9日に行われたラ・リーガ第28節ラージョ・バジェカーノ対アトレティコ・デ・マドリードで、ラージョサポーターがアトレティコFWアンヘル・コレアの母親に心のこもった黙祷を捧げたことで称賛を集めている。
A・コレアの母親マルセラ・マルティネスさんは4月の第1週、3年にわたる癌との闘病の末に亡くなった。幼い頃に父親を亡くしていたA・コレアにとってマルセラさんはかけがえのない人物だったようで、SNSなどで「僕の人生の中で母親こそが最も大切だ。母と子供たちこそが何よりも大事なんだよ」「母は3年にわたって病気と闘い続けている。彼女のこと本当に誇り高い。ずっと生き続けてほしいんだ」といったメッセージを発信していた。
A・コレアがマルセラさんが亡くなった直後のラージョ戦に出場するかどうかは不透明となっていたが、やはり招集メンバーには含まれず。だがA・コレア本人がいなくとも、ラージョ本拠地バジェカスは彼とマルセラさんを思う気持ちにあふれていた。
ラージョはマルセラさんに黙祷を捧げることを決定。試合直前、スピーカーからその旨が伝えられると、1万2000人以上集まったラージョサポーターのほとんどが席を立って、マルセラさんの冥福を祈った。黙祷が終わると、大きな拍手をスタジアム中に響かせている。
ラージョサポーターの拍手が響き渡ったのは、黙祷のときだけではない。アトレティコの先制点を決めたDFナウエル・モリーナはゴール直後、A・コレアがつけている背番号10のユニフォームを空に掲げたが、バジェカスの観客は最初こそ失点に動揺しながらも気持ちを切り替えて再び手を叩いたのだった。アウェーチームのゴールでホームチームの観客の拍手が起こるなど、極めて異例のこと。試合後会見に出席したアトレティコのディエゴ・シメオネ監督も、ラージョ及び同クラブのサポーターの振る舞いを何よりも強調していた。
「これだけは言わせてくれ。私にとってはあの黙祷こそが、この夜の最高の出来事だった。ラージョ・バジェカーノの人々がコレアの家族に示した敬意と振る舞いこそが、最も素晴らしかったんだ。黙祷の時間、自分たちのスタジアムではないところで、あんな風に敬意が示されるというのは感動的だ。バジェカスの人々に拍手を送りたい」
またアトレティコ自体も『ツイッター』を通じてラージョへの感謝を表明。「私たちが愛するA・コレアに対して素晴らしい振る舞いを見せてくれたラージョ・バジェカーノ、また彼らのファンに大きな感謝を!」とのメッセージを記している。
アトレティコ、そしてラージョとそのサポーターの思いは、きっとA・コレアにも伝わっているはずだ。
取材・文/江間慎一郎
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