イタリア史上最高のゴールキーパーと言えば、ディノ・ゾフら様々な名手の名前が挙がるだろう。だが、やはりジャンルイジ・ブッフォンを外すことはできない。
伝説が始まったのは1995年。17歳にしてパルマのトップチームデビューを飾ると、初出場となったミラン戦でビッグセーブを連発。0-0の引き分けに貢献し、イタリア中に衝撃を与えた。翌シーズンからレギュラーを掴むと、ファビオ・カンナヴァーロらと共に鉄壁の守備陣を形成。2年目にして15試合でクリーンシートを達成し、セリエA2位につけたチームで瞬く間に不可欠な存在となった。1998-99シーズンには、UEFAカップ全試合に出場して優勝に貢献。またコッパ・イタリア制覇も経験し、イタリア最高のGKとして名を馳せるようになる。
すると2001年、当時GK史上最高額5230万ユーロ(約56億円:当時)を支払ったユヴェントスに引き抜かれる。その新天地で「16」のクリーンシートを数え、いきなりセリエA制覇を成し遂げた。翌シーズンも連覇に貢献し、チャンピオンズリーグでも決勝に進出。決勝で惜しくも敗れたものの、目覚ましい活躍からGKとして史上初のMVPに選出された。
その後も常にユヴェントスの顔であり続けたブッフォンは、2006年ドイツ・ワールドカップにもイタリア代表として全試合にフル出場。大会を通じて流れの中からは1失点も許さず。さらにW杯史上4番目となる460分間無失点を記録し、母国を優勝に導いた。当然のように、最優秀GK賞も受賞。同年のバロンドール受賞も注目されたが、チームメイトのカンナバーロに譲って2位となった。
“カルチョーポリ”によってセリエB降格を余儀なくされた2006-07シーズンも、残留を宣言。2018-19シーズンに契約満了をもってパリ・サンジェルマン(PSG)へ加入したが、その1年後に「レディの誘いを断れるわけがない」とし、ユヴェントスへ舞い戻る。イタリアの絶対王者でこれまで18年間を過ごし、667試合に出場。9度のスクデット獲得に4度のコッパ・イタリア優勝を成し遂げた。42歳となった今でもチームの顔だ。
イタリア代表最多出場記録(176試合)やユヴェントス最多出場、セリエA最多出場(647試合)、最長無失点(974分)など、キャリアの中で打ち立てた金字塔は数知れず。国際サッカー歴史統計連盟(IFFHS)では「21世紀最高のGK」に選ばれるなど、“生けるレジェンド”として、未だ愛され続けている。
プレースタイル
カンナバーロ氏はデビュー当時のブッフォンを「何か違う狂気のようなものを持っていた」と表現したが、若かりし頃は驚異的な反応を武器に次々とセーブを記録するGKだった。
それから年齢を重ねるごとに円熟し、DFへの的確なコーチングや完璧なポジショニングでゴールを守るスタイルへと変化。今では派手なセーブは少なくなったが、正しいコーチングとポジショニングでその必要がなくなっていると言える。
またデビュー戦や2006年W杯に代表されるように、大舞台では神がかり的なセーブを連発する勝負強さも持ち合わせている。ユヴェントスやイタリア代表でもロッカールームのリーダーとして、常に選手の手本であり続けている。
動画:プレー&ゴール集
エピソード
プレー中も笑顔を絶やさず、相手チームにも敬意を払い、バカンス中には滞在先の子供とプレーに興じるなど、素晴らしい人間性を持ち合わせる。またイタリア代表では国家を全力で歌う姿も。彼が去った後のチームもブッフォンに倣って全力で斉唱している。
順風満帆なキャリアを送ってきたように見えるブッフォンだが、多くの困難を経験。2004年から2005年にかけてうつ病を患っていたことを告白している。「生きる喜びを失っていた。強迫観念に陥り、そこから逃れるように脳へ命令することができなくなっていた。自分でも見分けがつかないほど脆い状態で、ひたすら自問自答していた」と、後に壮絶な戦いを振り返っている。
なお、レアル・マドリーのレジェンドであるイケル・カシージャス氏とは尊敬しあう仲であり、互いにNo.1ゴールキーパーだとたたえ合っている。
プロフィール・経歴
ジャンルイジ・ブッフォン/Gianluigi Buffon
1978年1月28日生まれ 192cm・82kg 利き足:右
シーズン | 所属クラブ | 出場・得点 |
---|---|---|
1995-96 | パルマ | 9試合・0得点 |
1996-97 | パルマ | 27試合・0得点 |
1997-98 | パルマ | 32試合・0得点 |
1998-99 | パルマ | 34試合・0得点 |
1999-2000 | パルマ | 32試合・0得点 |
2000-01 | パルマ | 34試合・0得点 |
2001-02 | ユヴェントス | 34試合・0得点 |
2002-03 | ユヴェントス | 32試合・0得点 |
2003-04 | ユヴェントス | 32試合・0得点 |
2004-05 | ユヴェントス | 37試合・0得点 |
2005-06 | ユヴェントス | 18試合・0得点 |
2006-07 | ユヴェントス | 37試合・0得点 |
2007-08 | ユヴェントス | 34試合・0得点 |
2008-09 | ユヴェントス | 23試合・0得点 |
2009-10 | ユヴェントス | 27試合・0得点 |
2010-11 | ユヴェントス | 16試合・0得点 |
2011-12 | ユヴェントス | 35試合・0得点 |
2012-13 | ユヴェントス | 32試合・0得点 |
2013-14 | ユヴェントス | 33試合・0得点 |
2014-15 | ユヴェントス | 33試合・0得点 |
2015-16 | ユヴェントス | 35試合・0得点 |
2016-17 | ユヴェントス | 30試合・0得点 |
2017-18 | ユヴェントス | 21試合・0得点 |
2018-19 | パリ・サンジェルマン | 17試合・0得点 |
2019-20 | ユヴェントス | 9試合・0得点 |
2020-21 | ユヴェントス | 4試合・0得点 |
※成績は国内リーグ(2021年2月10日現在)
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