FIFAワールドカップ(W杯)カタール2022開催によるリーグ中断期間を経て、セリエAが日本時間4日のサレルニターナ対ミランおよびサッスオーロ対サンプドリアを皮切りに再スタートする。そんな中、『ダゾーン・イタリア』の解説陣のボルハ・バレロ氏およびルカ・マレッリ氏がポッドキャスト番組「Croquetas」に出演して持論を展開した。
VARがカルチョに与えた恩恵
まず、セリエA元審判員で弁護士のマレッリ氏は、カルチョにおけるVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の導入は成功だったと主張している。
「カルチョは良い意味で大きく変化した。メディアの観点からも良い変化があったと言える。かつては、月曜日に行われる議論の的がオフサイドに関するエピソードばかりだった。だがオフサイドを巡る議論はもはや本質的に存在しない」
「2018年以降、オフサイドポジションかどうかの論争は、特殊なケースを除いてなくなった。そしてまもなく半自動オフサイドテクノロジー(SAOT)も導入されてさらにスピードアップするだろう。だがエリア内のエピソードについては、見た者によって解釈が異なり、運まかせの要素が残る。接触の強度はかなり主観的なものであるためだ」
続いて元インテルMFのバレロ氏もVARについて持論を展開。恩恵を認める一方で、PK判定に関して苦言を呈した。
「もちろんVARのおかげでカルチョがかなり良くなったように感じる。特にオフサイド判定は、数多くの試合の行方を左右してきたが、現在はその問題も存在しない。本当に有益なものだったと言えるだろう。だが、かつてはカルチョにおけるロマンティックな要素でもあったPK判定が現在は悪夢になった」
「PKになるようなエピソードは、明らかなケースだけにするべきだが、VARが導入されてからは、どんなファウルでも笛が吹かれるようになってしまった。VARは、この点に関して改善の余地はかなりあるだろう」
すると元審判員のマレッリ氏もこれに賛同。「私も賛成だ。リゴリーノ(小さなPKの意味で甘めのPK判定のこと)は客観的に見てひどいものだ。近年、PKが多すぎた。今シーズンは、改善の取り組みが行われており、PKの数は明らかに減っている。今シーズン終了まで、その傾向が続くよう願っている」と語った。
(C)Getty images
長すぎるATのセリエAへの導入は?
カタールW杯では、長すぎるアディショナルタイム(AT)が話題となった。再開後のセリエAにおいても、長すぎるATを目にするようになるのだろうか。マレッリ氏が見解を示した。
「W杯で見られたようなことは、セリエAでは起こらないだろう。昨夏、ATについて一定の基準を決めてリーグ戦をスタートしたわけで、当然ながらシーズン途中の第16節から変えることはできない。リーグ戦がまったくの別物になってしまう」
「とはいえ、実際のところ別のルールが導入されたというわけでもない。ただ、まったく異なる解釈が採用されたということだ。W杯において、ルールが変化したわけではない。単純にルールを文字通りに適用し、あらゆるタイムロスを考慮してATを取るようにしたということだ。もしかしたら、セリエAは来シーズンから何らかの変化がみられるかもしれない」
「2月のIFAB(国際サッカー評議会)の動向に注目すべきだろう。なぜなら最近、(国際サッカー連盟 (FIFA) 審判委員会会長ピエルルイジ)コッリーナがATに関して発言をしている。コッリーナがやみくもに発言することは絶対にない。その彼がかなり踏み込んだ形で発言したということは、IFABは何らかの方向性を見出して検討を行っているということだろう」
しかしマレッリ氏は、個人的な見解として、45分間の前半・後半はこれまで通りの運用とし、ATに関して実質プレー時間を導入するべきだと考えていることを明かした。
「ただ、私は45分間のカルチョが好きだ。ロマンティックな観点からだけでなく、実践的な観点からも45分間が気に入っている。実質プレー時間はATに関して適用されるべきだ。そもそもATは失われた時間を取り戻すためのものであり、実質時間であるべきだ」
「だがこれまで、実際のATはかなり短かったように思う。どんなチームも勝っていれば、時間稼ぎをしようとするからね。私はATが3分間であるならば、正確に3分間のプレー時間が確保されるよう望んでいる」
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