近年、ユヴェントスやイタリア代表において、重要な役割を担ってきたフェデリコ・ベルナルデスキ。ロベルト・マンチーニ指揮下のアッズーリでは、EURO2020優勝も経験したユーヴェFWが、『ダゾーン・イタリア』の司会者ディレッタ・レオッタ氏を自宅に招き、ロングインタビューに応じた。
最高の家族が“安心毛布”
ベルナルデスキはまず、子どもの頃から大事にしている“安心毛布”について問われると、家族に対する特別な思いを明かした。
「正直話さなければならないんだよね? 本当のことを言うと、“安心毛布”は持っていないんだ。人生において、年とともに少しずつ、モノよりも人との関係を大切にするべきだと気づいた。いまの僕の“安心毛布”は何かと尋ねられたら、『家族』と答えるだろう」
ベルナルデスキは、妻と娘に囲まれた家庭生活に満足している。
「世界で最高に素晴らしいことだと思う。男1人でみんなから愛されるのも良いものだよ。ペットの犬はオスだけど、僕よりも妻のことが大好きなんだ。だから僕のところではなく、女性陣と一緒にいることの方が多い。そこは少し孤独に感じるよ」
「父親になったのでオフの時間は、できる限り家族に捧げている。選手生活をしていると、自宅で過ごす時間がほとんどない。だから一緒にいる時は、できる限りの愛情を注いでいる。愛はすべての活力になるからね。失敗することもあるけれど、自然なことだ。僕らはみんな完璧じゃないし、失敗は素晴らしいことでもあると思う。僕と妻が娘たちを愛するように、娘たちも他者が完璧ではないことを受け入れられるようになるはずだ」
ロックダウン中に料理を習得
話題が食べ物へと及ぶと、ユーヴェFWは、自身の大好物を明かしつつ、ロックダウン(都市封鎖)によるリーグ中断中に料理も学んだことを振り返った。
「リコリス菓子や、パスタならカチョエペペ(ペコリーノチーズと胡椒のパスタ)が大好きなんだ。料理はロックダウンの間に学んだ。ロックダウン中は、いろんな料理を作ったよ。デザートやパスタ、パエリアも作った。中でも一番上手く作れたのがカチョエペペなんだ」
16歳で迎えたキャリア最大の逆境
また、ベルナルデスキは自身のキャリアを振り返り、訪れた様々な逆境を楽しんできたことを明かした。
「僕にはいろいろな逆境があったが、人生においてそういう時は誰にでもあるだろう。だが僕はなぜだか分からないけど、逆境が大好きなんだ。苦しい時も最高だよ。なぜかって、僕は常に苦しい時に、何か素晴らしいことを発見することができたからなんだ」
「実は16歳の時、心臓の問題でカルチョを止めさせられたんだ。『君はもうカルチョをプレーできない』って言われた。思春期の16歳でそんなことを言われて本当につらかった。6か月間、一切のスポーツ活動を禁じられて、家で過ごすしかなかった」
「だけど、その苦しみを味わったことで、僕自身がどれほどカルチョを愛しているのか、どれほどの情熱を持っているのかを理解することができたんだ。『失った時に気づく』ことはよくあることだと思う。それから、自分の持てる力のすべてを尽くしてプロのサッカー選手になろうと決めた。当時から選手になれると信じていた」
「夢を信じるところから実現するまでに、かなりの道のりを歩まなければならないので、そこが難しいところだけどね。(大理石の産地)カッラーラ出身の者は大理石のように固く、本当に頑固な性格なんだよ。僕らはそれを誇りに思っている」
元ユヴェントスのレジェンド、GKジャンルイジ・ブッフォンもベルナルデスキと同じカッラーラの出身だ。
「そう、彼はかなり頑固だね。まさかブッフォンのチームメートになれるとは、思っていなかった。偉大なジジはイタリアのカルチョの聖なる怪物だよ」
苦しい時期はのちに100倍の喜びをもたらす
続いてベルナルデスキは、少年時代から自身を支えてきた両親への思いを明かしたほか、2017年から所属するユヴェントスでの苦しい時期を振り返った。
「僕は18歳の時にクロトーネでプレーしていたんだ。その時、父は僕に会いに来てくれたんだけど、そこで友人をたくさん作ったようで、毎年のようにクロトーネに通っている。僕の父は少し変なところがあるけど、明るい性格なんだ。僕が子どもの頃は、いつも試合に一緒に来てくれた。子どもたち全員が夢を実現できるわけではないので、両親のことを思うと(自分が夢を実現できたことは)うれしい」
「ユーヴェでは苦しい時期もあった。だけど嘆くことは絶対にしない。こういう時期は自分のためになる。自分が成長し、何かを理解するきっかけになる。人生において順風満帆の時もあれば、苦しい時も必ずある。ずっと登り続けることができた人なんて、ほんの一握りしか出会ったことがない」
「人生において、立ち止まって考える時も必要なんだ。その時、自分自身を見つめ直し、自分が何を失敗したのか、他の人が何を失敗したのか、何を改善するべきなのか、何をすべきなのかを理解することが重要だと思う。そこから物事が再び上手く行き始めるようになった時は、100倍の喜びと満足感を得ることができるんだ」
ベルナルデスキが振り返る“バランスの2021年”
ベルナルデスキは2021年を振り返り、選手としてだけでなく、私生活においても充実した1年を過ごしたと感じている。
「EUROで1つのサイクルを終え、僕の旅は終わった。そして今、新たな旅が始まろうとしている。きっと刺激のある旅になるはずだ。2021年は文句なしに素晴らしい1年だった。ユヴェントスでは2つのタイトルを獲得し、代表ではEUROで優勝することができた」
「それに娘も生まれ、家を購入し、妻と結婚した。文句なんて1つもない。一方で困難の時があったことにも感謝している。2021年はいくつもの困難にも向き合ったから、バランスの1年だったと思う」
最後にユーヴェFWは、ディレッタ氏にファンへのメッセージを託した。「僕は幸運にも、人生において何度も旅をすることができた。だが最高の旅とは、自分自身の人生の旅だということを覚えていて欲しい」と呼びかけた。
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