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ラ・リーガ

【戦術分析】強いバルサが戻ってきた!復活のハイプレス、圧巻のサイド攻撃、そしてレヴァンドフスキ…眩く輝く現在は切り売りした未来をも照らせるか

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【戦術分析】強いバルサが戻ってきた!復活のハイプレス、圧巻のサイド攻撃、そしてレヴァンドフスキ…眩く輝く現在は切り売りした未来をも照らせるかDAZN
【欧州・海外サッカー ニュース】ラ・リーガ開幕節ラージョ戦をスコアレスで終えた後、公式戦ここ5試合全勝と勢いに乗るバルセロナ。スペインメディア屈指の戦術通記者はバルセロナ完全復活を宣言している。

フットボールのエリート界の話ではあるが、金銭&スポーツ面の弱者となり、レアル・マドリードに大きく水を開けられてしまったバルセロナは、ここでリアクションを見せなければならなかった。“クラブ以上の存在”である理由の一つ、確固たるプレーモデルは輪郭が確認できないほどぼやけてしまい、メッシの退団以降青とえんじのクラブ旗をその手につかみ、高々と掲げられる選手も不在……。彼らはすぐにでもルネッサンスを必要としていたが、しかし、それを成し遂げるための選手たちも、その選手たちを獲得する金もなかった。現会長のラポルタが、賛否両論ある資産の切り売りをするまでは……。

ラポルタはテレビ放映権などの未来の収入と引き換えに、現在のバルセロナを皆が羨むべきチームとした。今季のバルセロナはあらゆるポジションが厚く、チャビは局面に応じて様々な特徴の選手を使い分けられる。狂騒的だった夏の移籍市場が閉鎖し、ピッチ外ではなくピッチ内のバルセロナに目を向けてみれば、彼らのプレーは眩い輝きを放っているのだった。

バルセロナは誰もが知る彼らのプレースタイルを、そのスタイルを至高の域にまで到達させる選手たちを取り戻した。ボールを失えば猛烈なプレッシングのスイッチが入り、ウィングが優位にプレーできるメカニズムがあり、ボールを保持することにこだわり、それでいてトランジションからの攻撃も捨てず、守備の問題も迅速に修正できる。このバルサは、素晴らしい。レアル・マドリードとも、そのほかの欧州のビッグクラブとも渡り合えるだろう。

加えて、チャビはこれまでポゼッションフットボールの過激派と言われてきたが、実際にバルセロナの指揮官になってみると、グアルディオラとルイス・エンリケがバルセロナの黄金期に示したような柔軟性も持ち合わせていた。システム面では試合の中で1-4-3-3から3バックに変更することも厭わず、必要に応じては信仰の対象を踏み絵にすることすらできる。

xavi-hernandez-barcelona-liga-20220910Getty Images

■復活のハイプレス

現在のバルサは、もちろん類い稀な選手たちが有する個人プレーの解決能力にも恵まれているが(レヴァンドフスキ、デンベレ、クンデ……)、チームとしても多くの長所を有している。とりわけ強調されるべきは、組織立ったハイプレスの復活だ。バルサはより良い守備を実行し、だからこそ、より良い攻撃も仕掛けられる(逆もまた然り)。

チャビは相手チームにボールが渡るとき、インサイドハーフ2枚の内一枚をレヴァンドフスキの隣まで移動させ、そこからアグレッシブな一枚岩のプレスを発動させる。無論、セルヒオ・ブスケツの先読みによる“潰し”は恒久的に凄まじいが、セビージャ戦でタコの如くピッチを幅広くカバーしたガビなど、他選手の活発さも効いている。

バルセロナはそうやってボールを奪えば、次に走ることが可能となる。スペースを突いて、少ないタッチ数でゴール前まで到達する(ショート)カウンターは、あまりに強力だ。レヴァンドフスキはペナルティーエリア内の完全無比ぶりほか、ゴールに背を向けてボールを受ける技術もずば抜けて秀でている。テア・シュテーゲンがレヴィにボールを送るのは何らおかしなことではないし、そうしてボールを受けた彼はデンベレ、またはラフィーニャかアンス・ファティが優位になれる状況をつくり出す。

つまりチャビのバルセロナは、ポゼッションもダイレクトプレーも行い、その両極の振れ幅によって対戦相手に迷いを生じさせているわけだ。彼らと戦うチームは、もし前からプレスを仕掛けようものならレヴァンドフスキが待ち構えている後方を明け渡すことになり、かといって自陣でのプレーを許そうものならばヨハン・クライフの時代から続く伝統的なポジショナルな攻撃を許すことになってしまう。

pedri-barcelona-liga-20220910Getty Images

■攻撃のメカニズム

相手がハイプレスを仕掛けてくるとき、チャビは両センターバックを別れさせてドリブルを仕掛ける姿勢を取らせ(エリック・ガルシアとクンデをその役割を完璧にこなせる)、彼らの間にブスケツを据えてサリーダ・ラボルピアーナの形を取り、さらにどちらかのインサイドハーフをその3選手に近づかせる。レアル・ソシエダ、セビージャ戦ではペドリがそうしたインサイドハーフの役割を務め、後方3人が相手のハイプレスで窒息せぬよう空気を送り込んでいたが、それこそがスコアレスドローに終わったラ・リーガ開幕節ラージョ戦で欠けていたことだった。

ラージョ戦、チャビはペドリとガビの両インサイドハーフを揃って前方に位置させるというコンセプト的な過ちを犯していた。その意図は、彼らに囮の役割を兼ねさせてウィングが自由にボールを受けられるよう仕向けることにあったが、しかしそのためにプレーの機関室たる中央にボールをつなげず、ポゼッション自体が不安定になるという支障が生じてしまった。チャビはその問題を修正すべく、ペドリ、ガビ、またはフレンキー・デ・ヨングにビルドアップをサポートするよう指示した。……それは、自分が選手の頃にやっていたことを思い出した、とも言い換えられるだろう。

このインサイドハーフの役割において、とりわけペドリは継続してファンタジーを創造している。彼はあまりにも自然に、そうやってのけてしまうのだ。選択を間違えず、ドリブルをすべきとはもうドリブルをしていて、ボールを離すべきときにはもう離していて、ゴール前にも飛び込むべきときにはもう飛び込んでいて、何気なくゴールを決めている。かゆいところがあると感じた刹那、すでにそこをかいてくれている。

インサイドハーフがボールに触れる回数が増えれば、ウィングはより優位な状況でプレーに参加できる。チャビにとってサイドで1対1の状況を生み出すのは超重要事項だ。現在のデンベレにそうした状況を用意してやれば、それはゴールチャンスにそのまま直結する。バルセロナはウィングに深みを取らせ、クロスを送らせるとともに、ペナルティーエリア付近にも抜かりなく選手たちを配置している。バジャドリーやヴィクトリア・プルゼニは、バルセロナのサイド攻撃に特に苦しんだ2チームだった。チャビは両ウィングを目一杯開かせて、サイドバックには内側のレーンを走らせることを常とする。そもそもサイドバックにとどまらず、ボールを持っていない選手が相手の守備に亀裂を入れるべく、どんどんと走り込んでいくのが今のバルセロナだ。

lewandowski-barcelona-liga-20220910Getty Images

■両ペナルティーエリアの支配者

とどのつまり、現在の彼らはチームメートのより良いプレーを引き出し、その代わりに自分のより良いプレーも引き出させるチームとなった。ここ数シーズン、目も当てられないときもあった守備面も同じことが言える。両センターバックの相手チームを監視する目は鋭くなり、アラウホ、またはクンデが驚異的なスピードで最終ラインに戻ってこられるのも大きい。5試合で2失点しか喫していないのが、その堅牢さを表している。それとテア・シュテーゲンの復活も良いニュースだ。優勝を狙うあらゆるチームが、当たり前のように好セーブを見せられる守護神を必要としている。昨季クルトワがレアル・マドリーの欧州制覇の鍵を握ったように。バルセロナにとってテアはかつてそういった存在だったが、どうやらあの頃の姿を取り戻したようだ。

T・シュテーゲンが好調で、各ライン/ポジションに豪華な選手たちを揃える圧倒的陣容……バルサは再び両ペナルティーエリアを支配し始めた。相手のエリア内にそびえ立つのは、レヴァンドフスキ。フットボール史上最高のストライカーの一人に数えられる存在だ。彼はゴールの保証そのものだが、それ以外の部分でも抜群の影響力を発揮する。例えば、その実力だけで聞く耳を持たれる、落ち着いた、キンキンうるさくないリーダーシップもその一つで、カンプ・ノウではメッシが去ってからそうしたリーダーが不在だった。

レヴァンドフスキがシュートを打つとき、私たちはゴールになるという直感を働かせる。それは偉大な選手を目にしているときにしか働かない感覚であり、彼がいて、また彼を機能させられるバルセロナは、フットボールシーンの最前線に戻ってきたことを高らかに宣言している。

バルサは、戻ってきたのだ。

彼らはラ・リーガでも欧州最高峰の舞台でも、マドリーとしのぎを削ることになる。両大会にとって、ひいてはフットボールというスポーツにとって、喜ばしいことこの上ない。果たして、バルセロナの今の輝きは、切り売りした未来をも明るく照らすことができるのだろうか。

文=ハビ・シジェス/スペイン紙『as』試合分析担当

翻訳=江間慎一郎

1983年生まれ。東京出身。携帯サッカーサイトの編集職を務めた後にフリーのサッカージャーナリスト・翻訳家となり、スペインのマドリードを拠点に活動する。 寄稿する媒体は「GOAL」「フットボール批評」「フットボールチャンネル」「スポニチ」「Number」など。文学的アプローチを特徴とする独創性が際立つ記事を執筆、翻訳している。

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