「単純に私が好きじゃない代理人が少しだけいる。ポール・ポグバの代理人ミノ・ライオラはその1人だ。彼のことは最初に会ったときから信頼できなかった」
マンチェスター・ユナイテッドの伝説的な指揮官であるアレックス・ファーガソン元監督は、著書『Leading』の中で、クラブの有望な若手だったポグバを2012年にユヴェントスにフリーで流出した大きな理由に、代理人の存在があったことを明かしている。
ファーガソン元監督もその才能を認めていたポグバは、ユナイテッドを愛していながらも、当時隆盛を極めていたチームでなかなか出場機会を得ることができず、イタリアに新天地を求めた。ファーガソン元監督はポグバを高く評価しつつも若手を慎重に起用していく方針を変えず、痺れを切らしたポグバ側が契約更新を拒否し、移籍を決断した。
もともと破天荒な性格だったポグバだが、ユヴェントスではジャンルイジ・ブッフォンやアンドレア・ピルロといった尊敬されるべきレジェンドが温かく見守り、そして指導した影響で、伸び伸びとプレー。成長しつつ、自身の才能を遺憾なく発揮することに成功した。3センターの左インサイドハーフを任され、積極的な攻撃参加を許されると、安定してハイパフォーマンスを披露し続けた。
ユヴェントスで世界屈指のMFに成長したポグバに対し、ファーガソン元監督が勇退したユナイテッドは引き戻しに挑戦。2016年、当時の史上最高額となる1億1000万ユーロを費やすと、古巣で再び新たな挑戦を望んだポグバとの相思相愛関係が追い風となり、ビッグディールが成立した。
ユヴェントスでの公式戦178試合で34ゴール40アシストをマークしたポグバは、過渡期を迎えていたユナイテッドでは、ユヴェントス時代のような躍動感ある姿は影を潜めた。それでも、2018年のロシア・ワールドカップでは6試合に出場し、決勝のクロアチア戦でゴールを挙げるなど、母国の20年ぶりとなる世界制覇に貢献。“チームによっては”いまだ輝きを放つことができることを改めて世界にアピールした。
世界最高の舞台で自身の価値を示したポグバだが、やはりユナイテッドではチームの不調に引きずられ、一貫したパフォーマンスを継続できず。2019年の夏には退団希望を表明したことで、かねてから興味を示していたレアル・マドリード移籍が取りざたされたが、最終的に残留。さらに、2019-20シーズンは度重なる負傷により、ここまで公式戦8試合の出場にとどまっている。
2020年に至ってはいまだ長期離脱で出場機会がないポグバ。しかし、新型コロナウイルスによる中断が自身の流れを変えるキッカケとなるかもしれない。ポグバは4月、「このような状況(長期離脱)を自分のキャリアで経験したことがなかった。負傷は悪いことと思われるかもしれないが、個人的には良い方に受け取っている。復帰すること、そしてうまくやっていきたいという思いは、以前より強くなっている」と口にし、期待感を煽っている。
モチベーションと心身の状態が整った際のポグバは、間違いなく手が付けられないプレーヤーと化す。リーグ再開時、圧倒的なスケールを持つこの男が一皮むけた姿を見せることをサポーターは楽しみに待っているはずだ。
プレースタイル
恵まれた身体能力を活かした抜群のフィジカルとパスセンス、破壊力抜群のシュートを兼ね備える大型MF。精度の高いキックで中盤の低い位置からゲームメークしたかと思えば、豪快にボックス内に侵入してゴールを奪う力を持っている。また、足下のテクニックとドリブルの技術も非凡で、自ら仕掛けきってのシュートやラストパスに持ち込むプレーも容易に行う。
セントラルMFとトップ下、左サイドハーフと中盤のどこでもプレー可能だが、ベストポジションはユヴェントス時代に主戦場とした3センターの左インサイドハーフだろう。その能力は間違いないが、モチベーション面が如実にパフォーマンスに影響するのがウィークポイント。メンタル面で成熟すれば、サッカー史上でも最高クラスの選手となることに疑いの余地はない。
動画:プレー&ゴール集
プロフィール・経歴
ポール・ポグバ/Paul Pogba
1993年3月15日生まれ 191cm・84kg 利き足:右
シーズン | 所属クラブ | 出場・得点 |
---|---|---|
2011-12 | マンチェスター・U | 3試合・0得点 |
2012-13 | ユヴェントス | 27試合・5得点 |
2013-14 | ユヴェントス | 36試合・7得点 |
2014-15 | ユヴェントス | 26試合・8得点 |
2015-16 | ユヴェントス | 35試合・8得点 |
2016-17 | マンチェスター・U | 30試合・5得点 |
2017-18 | マンチェスター・U | 27試合・6得点 |
2018-19 | マンチェスター・U | 35試合・13得点 |
2019-20 | マンチェスター・U | 16試合・1得点 |
2020-21 | マンチェスター・U | 18試合・3得点 |
※成績は国内リーグ(2021年2月1日時点)
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