セリエAの絶対王者ユヴェントスで、数々の偉業を成し遂げてきたGKジャンルイジ・ブッフォン。そんなレジェンドから背番号1を譲り受けたのが、ポーランド代表守護神ヴォイチェフ・シュチェスニーだ。
シュチェスニーは母国の名門レギア・ワルシャワの下部組織出身であり、2006年にプレミアリーグの強豪アーセナルのユースチームへと引き抜かれる。名将アーセン・ヴェンゲルの目に留まった若者はユースリーグで経験を積んだ後、19歳だった2009年のリーグカップでプロデビューを果たす。
その後同シーズンにリーグ・ワン(英3部)のブレントフォードへ期限付き移籍で加入すると、正GKとして28試合に出場。2010-11シーズンはアーセナルへ復帰し、しばらくは第3GK扱いとなっていたが、負傷者が相次いだことにによって12月のマンチェスター・ユナイテッド戦で初めてプレミアリーグのピッチへ立つ。恩師ヴェンゲルから「正GKを任せられる器がある」と高い評価を受けると、20歳にしてポジションを勝ち取った。
シーズンを追うごとに順調な成長ぶりを見せていたシュチェスニーだったが、2015年1月のサウサンプトン戦(0-2)後に指揮官と衝突。レギュラーを外されると、以降出場機会をほぼ与えられないまま、追われる形で翌シーズンにローマへと2シーズン間期限付き移籍することとなる。
しかし、このイタリア移籍が大きなターニングポイントに。ポテンシャルは高く評価されていながらも、イングランド時代は安定感に欠けていたポーランド代表GKは、“守備の国”イタリアで飛躍的な成長を見せる。2016-17シーズンには優勝争いを演じたチームを最後方から支え、その才能が開花。大きな注目を集めると、2017年夏にユヴェントスへと引き抜かれた。
移籍直後はブッフォンの存在によって出場機会は限定的なものであったが、偉大なGKが去った2018年夏には背番号1を譲り受け、スタメンの座を獲得。昨シーズンはセリエA28試合でピッチに立ち、失点数はわずか「20」。11のクリーンシートを記録し、スクデット獲得に大きく貢献した。
今季ユヴェントスへ復帰したブッフォンも、シュチェスニーの控えを受け入れるなど、その実力はレジェンドも認めるところ。30歳と円熟期を迎えた守護神は、今やイタリア1,2を争う名手へと成長を遂げている。
プレースタイル
196cmと大柄な体格に加え、長い手足を駆使して幅広くゴールマウスを守る。また若いころから鋭い反応やジャンプしてからの驚異的な伸びと、高い身体能力は評価されていた。
イングランド時代は安定感に欠けてポテンシャルのすべてを発揮できていなかったものの、イタリアで多くを学び、落ち着きを手に。尊敬するブッフォンと練習を重ねたことで、今ではもともと得意としていた果敢な飛び出しだけでなく、DFへのコーチングやポジショニングの技術もトップクラスへと成長した。判断力の向上により、イングランド時代と比べてビルドアップの場面でも積極的に絡むことができるようになっている。
動画:プレー集
エピソード
アーセナル退団のきっかけとなったのは、自身のミスも絡んで敗れた2015年1月のサウサンプトン戦(0-2)。試合後のシャワールームで喫煙していたことが発覚し、2万ポンドの罰金が科された。以降出場機会を失っている。
なお、この件に関して本人は「当時は定期的に吸っていた。監督はロッカールームでの喫煙は禁止していたし、僕もわかっていた。でも感情的になってから、誰にも見られないように1本だけ火を付けたんだ」と認めている。そして「すぐに戻れるとも思っていた」と当時を振り返っている。
プロフィール・経歴
ヴォイチェフ・シュチェスニー/Wojciech Szczesny
1990年4月18日生まれ 196cm 利き足:右
シーズン | 所属クラブ | 出場・得点 |
---|---|---|
2009-10 | ブレントフォード | 28試合・0得点 |
2010-11 | アーセナル | 15試合・0得点 |
2011-12 | アーセナル | 38試合・0得点 |
2012-13 | アーセナル | 25試合・0得点 |
2013-14 | アーセナル | 37試合・0得点 |
2014-15 | アーセナル | 17試合・0得点 |
2015-16 | ローマ | 34試合・0得点 |
2016-17 | ローマ | 38試合・0得点 |
2017-18 | ユヴェントス | 17試合・0得点 |
2018-19 | ユヴェントス | 28試合・0得点 |
2019-20 | ユヴェントス | 29試合・0得点 |
2020-21 | ユヴェントス | 16試合・0得点 |
※成績は国内リーグ(2021年2月10日現在)
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。