大きな話題を呼んだ横浜FM対福岡で巻き起こったシーンだ。左サイドでキープしていたFWエウベルからボールを受けたMF西村拓真がリターンパス。しかし遅れて寄せてきたDF奈良竜樹と接触し、ピッチに倒れる。ただ、主審はプレーを続行し、福岡がクリアしてボールがピッチの外に出たタイミングで西村の状態の確認に入っていた。
ただリプレイ映像を見ると、奈良が西村の左足首を踏みつけており、大怪我の恐れもある非常に危険なプレーとなったが、VARチェックのみで介入はなく、判定もノーファウル。この判定が妥当だったのか議論が行われた。
最初に意見を求められた平畠氏は、「ノーマルスピードの時はわからなかった」とした上で、スロー映像を見た後は、「(西村選手は)相当痛かっただろうなと。危険なプレーに見えましたし、(足を踏んだ時には)だいぶ西村選手のところからボールが離れていた。レッドが出てもおかしくないイエロー」と印象を語る。
今野泰幸も同様にスロー映像を見た後に印象が変化。「明らかに足首にいっているし、しかも奈良選手の全体重が乗っていると思うので、VARがある時代なら100%レッド」とハッキリと見解を示す。
二人の意見を聞いた上で家本政明氏は、こう見解を示す。
「負傷するような強いダメージや安全に配慮していないという場合に、『ここがボーダーラインだよね』というのがある。恐らくJリーグの中で、ボーダーになる事象にどういうものがあるのかというのを少し共有し切れていないために、揺れたところがあったと思う」。
続けて、「これは世界の考え方からしても、レッドカードのボーダーラインになると思うし、まして今シーズンは審判協会から選手の安全に配慮していくということをシーズンの冒頭にメッセージを出しているので、ここがボーダーにならないことはレフェリー側に落ち度があると言われても仕方ない」と主張している。
ただ主審目線としては、プレーの流れの中で判断しづらい側面があった。西村がボールを受けた時には、「マリノス側にはいくつかのオプションがあった。さらに西村選手がボールを叩いた後に奈良選手がチャレンジにいった。その瞬間に(主審は)フォーカスいていたところから次の展開に視野を広げている最中なので、どうしても認識がボケてしまう。そのピントがボケた瞬間のコンタクトなので、ハッキリと見えていないと思う」と推測。さらに「アプローチの距離が大体3mくらいなので、引いた映像ではそれほどすごい勢いで西村選手にチャレンジしたようには感じない」と強調している。
では、なぜVARチェックが入ったのにも関わらず、オンフィールドレビューが行われなかったのか。家本政明氏がこう回答している。
「あくまでボーダーは、人によって幅感が出てしまう。主審とどういうやりとりをしたのかはわかりませんが、これを100%レッドカードと認識しにくいというのがレフェリーチームの判断だと思う。だから見させなかったという結論だと思う」。
ただ家本氏自身は、主審に映像を見せる必要があったことを強調する。
「恐らくレフェリーとの認識も違うと思う。それならば、一度(映像を)確認することを勇気を持って出してもよかったと思う」。
その意見に対し、平畠氏が「”明白な”というところに囚われ過ぎると、VARの意義みたいなものが無くなってしまうと思うので、僕は明白という幅がもう少しあってもいいのかなと。100、0ではなく、もっとVARをうまく活用できたらと思う」と問題を提起している。
サッカーに怪我はつきものとよく言われるが、そのプレーが故意ではなくとも、その危険性があるものには厳しい処罰が下されることが未然の防止にも繋がる。この事案を審判団がどのように受け止め、VAR運用の改善に繋げていくかが重要となるだろう。
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