決勝トーナメント1回戦でクロアチアに敗れて、カタール・ワールドカップ(W杯)を後にすることになった日本だが、世界に大きなインパクトを与えたようだ。スペインの最大紙『マルカ』の電子版は、「森保一の日本は驚異の存在として、ピッチ内外で愛情を勝ち取った」と題した特集記事を掲載している。
『マルカ』曰く、カタールW 杯の日本は「フットボールファンの記憶に刻まれる」ことを成し遂げたという。その理由には3つの事柄が挙げられているが、最初にあるのはやはりピッチ上で収めた結果だった。同メディアはまず、スペイン、ドイツを下すという“ジャイアントキリング”を成し遂げた日本のプレーぶりについて描写している。
「日本人たちはスペインとドイツを上回り、グループEの首位チームとしてベスト16に進出。なおかつ、その両チームを逆転勝利で打ち破っての偉業である。加えて彼らはルカ・モドリッチを擁する前大会準優勝チームのクロアチアも追い詰め、試合をPK戦まで持ち込ませている」
「“サムライ・ブルー”が植え付けたフットボールの記憶は、これからも残り続けていくものだ。堂安律(今大会2ゴールを記録)、伊東純也、前田大然、権田修一とそのチームメートたちは、ピッチ上の好パフォーマンスによってライバルたちとそのファンの敬意を勝ち取った」
日本のインパクトはピッチ内だけに収まらない。『マルカ』は代表チームがドレッシングルーム、サポーターが観客席を自分たちで清掃していたことにも言及した。
「日本のサポーターは、スタンドで応援だけしていたわけではない。彼らは世界に向けてマナーの教えを説いたのである。日本のサポーターは、道ですれ違う他国のサポーターと衝突することがなかったばかりか、友愛の心とスポーツマンシップでつながり、さらには訪れたすべてのスタジアムのスタンドでゴミ拾いをしていたのだった」
「選手たちも同様にスポーツマンシップを示していた。彼らは試合後、使用したドレッシングルームのすべてを片付け、清掃員に対して感謝のメッセージとともに、日本の伝統的象徴である鶴のオリガミを置いていったのである」
そして『マルカ』が最後に言及したのは、森保一監督の存在だった。PK戦でクロアチアに敗れた直後、同指揮官はサポーターに向けて深々とお辞儀をしたが、この日本の伝統的な所作は強烈な印象を残すものだったようだ。
「日本のピッチ内外での素晴らしさは森保一という存在が象徴してる。彼がサポーターのスタンドに近づき、お辞儀でもって応援に感謝した姿は今大会のハイライトの一つだ。森保は上半身を45度前傾させる、“最敬礼”として知られるお辞儀をした。これは謝罪と感謝を示すための伝統的な所作で、監督のほか選手たちもPK戦終了直後に一斉に同じ振る舞いを見せている」
「森保はさらに、クロアチア戦の厳しい敗退の後に彼の選手を一人ひとりを励ましていった。ドレッシングルームに続くトンネルで、彼が選手の一人を抱きしめている姿は感動的だった」
この記事は「以上のことによって、日本と“サムライのフットボール”は、カタール・ワールドカップにおける驚愕のチームとしていつまでも記憶に残るのである」との言葉で締められている。日本は確かに、カタールW杯で足跡を残したようだ。