クレベルソン、アンデルソン、ポセッボンら21世紀のマンチェスター・ユナイテッドにおいて、“王国”ブラジル出身のMFは受難の歴史が続いていた。フレッジも一時はその例に漏れず、輝きを放つのは難しいとも考えられたが、名門で自身の道を切り開き始めている。
2013年から所属していたシャフタール・ドネツクで自身の価値を高めたフレッジは、2018年の夏に推定移籍金5200万ポンドという高額でユナイテッドに加入した。しかし、初年度はプレミアリーグの速いゲーム展開についていけず、ボールロストを繰り返すなど低調なパフォーマンスに終始。リーグ戦の出場は17試合にとどまり、移籍金に見合わないプレーぶりで多くの批判を集めた。
「僕のここでの最初のシーズンは難しいものだった。でも、来シーズンは僕にとってより良いシーズンになるはずだ」
苦難の1シーズン目をそう振り返ったフレッジは言葉通り、2年目となった2019-20シーズン、別人かのように素晴らしい動きを見せている。中断するまでのリーグ戦においては第5節から全試合に出場。公式戦39試合で2ゴール4アシストをマークし、攻守においてチームにとって重要な選手となったのだ。
データ上でもフレッジの“進化”は顕著だ。『Whoscored』によれば、1試合のシュート数は前シーズンの1.0から1.5に上昇。パス成功率も86.3%から87%に上げ、1試合の空中戦勝利数も0.2から0.4に。さらにタッチ数はMFとしてクラブ最多の「2023」を記録。これはプレミアリーグ全体のMFの中でも、ロドリ、ジョルジーニョ、ケヴィン・デ・ブライネ、フェルナンジーニョといった名だたるボールプレーヤーに次ぐ数字だ。
「ユナイテッドでブラジル人MFは活躍できない」というジンクスを覆しつつあるフレッジ。ポール・ポグバやブルーノ・フェルナンデスといった華やかな選手を抱える中盤において、黒子役となっているこの仕事人のプレーにも引き続き注目だ。
プレースタイル
セントラルMFのポジションを主戦場とするフレッジは、攻守のバランス感覚に優れたレフティだ。攻撃面では、ブラジル人らしい足下の技術を活かしたドリブルでの持ち出しに加え、決定的なパスを出すことができる視野の広さが特長。守備面では、豊富な運動量を活かした守備範囲の広さ、球際の強さを活かしたボール奪取能力に定評がある。課題は試合を通じて集中力を維持すること。自陣での不用意なボールロストを減らすことができれば、その評価はより高いものになるだろう。
動画:プレー&ゴール集
プロフィール・経歴
フレッジ/Fred
1993年3月5日生まれ 169cm・62kg 利き足:左
シーズン | 所属クラブ | 出場・得点 |
---|---|---|
2012 | インテルナシオナル | 28試合・6得点 |
2013 | インテルナシオナル | 5試合・1得点 |
2013-14 | シャフタール | 23試合・2得点 |
2014-15 | シャフタール | 22試合・1得点 |
2015-16 | シャフタール | 12試合・2得点 |
2016-17 | シャフタール | 18試合・2得点 |
2017-18 | シャフタール | 26試合・3得点 |
2018-19 | マンチェスター・U | 17試合・1得点 |
2019-20 | マンチェスター・U | 29試合・0得点 |
2020-21 | マンチェスター・U | 15試合・0得点 |
※成績は国内リーグ(2021年2月1日現在)
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