若くして才覚を示す
2000年、神奈川県相模原市に育った角田裕毅は父親の影響で幼少期よりカートレースに親しみ、キッズカート、ジュニアカート競技で腕を磨いた。なお、このときには後にF2でともに戦い、アルファタウリのF1マシンでテスト走行をすることになる1歳年上の佐藤万璃音とも交流があったという。
角田は国内のカートレースで実績を残し、16歳になった2016年には四輪レース出場に必須となる限定A級ライセンスを取得した。一方で同年にはSRS-F(鈴鹿サーキットレーシングスクール)を卒業し、フォーミュラのスーパーFJでも目覚ましい活躍を見せた。
FIA-F4選手権、フォーミュラ4を経て、2018年ホンダの選手育成システムのHFDP(ホンダ・フォーミュラ・ドリーム・プロジェクト)の育成メンバーに選出された。このシーズン、2年目となるFIA-F4では年間7勝をマークしてチャンピオンに輝いている。
同時期、ホンダはF1でタッグを組むレッドブルと提携。角田はホンダの推薦もあり、ハンガロリンクで行われたF3の合同テストへと参加。ここで目に見える速さを披露したことから、レッドブルのレース部門責任者であるヘルムート・マルコ氏から高い評価を得た。この後、レッドブル・ジュニアチームにも籍を置くことが決まった。
2019年からヨーロッパで転戦
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2019シーズンはFIAのF3にイェンツァー・モータースポーツから参戦。ヨーロッパを転戦した初のF3シーズンはモンツァで1勝をマークし、年間9位となった。同シーズンの終盤戦では3度表彰台に上がるなど、目に見えた成長を示したことから、翌2020シーズンはF2へとステップアップすることに。
また、F3と並行してユーロフォーミュラ・オープン選手権にも挑戦し、こちらは総合4位。幼馴染である佐藤万璃音がこのコンペティションでは総合優勝を果たしている。
2020シーズンはF2で躍進
そしてF2初挑戦となった2020シーズンはカーリンより参戦。シーズン序盤から、卓越した速さとともに若さに似合わぬ落ち着いたレースぶりを見せた。第5戦シルバーストンのレース2では終盤にトップ浮上、そのままトップチェッカーを受けた。初のF2優勝を果たしている。
第7戦スパのレース1ではニキータ・マゼピンと激しいトップ争いを展開するも、マゼピンがコースを絞って角田がコース外に弾かれるという状況に。マゼピンには5秒ペナルティが科され、角田の優勝が決まった。なお、タイムペナルティにより2位となったマゼピンはレース終了後、順位ボードを弾き飛ばし、優勝を喜ぶ角田にあわや激突も、という一幕があった。
そして9月のソチ・ラウンド終了時点で、角田にはアルファタウリからF1デビューの打診があり、水面下ではすでにF1昇格へ動き出していたという。角田はF1走行の必須条件となるスーパーライセンス取得に向け、F2でのシーズン5位以上フィニッシュが必須となった。
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10月14日にはアルファタウリのファクトリーであるイタリア・ファエンツァで角田はシート合わせを行い、11月4日には2018年式のトロロッソマシンを駆り、イモラ・サーキットで352kmの走行実績を積んだ。
そして迎えた第11戦バーレーン1では予選の終盤にスピンを喫し、まさかの最後尾スタートに。だが角田はレース1で最後尾から次々にオーバーテイクを敢行し、フィーチャーレースで6位フィニッシュを果たす。
翌日のレース2では序盤で接触したためタイヤ交換を余儀なくされ、そこからは角田は上位争いに加わることができず。結果的にノーポイントの15位フィニッシュとなった。
このレースでは年間順位を争うライバルのロバート・シュワルツマン、ニキータ・マゼピンがワン・ツーでゴールしたため、角田は年間順位を5位に落としてしまう。当時6位のクリスチャン・ルンガーもポイント差で迫っており、再び角田はピンチに陥る状況となった。
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窮地の角田は最終ラウンドの第12戦バーレーン2で、卓越した勝負度胸を示した。レース1予選ではポールポジションを獲得し、これで4ポイントを加算してランキング4位に浮上。フィーチャーレースでは序盤で一度マゼピンにトップを譲るものの、角田はそこからタイヤを温存しつつ、冷静にチャンスを窺う。
そしてラスト5周、マゼピンをホームストレートで抜いてトップに躍り出ると、そのまま後続を突き放してリーダーとしてフィニッシュを果たす。これで角田はスプリントレース1戦を残し、年間5位以上が確定。スーパーライセンス取得条件をほぼクリアとした。
翌日のスプリントレースでも角田は冷静なレース運びを見せて上位を狙い、最終ラップの最終コーナーで2位に浮上し、表彰台に立った。このレースではファステストラップのポイントも角田に加算となり、シーズン200ポイントに到達。2位のカラム・アイロットとは1ポイント差の年間3位となり、角田はスーパーライセンス取得条件にストレートイン成功となった。
7年ぶりの日本人F1ドライバーに
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2020年12月16日、アルファタウリF1チームは2021年のシートに角田裕毅が収まることを正式発表した。
ケータハムのレギュラードライバーとして2014シーズンに戦った小林可夢偉以来、7年ぶりの日本人F1ドライバー誕生。また、2000年以降に生まれたレーサーとして、史上初のF1ドライバーとなった。
開幕から存在感を示すも苦難続きの1年目
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2021シーズン開幕前のテストでは、マックス・フェルスタッペンから僅差の2番手タイムを叩き出し、F1デビュー前から大きな期待を集めた角田裕毅。
開幕戦バーレーンGPでは順調なレースペースを示しながらキミ・ライコネン、セバスチャン・ベッテル、フェルナンド・アロンソと歴代の元王者を次々に脱いていき、9位フィニッシュを果たした。ルーキー初戦がいきなり入賞でポイント獲得という申し分ないデビュー戦となった。
だが第2戦エミリア・ロマーニャGPでは公式セッション中のクラッシュでマシンを壊し、第4戦スペインGPでは予選Q2に進めずフラストレーションを溜めるような場面が散見された。結果が伴わずに苦しむレースもあったが、アゼルバイジャンGPでは7位。イギリスGPでは10位、ハンガリーGPでは6位と、混乱混じりのレースでは要所でポイントを手にしていった。
中盤戦に入るとシャシーの交換、先輩アレクサンダー・アルボンがアドバイザー役を務めるなど、徐々に巻き返しの要素を積み重ねていき、2021年9月には2022年もガスリーとともにアルファタウリのレギュラードライバーを務めることが発表された。本人は後にこの時の発表を「少し驚いた」とも語っている。
シーズン終盤戦に入ると予選では高確率でQ3まで進めるようになり、最終戦アブダビGPではガスリーを上回る周回ペースを各セッションでマークし、予選では22レース目にして初のガスリー超えをマーク。
決勝では大きなミスもなく順調に順位を上げていき、セーフティーカー明けのファイナルラップではバルテリ・ボッタスを抜いて4番手に浮上。そのままキャリア最高位となる4位でホンダF1活動ラストレースを締めくくった。
2年目は成長を見せるもAT03の競争力不足が明確化
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2022年、2年目の角田はデビューイヤーからの明確な進歩を見せる。僚友ガスリーとの差は大きく埋まり、第4戦エミリア・ロマーニャGPで7位入賞後は、ガスリーよりもポイント数では上の状態が続いた。
第8戦アゼルバイジャンGPで角田は入賞を狙える位置で戦いながら不運なトラブルでレースを終えることになり、ここから角田にとって流れが良くない方向に。
第18戦アメリカGPまで入賞から遠ざかり、中にはカナダGPではピットアウト後にミスでクラッシュし、イギリスGPではガスリーとの同士討ちを誘発するなど、不用意な形でレースを終える場面も。
アルファタウリのAT03はライバル勢に比べて開発が進まず、後半戦に入るとともに明確に劣勢となるレースも多かった。角田は2年目、4度の入賞で12ポイントを稼ぎ、総合17位という結果だった。それでも初年度は対ガスリーで32-110という大きなポイント差だったが、2年目は12-23となっている。
また、予選の当該成績においても2021年は1-21だったが、2022年は9-12と、一発の速さでもガスリーを上回る頻度が一気に増えた。
3年目の2023年はAT04の力不足が明確に…終盤戦に盛り返す
Red Bull Content Pool
2023年のAT04は開幕前のテスト時から、前年以上に劣勢となることが有力視される。
開幕を迎えると、アルファタウリは下位争いを余儀なくされたものの、角田は開幕から11位、11位、10位、10位、11位と入賞の当落線上で戦い続ける。
だがライバルチームに比べても伸び悩み、角田は一時期ドライバーズランキング17位の位置まで下がってしまった。それでもシンガポールGP、アメリカGPで大型アップグレードを入れていったこともあり、アルファタウリは終盤に近づくにつれ、中団勢でもしっかり戦えるチームになっていく。
角田はアメリカGPでは8位入賞を果たし、ファイナルラップでは1ポイント奪取を狙ってしっかりミス無しで最速ラップを刻み、初のFLによる1点を手にした。
サンパウロGPではスプリントレースの終盤でルイス・ハミルトンをオーバーテイクし、6位フィニッシュを果たして3ポイントをゲットした。2021年から始まったスプリントフォーマットだが、これはアルファタウリとしても初のポイント奪取になっている。
2023年、17ポイントを手にした角田は総合14位という結果に終わった。
そして同年限りでアルファタウリというチーム名は終了し、2024年からはビザ・キャッシュアップRBという新チームになった。
僚友は前年のハンガリーGPから復帰となったダニエル・リカルド。角田はデビュー以来、14位、17位、14位という総合成績になっている。新チームとなった2024年はVCARB 01を駆り、上位勢と渡り合いたいところだ。F1での4年目はチームをけん引しながらも、しっかり結果を示すことも重要となる。
プロフィール
角田裕毅
Red Bull Content Pool
2000年5月11日生まれ|日本国籍|アルファタウリ/VCARB(2021~)
通算成績(2024年終了時点)
- 出走/90回
- 優勝/0回
- PP/0回
- FL/1回
年 | チーム名 | 勝利数 | 年間成績 |
---|---|---|---|
2021年 | アルファタウリ | 0勝 | 14位 |
2022年 | アルファタウリ | 0勝 | 17位 |
2023年 | アルファタウリ | 0勝 | 14位 |
2024年 | VCARB | 0勝 | 12位 |
2024年の成績
- 年間:30ポイント/12位
- 優勝/0回
- PP/0回
- FL/0回
レース名 | 決勝順位 |
---|---|
第1戦バーレーンGP | 位 |
第2戦サウジアラビアGP | 位 |
第3戦オーストラリアGP | 位 |
第4戦日本GP | 位 |
第5戦中国GP | 位 |
第6戦マイアミGP | 位 |
第7戦エミリア・ロマーニャGP | 位 |
第8戦モナコGP | 位 |
第9戦カナダGP | 位 |
第10戦スペインGP | 位 |
第11戦オーストリアGP | 位 |
第12戦イギリスGP | 位 |
第13戦ハンガリーGP | 位 |
第14戦ベルギーGP | 位 |
第15戦オランダGP | 位 |
第16戦イタリアGP | 位 |
第17戦アゼルバイジャンGP | 位 |
第18戦シンガポールGP | 位 |
第19戦アメリカGP | 位 |
第20戦メキシコGP | 位 |
第21戦サンパウロGP | 位 |
第22戦ラスベガスGP | 位 |
第23戦カタールGP | 位 |
第24戦アブダビGP | 位 |
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 2月29日(木) ~3月1日(金) | 3月2日(土) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月7日(木) ~8日(金) | 3月9日(土) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月22日(金) ~ 3月23日(土) | 3月24日(日) |
第4戦 | 日本GP | 4月5日(金) ~ 6日(土) | 4月7日(日) |
第5戦 | 中国GP | 4月19日(金) ~ 20日(土) | 4月21日(日) |
第6戦 | マイアミGP | 5月3日(金) ~ 4日(土) | 5月5日(日) |
第7戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月17日(金) ~ 18日(土) | 5月19日(日) |
第8戦 | モナコGP | 5月24日(金) ~ 25日(土) | 5月26日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月7日(金) ~ 8日(土) | 6月9日(日) |
第10戦 | スペインGP | 6月21日(金) ~ 22日(土) | 6月23日(日) |
第11戦 | オーストリアGP | 6月28日(金) ~ 29日(土) | 6月30日(日) |
第12戦 | イギリスGP | 7月5日(金) ~ 6日(土) | 7月7日(日) |
第13戦 | ハンガリーGP | 7月19日(金) ~ 20日(土) | 7月21日(日) |
第14戦 | ベルギーGP | 7月26日(金) ~ 27日(土) | 7月28日(日) |
第15戦 | オランダGP | 8月23日(金) ~ 24日(土) | 8月25日(日) |
第16戦 | イタリアGP | 8月30日(金) ~ 31日(土) | 9月1日(日) |
第17戦 | アゼルバイジャンGP | 9月13日(金) ~ 14日(土) | 9月15日(日) |
第18戦 | シンガポールGP | 9月20日(金) ~ 21日(土) | 9月22日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月18日(金) ~ 19日(土) | 10月20日(日) |
第20戦 | メキシコGP | 10月25日(金) ~ 26日(土) | 10月27日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月1日(金) ~ 2日(土) | 11月3日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月21日(木) ~ 22日(金) | 11月23日(土) |
第23戦 | カタールGP | 11月29日(金) ~ 30日(土) | 12月1日(日) |
第24戦 | アブダビGP | 12月6日(金) ~ 7日(土) | 12月8日(日) |