かつてインテルやウディネーゼの指揮官を務めたほか、ギリシャやチェコ、イランやカタールなど世界各国でも指導した経験を持つアンドレア・ストラマッチョーニ氏。昨シーズンは『ダゾーン・イタリア』でコメンテーターも務めたローマ出身の指揮官が、フィールドプロデューサーのフランチェスコ・フォンターナ記者のインタビューに応じてくれた。
シモーネ・インザーギが率いる古巣のインテルやライバルクラブのミラン、王者ナポリなどについて見解を示した。
インテルの新戦力とブロゾヴィッチの退団
――ストラマッチョーニ、近年のインテルの中盤で不可欠だったMFマルセロ・ブロゾヴィッチの退団は、過小評価されているのではないだろうか?
私にとって、マルセロについて語るのは簡単なことだ。私がインテルにいた時、マテオ・コヴァチッチを獲得したが、当時、彼はディナモ・ザグレブでブロゾヴィッチの同僚だった。我々は、2人とも動向を追っていて、マルセロもロベルト・マンチーニ指揮下で遅れてインテルに加わった。
彼は、技術およびリーダーシップの点で唯一無二の選手だ。昨シーズン終盤における彼の貢献は重要なものだったと言えるだろう。だが、インザーギは今後も、レジスタとしてのハカン・チャルハノールに頼ることができる。
それからアル・ナスルへの売却という決断についてだが、おそらく彼は、インテルにおける自身のサイクルが終わったように考えていたのかもしれない。彼は過去に、ヨーロッパの由緒あるチームから重要なオファーを受け取ったこともあるが、常にインテルに残留することを選択していたからね。
彼にとって変化があったことは明らかだ。嘆くことなどない。ブロゾヴィッチも、サウジアラビアのクラブも、そして数百万ユーロを手にしたインテルも、みんなが満足できる移籍だった。
(C)Getty Images
――サッスオーロから加入したMFダヴィデ・フラッテージは、インテルにふさわしい選手と言えるだろうか?
ローマの下部組織で育った彼のことはよく知っている(ストラマッチョーニ氏は2005年から2011年にかけてローマの下部組織の監督を務めた)。私にとっての“カルチョの父”であるブルーノ・コンティがまたしても成功を収めたと言ってよいだろう。ダヴィデのキャリアは、現在のローマ主将ロレンツォ・ペッレグリーニと比較できるかもしれない。
ダヴィデは(ペッレグリーニのように)“家”へ帰らなかったが、世界でトップクラスのクラブに移籍した。インテルにとっては、頭角を現しつつある最強のイタリア人MFを獲得できたわけで、彼とニコロ・バレッラがいるインテルの中盤は、長年にわたって将来が保証されたと言える。
Getty Images
――リリアン・テュラム氏の息子である新戦力のFWマルクス・テュラムは、すぐさま決定力を示すことができるだろうか?
特徴が異なるエディン・ジェコと比較するべきではないだろう。テュラムはまだ、決定的なクオリティの飛躍を遂げておらず、大きな成長の余地を残しているFWだ。そう、これからイタリアで飛躍できるはずだ。
ミランのトナーリ売却とマルディーニのTD退任
――ミランは、クラブに忠誠心を示してきたMFサンドロ・トナーリをニューカッスルへ売却したが、意見を聞かせて欲しい。
現在、イタリアのカルチョは経済的な面でイングランドと競うことはできない。ミランにとって無比のあのようなオファーが届けば、決断は選手次第だ。個人的に彼のことを知らないが、おそらく彼の決断だったのだろう。
ニューカッスルの指揮官エディ・ハウは、トナーリを補強リストの最上位に位置付けたのだろうが、あれほどのオーナーだから、これほど重要なオファーをミランに提示することに何ら問題はなかったのだろう。ミランは後悔してはならない。だが、これから補強が求められることになる。
(C)Getty images
――ミランにおけるパオロ・マルディーニ氏のTD(テクニカルディレクター)退任は、技術面に限らず、大きな影響を残すのではないだろうか?
ディレクターとしてのマルディーニのことは、非常に気に入っていた。難しい局面において、常に正しい姿勢で向き合い、チームのマネージメントをしていた。メルカートにおいては、フレデリック・マッサーラと協力しつつ、任務をこなす能力があることを示していた。
それに“ロマンティック”な部分も付け加えたい。どうしたら、マルディーニやハビエル・サネッティ、アレッサンドロ・デル・ピエロやフランチェスコ・トッティのようなレジェンドを望まないなんてことができるのだろうか。本当に残念だが、カルチョとはこういうものでもある。パオロと米国のオーナーとの間で意見が合わなかったことは明らかだろう。こうした場合、別れは避けられない。
スパレッティがナポリを離れた背景と新監督ガルシアへの期待
――では、33年ぶり3度目の悲願のスクデットを獲得した王者ナポリに関して、なぜルチアーノ・スパレッティはチームを離れたのだろうか?
Getty
おそらく昨シーズンの後半、オーナーとの間で何かが壊れたのだろう。双方が修復を図ったが、時がすでに遅すぎたのかもしれない。私はルチアーノと固い絆で結ばれている。人として、監督として、彼のことが好きだ。
ルチアーノは、ナポリにおいて、過去に蒔いた種が花開いた。例えば、ローマやインテルにおいて、優勝することはできなかったが、(確執が囁かれた)トッティやマウロ・イカルディとのあのような非常に扱いが難しい状況もコントロールしなければならない中で、優勝へあと少しのところまでたどり着き、良い成績を残していた。
ルチアーノが最も優秀な監督の1人ではないなんて考えられない。スクデットが彼の実力を100%証明することとなった。
――スパレッティの後任として、フランス人指揮官のリュディ・ガルシアがやって来たが、ナポリは最高のシーズンを終えた直後とあり、厳しい挑戦となるかもしれない。
スパレッティと同じようなナポリになることはない。ただ、ガルシアという選択には驚いた。同じ方向へ進むことに固執すると苦労するということは、歴史が教えてくれている。それだけに、昨シーズンと比較して、何らかの真新しさや違いがみられることを期待している。
いずれにしても、4-3-3のシステムをよく知る指揮官であり、最強の戦力があるとは言えないリールにおいて、リーグ・アン優勝経験がある。また、ローマでも好成績を残していて、セリエAのことも知っている。だからアウレリオ・デ・ラウレンティス会長は、彼を選んだのだろう。
関連記事
● 【インタビュー】守備の名手ネスタ氏が持論「私は横浜でもゴールを決めた。誰だってFWをやりたい。DFはさせられるもの」トレゼゲ氏とミランやユーヴェの将来も語る | セリエA
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。