日本代表が史上初のベスト8まであと一歩のところまで迫ったカタールW杯。グループリーグでは、ドイツ、スペインという強豪国を倒してグループEを首位通過。しかし決勝トーナメント初戦のラウンド16・クロアチア戦で、日本が今大会初めて先制点しながらも、後半に追いつかれ、PK戦(1-3)の末にまたしてもベスト16で敗退となった。
今回は、クロアチア戦をレビューし、カタールW杯での日本の戦いぶりを徹底討論しながら振り返った。
クロアチア戦の前半を「入りも悪くなく、ボールを保持される中でも何度かカウンターに繋げてチャンスを作っていた」と振り返った林陵平氏。一方で日本を徹底的に研究してきたクロアチアの戦いぶりについても触れ、「ボールを保持しながらも、スペインとは違って縦にボールを入れてきた。日本はあれが嫌だった。前線に入れた後のセカンドボールを拾われたり、背後を狙われたりしたところからピンチになるシーンが多かった」と相手の試合巧者ぶりを讃えた。
その中でも前半43分、日本がセットプレーから前田大然のゴールで先制に成功。このゴールを「神様は見ているんですよ。一所懸命走っていたのを」と感慨深い様子で振り返った水沼貴史氏は、ゴール後の前田に着目。「(得点後に)多分、『うわー』っていっぱい走りたかったけど、(近くにいた味方に)抱きついちゃったんですよ」と推測すると、2017年に水戸ホーリーホックで前田とチームメイトだった林氏が「あいつ、結構抱きつくタイプなんですよ(笑)」と知られざる一面も明かした。
日本が初めてリードした状況で迎えた後半、日本代表を率いる森保一監督の采配については、水沼氏、林氏ともに「かなり悩んだと思う」と推測。続けて林氏は、「結果論になりますが…」と前置きした上で、「個人的には三笘選手を後半最初から出したかった」と自らの考えを明かした。
また体調不良でベンチ外となった久保建英を起用できなかったことについては、林氏が「交代カードとしてシャドーで使えなかったのは痛かった」と語ると、水沼氏も「それは同じだな」と意見が一致。続けて林氏が、「久保選手が堂安選手がいた右のシャドーに(交代で)入れば、ライン間で受けられたり、もう少し攻撃の工夫が出てきたと思う」と分析している。
日本が圧倒的に支配されたドイツやスペインと比べ、クロアチア戦では”42%”のボール保持率を記録。水沼氏は、「日本がボールを持った時にコンビネーションで崩せる形が今はないというのを少し感じた」と言及すると、林氏も「非保持の[5-4-1]のブロックといった守備の部分はだいぶ計算できるようになってきた。ただ自分達がボールを保持した状況で、どうビルドアップして、どう崩しの局面で共有していくかがまだまだ足りない」と同じ課題を指摘した。
その上でベスト16に終わった日本の戦いぶりを、「ラスト3分の1を一人でいける個があるという感覚もある。ただそこを止められた時にプラス1~2(枚のサポートが)が必要。日本のサッカーが先にいくためには必要だと個人的にはすごく思っている」と語ると、林氏も、「今回は攻撃2、守備8の割合で、[5-4-1]のブロックが完全にハマった。だけどコスタリカやクロアチアのようにボールを持たされた時に何ができるか。そこがまだはっきりとしていなかった。今後の日本代表にとって重要だと思う」と今後への成長を期待し、今大会を総括している。
その他にも、カタールW杯準々決勝のカードを紹介し、各カードの見どころも紹介している。