小国ながらもライアン・ギグス、ギャレス・ベイルと世界に名を轟かす名ウインガーを輩出し、国際舞台でも強豪の地位を確立しつつあるウェールズ。二人の系譜を汲むように、今後のウェールズを背負うことになるウインガーが現れた。2019-20シーズンにマンチェスター・ユナイテッドでセンセーショナルな活躍を披露しているダニエル・ジェイムズだ。
地元ハル・シティのアカデミーで育ったジェイムズは、「12歳の頃、僕はサッカーを続けることを諦めかけていた。学校から帰ったら仲間と遊びたいと思っていたのに練習へ行かなければならなかった」と、少年時代に友人との関係を優先し、サッカーを辞めることも考えていた。それでも、ハル・シティのコーチ陣に「君の才能を信じている。続けてほしい」と説得されたこともあり、プレーを続けたジェイムズは、その後に加入したスウォンジー・シティで台頭し、2018年2月にトップチームデビューを果たした。
FAカップ4回戦、ノッツ・カウンティ戦で初ゴールを挙げる鮮烈デビューを飾ったジェイムズ。その名前が国内で知れ渡ったのは2018-19シーズンだった。当時のチャンピオンシップ(イングランド2部)に所属していたチームの中で傑出したスピードとドリブルでインパクトを残し、公式戦38試合で5ゴール10アシストをマーク。注目の若手としてメディアにも取り上げられ始めると、2018年10月にはウェールズ代表として初キャップを記録した。
いくつかのクラブがジェイムズに興味を持ち始めた中、通常ならばプレミアリーグ中堅クラブへのステップアップがセオリーだが、ジェイムズを推定移籍金1500万ポンドで引き入れたのはイングランド屈指の名門であるユナイテッドだった。無論、サポーターだけでなくメディアもこの補強を将来への投資とみていたが、プレシーズンでアピールに成功したジェイムズは良い意味で期待を裏切ってみせる。
途中出場となった開幕節のチェルシー戦でゴールを記録して夢のデビューを果たしたジェイムズは、第3節のクリスタル・パレス戦、第4節のサウサンプトン戦でもネットを揺らし、一躍時の人に。勢いそのままにユナイテッドのレギュラーとなったのだ。これには、指揮官のオーレ・グンナー・スールシャール監督も「彼はその才能を証明している。十分にスカウティングしてリクルートすれば、予想以上に高額な移籍金を払う必要はない」としたり顔。加入時に「人生最高の日」と語ったクラブで、ジェームズはこれ以上ない最高のスタートを切ったのだ。
ジェイムズのビッグクラブでの活躍は、もちろんユナイテッドだけでなく母国ウェールズにとっても大きな意味を持つ。ユナイテッドのレジェンドでウェールズ代表の指揮官であるライアン・ギグスをして「彼が何をするかわかっていても、誰も彼を止められない」と言わしめるジェイムズ。新星ウインガーは、これからも自ら素晴らしい将来を切り開いていく。
プレースタイル
サイドポジションならば右でも左でも対応可能なウインガー。爆発的なスピードとスプリント能力、低い重心から繰り出されるキレ味抜群のドリブルが最大の持ち味だ。右サイドならば縦突破からのクロス、左サイドならばカットインからのシュートで相手の脅威に。運動量も豊富で、献身的な守備でもチームに貢献できる。今後、逆足の精度向上や仕掛けのパターンを増やしていくことができれば、ギグスやベイルに並ぶトップスターに成長していくはずだ。
動画:プレー&ゴール集
プロフィール・経歴
ダニエル・ジェイムズ/Daniel James
1997年11月10日生まれ 170cm・76kg 利き足:右
シーズン | 所属クラブ | 出場・得点 |
---|---|---|
2018-19 | スウォンジー・シティ | 33試合・4得点 |
2019-20 | マンチェスター・U | 33試合・3得点 |
2020-21 | マンチェスター・U | 6試合・1得点 |
※成績は国内リーグ(2021年1月30日現在)
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