FIFAワールドカップ(W杯)カタール2022のE組において、コスタリカに敗れたものの、W杯優勝国である強豪のドイツおよびスペインを撃破し、“死の組”を1位突破した日本。森保一監督率いるチームが起こした2度の奇跡に世界中から注目が集まる中、イタリア紙『Repubblica』が2日、決勝トーナメント1回戦へ向けて特集記事を組んで分析を行った。
現地時間2日、グループステージのすべての日程が終了。「毎日のようにサプライズのチームが現れ、全9ポイントを獲得したチームはどこもなく、6大陸すべての国から」少なくとも1チームがベスト16へと勝ち残る、これまでにないほどに拮抗した戦いとなった。
「日本やモロッコがグループを首位通過した」一方、「ドイツは2大会連続で姿を消し、ウルグアイやベルギーなどの伝統国も」敗退した。そんなカタールW杯について、イタリア紙は「美しいというより、面白いW杯だが、その道筋では確実に変革の風が吹いている。これから嵐を迎えるかどうかは、ラウンド16が語ることになるだろう」との見通しを示した。
固い守備と戦略を武器とする日本代表
続いてイタリア紙は、日本時間6日00:00にクロアチア(F組2位)と対戦する日本代表に注目。「驚くべき日本は1試合につき1失点の適切な守備組織と、革新的な戦略を誇るチームだ」と紹介した。特に日本代表指揮官による戦略的な要素を重視し、「モリヤス監督は後半、相手を突破できるような決定的な選手たちを投入し、決定機を作り出している」と指摘。試合途中からピッチに送り込んだ堂安律や浅野拓磨、三笘薫らが決定的な役割を果たしてきたことを強調した。
さらに前半の0-1の劣勢から盛り返したドイツとの初戦(日本が2-1で勝利)に注目。「ドイツ戦の勝利は、途中出場したドウアンやアサノ、それにデウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)のミトマが演じた激烈の8分間に勝ち取ったものだ」と振り返ったほか、同様の展開から逆転勝利を収めた最終節のスペイン戦にも見解を示した。
「スペイン戦での逆転劇も熱狂の3分間であり、またしても途中出場したドウアンのおかげと言える」と48分に同点弾をマークした堂安を称えたほか、その3分後に田中碧が押し込んだ決勝弾は「途中出場したミトマが奇跡的に拾い、アシストしたものだった」と振り返った。
森保ジャパンの戦略はクロアチアに通用するのか?
その上で、2018年W杯の準優勝国であり、バロンドール受賞者のルカ・モドリッチを擁するクロアチアとの対決の行方を分析した。イタリア紙は、前半戦を耐え忍び、後半戦からの巻き返しを狙う日本の戦略について、「狡猾なクロアチアに対して繰り返されるのだろうか? (マルセロ)ブロゾヴィッチが統率し、モドリッチがアイディアを生み、(マテオ)コヴァチッチが支える豪華中盤を相手に?」と疑問を掲げている。
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ただ、クロアチアの弱点として「モロッコやベルギーを相手にスコアレスドローで終えており、ふさわしいストライカーがいないことは明らか」であることを指摘。一方、「守備陣は、新星の(ヨシュコ)グヴァルディオルを中心に回っている」とし、「不意を突かれたのは(カナダのアルフォンソ)デイヴィスにだけ」という比較的安定した守備にも言及した。
特集では、最後に「日本の革新」と「クロアチアの安定性」の戦いになることを予想。勝負の行方は、49対51でややクロアチアに分があるとの見解を示している。