェルシー | 2試合・0得点 |
2018-19 | チェルシー | 10試合・0得点 |
2019-20 | チェルシー | 22試合・1得点 |
2020-21 | チェルシー | 14試合・2得点 |
※成績は国内リーグ(2021年2月10日現在)
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