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【戦術分析】バルセロナの問題はチャビではない。彼が率いるチームにはイニエスタもメッシもチャビ自身もいないのだ|ラ・リーガ

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【戦術分析】バルセロナの問題はチャビではない。彼が率いるチームにはイニエスタもメッシもチャビ自身もいないのだ|ラ・リーガDAZN
【欧州・海外サッカーニュース】チャビ・バルセロナの行く末を戦術的観点から占う。

2015年、光り輝くビッグイヤーをベルリンの夜に掲げて以降、バルセロナは欧州を舞台に敗戦から敗戦の旅を繰り返している。彼らにとってチャンピオンズリーグは、まるで手に負えない大会だ。プレーアイデアを再発明できず、競争に勝つため必要な意思の強さも持てず……1シーズン毎にバルセロナは小さくなり、相対的にチャンピオンズは大きくなっていく。今季についても、夏の移籍市場で大袈裟な大型補強を敢行したにもかかわらず、期待に見合うようなパフォーマンスはミュンヘンでのバイエルン戦で、限られた時間帯に見られただけだった。代表ウィーク後にはインテル&レアル・マドリー戦で失態を演じるなど一気に調子を落とし(ビジャレアル戦とアトレティック戦のパフォーマンスは輝かしかったとはいえ)、今度は完膚なきまでにやられたバイエルン戦までその迷走は終わらない。とはいえ、非常に重要なシーズンである今季、立ち直る時間はまだ残されている。

■過激主義に陥るバルセロナ

今季バルセロナのつまずきは、大半がチャビとキャプテンたち(ブスケツ、ピケ、アルバ)のせいにされている。が、彼らの抱えている問題は複雑で、個別に名指ししても意味がない。そもそもバルセロナはチャンピオンズで、実際的には不可能なプレーを試みてきた。ハイプレスを仕掛けながら90分間ボールを保持して相手を圧倒し続ける……その考え方と心意気は称賛すべきものかもしれないが、現代フットボールのトップレベルにおいて、そのようなプレーリズムを試合を通して維持するのは極めて難しい。翼がだらりと垂れた、弱っている今現在のバルセロナならば、なおさらである。

加えて、このバルセロナが本当の意味で試合をコントロールしていたことは、じつはほとんどない。というのも、彼らが良いと思い込んでいるプレーは、ほとんどスコアに反映されてこなかった。そのためにチャビの「私たちは勝利に値した」「私たちの方が優れていた」という発言と、実際の結果に矛盾が生じてしまっているわけだ。

別にバルセロナのプレーアイデアは時代遅れではないし、自分たちの在り方を否定する必要もない。過激主義に走らず、もう少し柔軟になればいいだけだ。「執拗にボールを追うことで自分たちのバランスが取れなくなるならば、ハイプレスをあきらめる」「低い位置で守備ブロックを形成する」「トランジションの攻撃を実現するためにボールを相手に与えてみる」。以上の3つは、すべてのビッグチームが行っていることである。選手層的にも戦術的にも別次元にいる、マンチェスター・シティ以外のすべてのビッグチームが。

いずれにしても、今のバルセロナに欧州で覇権を争う力があるなど、現実的に考えられない。そんなこと考えてはいけない。彼らにはミスをしながら成長する猶予が与えられなくてはいけない。クンデとアラウホを負傷で戦力に数えられなかったことはエクスキューズの要素になり、またチャビはデンベレ&ラフィーニャの同時起用やブスケツ起用への執拗なこだわりなど、考えを改めるべきことがある。そして、そうした改善すべき点を、ラ・リーガで反映していけばいいのだ。

■中央の攻撃を厚くするべき

gavi-pedri-barcelona-liga-20221029バルセロナはまだ制限時間内にいる。ラ・リーガで、レアル・マドリーとの競争次第ではあるが、ここからでも成功をつかめる。そのためにチャビは、デンベレやそのほかのウィングよりも、デ・ヨング、ガビ、ペドリに目を向けなければならない。Getty Images

現バルセロナ指揮官はサイドで縦への突破を求めるあまり、ピッチ中央で中盤の選手たちを使うことを疎かにしている。かてて加えて、サイドでボールを持つウィングはいつも優位性を獲得できておらず、1人対複数人という状況に陥っている。そうした状況でボールを失えばチーム全体の守備の脆弱性&不安定性により、一気にピンチに陥ってしまうのに。最たる例がデンベレである。アウェーでのインテル戦、バルセロナは自暴自棄になったようにこのフランス代表FWにパスを出し続けたものの、彼が優位な状況でボールを受けることはなかった。反対にアトレティック戦で、デンベレは相手の守りが手薄なサイドから攻めることができていたが、これこそが彼の出来に激しい波があるように見える所為である。

さて、中盤の選手たちについて。まずペドリだが、彼のプレーへの参加回数はあまりに少ない。そのポジショニングが前過ぎることも多々ある。彼は相手のDFとMFのライン間でこそ輝くし、そこでボールを受け取れるようにチームとして工夫しなければならない。また、ボールを奪われた後の激しいプレスに相手センターバック&サイドバックの間を駆け抜けるダイアゴナル・ランと、エネルギーが有り余っているガビを生かし切ることについても同じことが言える。このインサイドハーフ2枚がプレー参加回数をもっと増やせば、レヴァンドフスキは真にゴールを保証する存在となれるだろう。

ペドリとガビが主役となるバルセロナは“良いポゼッション”を実現でき、ボールを奪われて後退を強いられたとしても、そこまで危険にさらされることがないはず。新たな打撃を受けたカンプ・ノウでのバイエルン戦、彼らは後方に走るための足も、生き延びるための盾も持っていないことが浮き彫りとなった。チャビはデ・ヨングをブスケツの近くに配置してバイエルンの速攻を食い止めようとしたが、しかしポゼッションをすればオランダ人MFは実質的にインサイドハーフとなり、ボールを奪取するための時間的余裕などなかった。デ・ヨングもバルセロナも、バイエルンの手の中にある玩具と化していたのだった。

■チャビが問題ではない

xavi-iniesta-messi-liga-20221029チャビは目の前にある課題に取り組んでいかなければならない。バルセロナの生ける伝説は、その采配、何よりも結果によって、本当に監督として適切かどうかが議論されている。しかしバルセロナの問題の根幹は、チャビにあるわけではない。……彼が解決策なのかどうかは、今後を見てみなくては分からないとしても。Getty Images

チャビはラ・リーガで、彼のフットボールを再構築し、状況を逆転させて未来を勝ち取らなければいけない。一つ言えるのは、過去のバルセロナと今のバルセロナの比較は、ただ傷口を広げるだけということ。グアルディオラのバルセロナを思い出してほしい。彼はイニエスタ、メッシ、そしてチャビを擁していた。一方でチャビのバルセロナにその3人はいない。彼らの領域に達している選手は、今のところいないのだ。皆がその事実を受け入れて進むことこそ、バルセロナがバルセロナに戻るための道になるだろう。

文=ハビ・シジェス/スペイン紙『as』試合分析担当

翻訳=江間慎一郎

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