2019年夏にアヤックスから7500万ユーロ(約107億円)に上る移籍金でマウリツィオ・サッリ指揮下のユヴェントスに加入したデ・リフト。今夏、トリノでの3年目を終えた22歳の若きセンターバックに対するオファーは絶えることがなく、ここ数日にわたって移籍話が飛び交い続ける。
そんな中、ユヴェントスはどのような判断を下すのだろうか? アンドレア・アニェッリ会長率いるユヴェントスは、クラブのバンディエラであった37歳のDFジョルジョ・キエッリーニに別れを告げたばかり。これから新たなプロジェクトを立ち上げるにあたり、デ・リフトはその構想の中心となる選手であるはずだ。
わずか22歳ながらもピッチ内外でチームメートを鼓舞して守備陣のリーダーとなり、世界的にも注目を浴びるデ・リフト。だがユヴェントスには、「チームが最優先であり、不満のある選手はどんな選手であっても立ち去って構わない」という考えも存在する。だがオランダ人CBの退団により、ユヴェントスが負うことになるリスクはないのだろうか?
デ・リフト退団なら代役は?
今夏、主将を務めたジョルジョ・キエッリーニが米国のMLSへと旅立った。ユヴェントスの古参で残ったメンバーは、デ・リフトとCBのコンビを組む35歳DFレオナルド・ボヌッチただ1人となる。デ・リフトがチームを退団した場合、誰がボヌッチの脇で代役を務めることになるのだろうか。
GETTY
世代交代を進めるユヴェントスは冬の移籍市場において、フロジノーネから24歳のCBフェデリコ・ガッティを獲得している。24歳DFはシーズン終了まで元の所属先でのプレーを続けていたが、今夏のプレシーズンにマッシミリアーノ・アッレグリ率いるチームに合流。そのままチームに残留するのか、それとも再びレンタルに出されるのか、今後判断が下されることになる。
ロベルト・マンチーニ指揮下のイタリア代表においてデビューを飾ったばかりのガッティ。デ・リフトの代役となる可能性も十分に秘めており、半年前に選手を獲得したユヴェントスにとっても、サプライズとなるかもしれない。
険しいクリバリ獲得への道
近年、ヨーロッパの多くのビッグクラブが補強ターゲットとしてきたナポリのDFカリドゥ・クリバリ。セネガル代表DFはようやく今夏、舞い込んだ複数のオファーに目を通し、ナポリの街を離れる用意もあるように見える。
アフリカネーションズ・カップを制したセネガル代表DFは、セリエAでの豊富なプレー経験に加えて、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)においても数多くの試合をこなしてきたトッププレーヤー。ナポリのリーダーでもある彼は、理想的なデ・リフトの代役であるように映る。Getty
もしデ・リフトが移籍した場合、ユヴェントスはクリバリおよびナポリに対して重要なオファーを提示することが予想される。だが、セネガル代表DFは8年間を過ごしたナポリに残留し、ナポリファンを“裏切らない”ことを望んでいるはずだ。
移籍金ゼロ補強のチャンス
では、セリエAのもう1人のリーダーに目を向けてみよう。ステファノ・ピオリ率いるミランの主将として、優勝カップを空に掲げたDFアレッシオ・ロマニョーリだ。ケガの影響に加えてパフォーマンスにも波があり、今シーズン限りで満了を迎える契約の延長へ有利に働くことはなかった。
さらには、ライバルのDFフィカヨ・トモリやDFピエール・カルルが結果を出したことで、ミランにおけるロマニョーリの居場所はほぼなくなってしまったと言える。過去にもユヴェントスの補強候補として名前が挙がったことのあるロマニョーリ。実際に交渉まで発展することはなかったが、もし今回、移籍が実現すれば、2017-18シーズンにミランで共にプレーしたボヌッチと再会することになる。
ロマニョーリは1995年生まれの27歳。他のDFと比較すると、要求する年俸はそれほど高くなく、現時点でフラムとラツィオが獲得に関心を示している。ロマニョーリの獲得はユヴェントスにとって賭けとなるが、選手にとっては、まさに再起を図るためのビッグチャンスとなるだろう。Getty
ユヴェントスがデ・リフトの放出を考えるワケ
ユヴェントスがオランダ代表DFの放出を検討するする主な要因は、財政面での負担にある。現在のトップチームにおいて、デ・リフトの年俸は最高給の手取り800万ユーロ(約11億円)。これにボーナスが加われば、報酬金額は倍に膨らむ。
22歳のオランダ代表は、移籍市場において引く手あまたで、ユヴェントスは移籍金7000万ユーロ(約100億円)前後と高額な条件を買い手に求めることが可能となる。だがもし2024年に期限を迎える契約の延長に漕ぎつけることができなければ、来夏には契約期間が残り1年を切り、有利な条件を引き出すことがより難しくなる。このため高額で売却できるうちに決断を下す必要が生じる。
ユヴェントスがデ・リフトを慰留すべきワケ
デ・リフトは、その年齢や強力なフィジカル、市場価値から世界最強DFの1人とされている。ユヴェントスは昨夏にFWクリスティアーノ・ロナウドを放出してから、財政的に持続可能な新たなサイクルを目指してきた。若手を主体としたチームで結果を出し、その若手選手たちが将来的にクラブの収益をもたらすようにならなければならない。
オランダ代表DFは、そんなユヴェントスの新たなサイクルの価値観を完璧に体現する存在であるはずだ。ビッグクラブの守備陣を統率できる1999年生まれの選手を新たに発掘することは困難であり、ほぼ不可能と言える。
いまデ・リフトのような人材を失うことは、若手や有望株がメルカートに対する関心を失うことも意味するはずだ。また同時にユーヴェにとって、キエッリーニが去った守備陣においてもう1人の支柱を失うことを意味するだろう。
文・カルロ・カリッロ
ユヴェントスにおけるデ・リフトの成績
セリエA | ||||||
シーズン | 出場数 | 得点 | アシスト | 警告 | 退場 | |
2021/22 | 31 | 3 | 1 | 3 | 1 | |
2020/21 | 27 | 1 | 1 | 4 | 0 | |
2019/20 | 29 | 4 | 0 | 5 | 0 | |
チャンピオンズリーグ(UCL) | ||||||
2021/22 | 7 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
2020/21 | 5 | 0 | 0 | 2 | 0 | |
2019/20 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 |
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