右サイドバックのポジションは、過去20年のリヴァプールにおいて常に懸念のポジションとなってきたが、トレント・アレクサンダー=アーノルドがその問題を完璧に解決させた。
アメリカ合衆国からの移民であるA=アーノルドは、6歳時にリヴァプール下部組織に入団。ユースで台頭すると、2016年10月にトップデビューを果たし、2017年にプロ契約を締結した。
ディフェンダーが若くしてトップチームに定着するのは攻撃的なポジションの選手よりも難しいが、A=アーノルドは落ち着いたプレーぶりで確実にユルゲン・クロップ監督の信頼を掴むと、2シーズン連続でクラブの年間最優秀若手選手賞を受賞した。
そして、レギュラーを奪取した2018-19シーズンはA=アーノルドにとって飛躍のシーズンとなった。公式戦40試合に出場し、リーグ戦では29試合で12アシストという素晴らしい数字を記録。プレミアリーグのベストイレブンに選出された。
さらに、クラブの14年ぶりとなるチャンピオンズリーグ(CL)制覇においても重要な役割を担い、同大会ベストイレブンにも選出。20歳にしてバロンドールのノミネートも果たした。
今季もA=アーノルドの勢いは止まらず。中断前のプレミアリーグ29試合で2ゴール12アシストと昨季と同数をマーク。その活躍ぶりにはクロップ監督も「彼を若手として扱う時期は過ぎた」と舌を巻く。
今後も同様のパフォーマンスを継続すれば、リヴァプールだけでなく、プレミアリーグ、ひいてはフットボール界のレジェンドプレーヤーとして名を刻まれることになるはずだ。
プレースタイル
クロップ監督が「並外れている」と評する正確無比な右足クロスが最大の武器。マンチェスター・ユナイテッドなどで活躍した元イングランド代表MFデイヴィッド・ベッカムのように、“クロスで守備ブロックを破壊できる”選手だ。
さらにポジショニングや戦術理解度も21歳とは思えないほど高く、そのサッカーIQの高さから、右サイドバックながら“試合を創る”ことが可能。強いて課題を挙げるとすれば守備面だが、今後フィジカルの向上と経験を積むことでの改善が期待できる。
動画:プレー集(※ロバートソン含む)
エピソード
A=アーノルドの背番号は非常に珍しい「66」という数字。リヴァプールのキットマネジメント・コーディネーターのリー・ラドクリフ氏によれば、「アカデミー上がりの選手は、あえて意図的に大きな番号を与えている。すぐ活躍した場合に(調子に乗らないように)備えてね」というのが大きな数字である理由。その後、今では小さな番号に変更しても問題ないような、誰もが認めるほどの選手に成長したが、本人からは「番号はこのままでいいよ。僕は66番で続けるよ」と告げられているとのこと。スターになった今でもしっかりと地に足を付けていることがわかるエピソードだ。
プロフィール・経歴
トレント・アレクサンダー=アーノルド/Trent Alexander-Arnold
1998年10月7日生まれ 180cm・69kg 利き足:右
シーズン | 所属クラブ | 出場・得点 |
---|---|---|
2016-17 | リヴァプール | 7試合・0得点 |
2017-18 | リヴァプール | 19試合・1得点 |
2018-19 | リヴァプール | 29試合・1得点 |
2019-20 | リヴァプール | 38試合・4得点 |
2020-21 | リヴァプール | 12試合・0得点 |
※成績は国内リーグ(2020年12月23日現在)
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